エピソード1の第3章 女子の領域
休憩時間、早速手洗いに行こうとした。
女子手洗いの前で、いきなりクラスメートの女子から大声で止められた。
「まさか本当に女子トイレに入る気なの?やめなさいよ!」
周囲の女子もみな同意している。
居合わせた男子が声をかける。
「だからって男子トイレに入るなよな」
その場にいる全員で、男子手洗い・女子手洗い、両方への道を塞がれた。手洗いの方向に動けなくなってしまった。
手洗いに行くのはあきらめ、そのまま歩き出した。
「だからって、1年生の手洗いに行こうとしてないよな」
代表してついて行く、と言いながら、一人の男子がついてきた。
たまりかねて、そのまま職員室に駆け込んだ。さすがに男子は、職員室の入り口で待っていた。
担任の先生に相談した。
「そういう問題が起こりかねないって、説明したよね。実は学校の中でも結論がでてなくて...だから返事を保留してたんだけど。間に合わなかったのはごめんなさい。お手洗いは、職員用のを使って下さい。しばらく、先生も同行しますから」
担任は若い女性の先生。話がわかる先生で良かったと、本当に思っている。
職員室から先生と二人ででてきて、そのまま職員用の女子お手洗いに案内された。
さっきの男子生徒も、先生に話しかけていた。「どういうことですか?」先生が静止してくれた。「話はききました。でも、学校としては、まず生徒の安全を確保します。生理現象は妨げないようにします。学校として、多目的お手洗いの準備が遅れているからこうなったんです。学校の責任と思って、理解してあげてください」
体育実技で、また同じ問題が起きた。
体育実技は2クラス合同で、更衣室も男子・女子で教室をわけている。
女子更衣室となっている教室に入ろうとしたら、やはり、大声で言われた「入らないで!」
その場の女子、全員から、拒絶された。
でも男子の更衣室にも入れない。
着替えることもできず、体育の時間がはじまった。
先生にも説明した。
「絵理さんの事情は聞いてます。学校として対応準備が整ってなかったということで、体育実技は見学でいいです」
幸いというか、あたしは運動が苦手。男子に混じっても女子に混じっても、足も遅いし、球技も苦手。寂しくはない。




