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令和鬼合戦:迷宮の胎動~隠蔽された禁忌~

興味をもっていただきありがとうございます。

初代桃太郎たちが去り、静寂が戻ったはずの鬼城山。しかし、その足元に広がる地下施設は、今なお異様な魂脈の脈動を繰り返していました。

探索を始めようとした羅夢多らむだたちの背後から、緊迫した戦場に似つかわしくない、しかし聞き覚えのある声が響きます。


地下ハッチから吹き出す空気は、地上のそれとは明らかに異なっていた。羅夢多がその闇の深淵に足を踏み入れようとした、その時だった。


「待って――! 置いていかないでよぉ!」


静寂を切り裂くような、どこか場違いなほど必死で、それでいて情けない悲鳴。振り返ると、そこには肩を激しく上下させ、顔中を汗と煤で汚した猿掌衆の不破計良ふわ けいらと、編纂班リーダーの古関こせきが駆け寄ってくるところだった。


「不破さんに古関さん!?来てくれたんですか!」


 羅夢多が驚きに目を見開く。


「来たわ!死ぬかと思ったわよ! でも、古関さんが『私たちも行くべき』だって……」


 不破が愚痴をこぼしながらも、その手には人桃衆の内部通信を傍受した貴重な記録メディアが握られていた。


「合流できて助かったわ。中がどうなっているかわからないけど……」


 モモが二人の無事を確かめ、即座に現状の整理を始める。


「公式の記録だと、この施設は大きく二層に分かれている。管理部門やデータセンターがある『上層』と、実験区域がある『下層』よ」


九十九の土遁で足場を固め、一行は役割を分担することにした。

 魂脈の波形を読み解き、異形の脅威を直接排除できる羅夢多、九十九、モモの三人は、地獄の匂いが漂う不気味な下層へ。

 そして、羅夢多の「真金継ぎ」で命を繋ぎ止めたものの、未だ本調子ではない藤林。彼が護衛しつつ、データの徹底的な回収と暗号解読を担う不破と古関は、データや資料室が集まる上層へと向かうことになった。


「下からは、魂脈と鬼脈がヘドロのように混ざり合った気配がするわ。……」


 モモの警告を背に、羅夢多たちは奈落へと続くエレベーターシャフトの脇にある、暗い非常階段を下り始めた。

羅夢多たちが辿り着いた下層の研究所は、一見すると最新鋭の、どこか潔癖すぎるほどの医療施設のようだった。目に痛いほど白いLEDライト、整然と並ぶ銀色の機材、そして抗菌剤の匂い。しかし、その清潔感こそが異常を際立たせていた。


「……健全なのは『ガワ』だけね。魂脈の残響がどす黒い……」


 モモが眉をひそめ、端末のセンサーを四方に向ける。その直後、廊下の左右から音が聞こえた。


「グルゥゥ……ガッ!!」


 緑色の羊水とともに出てきたのは、知性を完全に破壊され、ただ「空腹」と「殺意」だけの未完成の実験体たちだった。ある者は人間の形を辛うじて保ち、ある者は八岐大蛇の鱗が皮膚を突き破って生えている。


「中途半端に鬼化させられて、死ぬことさえ許されないのか……。楽にしてやるよ」


 九十九が両手を広げ、圧倒的な重圧を放つ。重力に押し潰された床ごと実験体たちが固定され、そこを羅夢多の黄金の閃光が駆け抜ける。


ことわりを、断つ」


 羅夢多の一閃が、実験体たちの心臓部にある歪んだ核を正確に消し去っていく。断末魔さえ上げられず、異形たちは静かに塵へと還った。

全ての「動くもの」を沈黙させた後、一行はさらなる深部への入口を探した。十字の瞳を限界まで見開いた羅夢多が、部屋の奥に設置された重厚な木製書棚の裏に、不自然な空気の揺らぎを感じ取る。


「九十九、この後ろだ」

「任せろ」


 九十九が土遁で書棚の質量を操作し、軽々と動かす。そこには、電子ロックさえかかっていないアナログな隠し扉が存在した。

扉を開けると、不衛生な避難所に、数人の男女が身を寄せ合って震えていた。


「ひっ……! 殺さないでくれ!」


 話を聞くと彼らは人桃衆の研究員だったが、組織が進める「生命の資源化」という非人道的な方針に異を唱えた者たちだった。


「……君たちが、あの岡山犬牙衆か。私は主任研究員の佐伯さえきだ」


 その中心で、ひび割れた眼鏡を指で押し上げながら立ち上がったのは、主任研究員の佐伯 誠だった。痩身で神経質そうな、どこにでもいる研究者の風貌だが、その白衣は返り血で汚れていた。


「助かった……。あいつらは自分たちの理想にそぐわない者を処理し始めたんだ。私たちは事前に、自分たちの手で隠し部屋を設計していたから助かったが……」


 佐伯は震える手で、ポケットから一本のUSBメモリとタブレットを取り出し、モモに手渡した。


「私が自分の権限で見られたのは、この施設の表向きのデータ……氷山の一角に過ぎない。そして『何か』は、さらにこの下にある」


 佐伯の視線は、部屋の奥にある重厚な鋼鉄製の扉へと向けられた。


「あそこは貨物用エレベーターだ。特殊な生体認証がなければ動かない」

「貨物用エレベーターね。案内してもらえるかしら?」


 モモの問いに、佐伯は覚悟を決めたように頷いた。


「ああ。私たちの過ちを、君たちに看取ってほしい」


第六十七話をお読みいただきありがとうございました!

不破と古関の合流、そして地下施設で出会った良心的研究員・佐伯。人桃衆がひた隠しにしてきた、世界の延命という名目の「犠牲」の歴史。


いつも応援ありがとうございます!ペースを整え、より濃密な物語をお届けします。次回の更新もお楽しみに!

週3回(月・水・金)の更新になります。

面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、ぜひ【評価】や【ブックマーク登録】をよろしくお願いいたします!

※AIとの共同執筆作品となります。


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