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エピソード2の第9章 卒業を前にして

 卒業を前に、一日授業を潰して、クラスで送別会を開催した。

 そして、レクの時間。なぜか男子と女子とに別れて、秘密にしていることを一人一つずつ暴露しましょうって。プライバシーとか考えないのかしら。

「実はあたし、K君が好きでした」「きゃあー」

 そんな会話があちこちで聞こえてきた。


「実はあたし、女子じゃないんです」


 このタイミングで言うか言わないか、直前まで迷った。迷いすぎて、手が震え、喉が渇いてきた。そろそろ自分の番....。


 ***


 卒業式。一人一人、卒業証書を受け取ると共に、体育館ステージで、何かひとこと言うことになっている。無難にすませた。


「この学校には1年だけでしたが、良い思い出ができました」


 さすがにこんな場所でカミングアウトはしない。あのときも結局カミングアウトしなかった。


 式が終わったら、校庭で吹奏楽部の後輩が花束をくれた。あかね。隣にはあたしの妹も。


「お姉ちゃん、卒業おめでとう!」


 能理子があたしを、お姉ちゃんって呼んでくれるのはめずらしい。


「そうか、絵理先輩って、能理子のお姉ちゃんだ。お姉ちゃんね」

「そう、お姉ちゃん。お姉ちゃんよ」


 なんか、お姉ちゃんを強調してないか?でも「ありがとう。お祝い嬉しい!」と笑顔で返した。


 部活の男子とは、最後まで接点なかったな。


 新しい町で女子として過ごした1年。迷い道がいろいろあったけど、学校が準備したイベントということでは、きちんと参加できたのはほんのわずかだった。

 あたしを女子として受け入れてくれた人が、何人かいた。それは自信にはなった。でも、このまま、女子高校生になるかどうか。まだ迷ってる。



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