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エピソード2の8章 冬のできごと

 学校では、毎年冬前に、クラス対抗合唱大会が行われる。クラス毎に1曲ずつ演奏する。あたしのクラスが演奏するのは、いきものがかりの「YELL」。混声3部。

 あたしはちっちゃいころ、歌を歌うのが大好きだった。女子よりも高くてきれいな声が出せるって、言われてた。今も、気を抜いたら声変わりのような声がでてしまうけど、ちょっと意識したら、裏声を混ぜながら、女子の声域は無理なく歌える。このクラスの合唱でも、あたりまえのようにアルトを歌った。



 年が明けて、L女子高校の入試。不思議な入試だった。筆記試験は楽勝。面接試験はともかく、そのあと3日間かけて、寮で料理を作ったり、一緒に運動したり、イベント参加したり、ディスカッションしたり。女子生徒としてふさわしくない行動をとりそうな予兆があれば不合格にするとか、そんな説明だったと思う。

 試験とは思えない、楽しい3日間だったと、自分では思っていた。でも結果は不合格。後日、試験官の先生と、当日対応していただいた在校生のお姉さんが、直々に家まで訪問してくれた。

「絵理さん、試験の日、緊張してた?」

「そんなことはないです。いつも通りって言うか」

「普段は女子ってことを、ことさらに意識されますか?」

「はい。どうしても女子じゃないって言う人がいるので、少しでも女子に見られるように、常に努力してます」

「なるほどね」

 お客さん二人が目を合わせる。

「肩の力を抜いて、他の生徒と仲良くできるか。その辺が足りなかったと思うよ。絵理さん、3日間、ずっと肩の力が入りっぱなしだったもの。不合格にしたのはごめんなさい」


 結局「一応」と思った公立高校に合格した。女子として通いたいが、受け入れてくれるか。カミングアウトした方が気楽なのか。もう少し考えてみたい。


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