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エピソード1の第5章 吹奏楽部

 教室には入れない。保健室で休んで帰宅する。そんな生活が何日も続いた。

「そろそろ教室に戻る?」担任からも、他の先生からも、何度も言われた。でも、その元気はなかなかもどらなかった。


「部活、どうするの?絵理が保健室にしか来てないってきいて、みんな心配してるのよ」

 吹奏楽部の部長でもある、亜由子が、保健室にやってきた。

「ごめん。ちょっと怖くて」

「吹奏楽部は、不良のような子はいないわ。放課後の練習だけでも、安心して来ることができない?」

「不良の子だけじゃなくって、男子が怖いの」

「あたしから、部員に話しておくから。できるだけ来てね。コンクールも近いんだし」


 そういえば、修学旅行も行かなかった。クラス対抗のスポーツ大会にも参加しなかった。吹奏楽部のコンクール....このくらいは、参加できるのかも知れない。せっかく女子として学校に行くようにしたのに、保健室にしか来れないって、なんか悔しい。コンクールくらいは、がんばって出ようかな。


 音楽は大好き。小さい頃ピアノを習っていた。上手にはならなかったけど、練習した曲はどれも好きになった。そんなことを思い出しながら、思い切って吹奏楽部の練習場に足を運んだ。


 亜由子の協力もあって、なんとか部活にもどることができた。幸い、同じ楽器は、3年生はあたしだけ、後輩は女子ばかり。2年生の子に、ファーストの楽譜を吹いてもらった。あたしの行動動線に、できるだけ男子が来ないようにしてくれた。この部の男子はみな真面目な子だし、同級生は小学校時代から知っている子ばかりだから、悪いことが起こるとは思ってない。でも気付いたら、同級生も後輩も、男子は、みなたくましい体型になっている。ちょっと、フラッシュバックしかけたことがあったのは否めない。ちょっと男子と話すだけでも、息苦しくなることがあった。

 指揮をされるのは、卒業生の男性。この人はちょっと怖い。男子部員に本気で絡んでくる人。でも亜由子が、あまりダメだしとか注意とかしないようにって、お願いしたみたい。怖い事態にはならなかった。


 夏休みに入って、すぐにコンクール。1年・2年、どちらも予選落ち。今年はどうなる...って、多分おんなじだろうな。

「そういえば、絵理、スカートでコンクール出るのって、はじめてだよね」

 言われたらそうだった。コンクールは、夏の制服で出演する。男子はカッターシャツと黒スラックス。女子は白ブラウスに棒ネクタイとスカート。そういえば周りの女子って、制服でも、その範囲で少しおしゃれとか気を遣っている。あたしは、なにも考えてなかったな。コンクール前に、ブラウスとスカートに、もう一度アイロンをかけよう。

 演奏する曲は、アルメニアンダンスって曲。


 コンクール当日。もうすぐ本番の演奏。そういえば、周りの女子、みんなキラキラして見える。女の子だもの、これから舞台に立ったら、あたしはお姫様よ。みんな、そんな顔つき。

 そう、舞台の上では、あたしもかっこいいの。忘れそうになっていた。この12分は、あたしもお姫様。お姫様になりきる。みんなと一緒に!


 コンクールの評価は、去年と同じ。次の大会に進めるわけでもなかった。そして、これで3年生もおしまい。部長・副部長も2年生に引き継いだ。部室で、ジュースとお菓子で、軽い打ち上げパーティーをした。あたしは、ずっと亜由子の近くにいた。

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