第7話 ロザンヌ王国シェード街
短め。
師匠が死んだ。しかしその教えは常に心にある。見守ってくれているという実感がある。
「……師匠……この刀……譲り受けます……」
師匠がかつて使用していた名刀【白鷺】を腰に差し師匠を埋葬して俺はついにヒューマンの国へと向かう。少しお金などを持っていくか悩んだが手を付けないことに決めた。
「……自然とこの前のような負の感情は湧いてこないな……」
ヒューマンである師匠と20年間もの間ともに暮らしていたというのも心を落ち着かせている要因かもしれない。
「ひとまずはこの刀の手入れを鍛冶屋で効かないとな。あの街ならドワーフの鍛冶屋もいるかもしれない」
20年前の森を出た時よりもワクワクとした楽しむ心が発生しているのを実感しながら俺はロザンヌ王国シェード街に到着した。
「ヒューマンとビーストか。エルフじゃないのはありがたいかもしれないな」
エルフがいればエルダーエルフだとバレてしまうだろうから。街に入るために列に並ぶ。
「……持ち物の検査だけでお金は必要ないのか……まあ持ってないからありがたいが……」
俺がそうボソッとつぶやくと前にいた小学生ほどの女の子がこちらへと笑顔で振り向いてくる。
「こんにちは!」
「……!こ、こんにちは……」
まさか挨拶をされるとは思っていなかったので少し動揺をしてしまう。しかし間近でヒューマンを見ても話しかけられても怒りが湧いてくることはない現状に内心で安堵感を覚えた。
「こらメリア! すいません娘が」
「悪いな兄ちゃん」
「ああ、いえそんな。気にしないでください」
優しそうな母親に厳つい見た目の父親。そして天真爛漫な子供といった家族だった。
「メリアはメリアだよ!5歳になったの!お兄さんは!」
「メリア!みなさん疲れてるのよ!話しかけちゃダメって言ってるでしょ!」
「大丈夫ですよ」
俺は子供に視線を合わせて質問に答える。
「俺はアルベール・シュミットっていうんだ。年は……もう数えてないかな?」
「??」
俺の答えには納得のできていなさそうなメリアちゃん。首をかしげている。
「長寿な種族の方々にはよくあることですよね。わたしはミリア・リントスキーといいます。旦那と安らぎの箱という宿屋を経営しているんです」
「俺はドズル・リントスキーってもんだ!もし宿屋が見つかってねえんだったら選択肢に入れておいてくれ!こんな姿だが料理には自信があるんだ!」
「そうなんだよ!お父さんの料理はおいしんだよ!絶対に来てね!」
「ああ、そうさせてもらうよ」
そうしてその家族は呼ばれてた。すると早々に違うヒューマンの方の騎士に呼ばれる。
「次の方!お願いします!」
俺は実は街に行くにあたりお金の代わりとして森の中で薬草の採取や魔物を討伐し魔石をいくつか持ってきていた。
「(これぐらいならいいだろ)」
俺の荷物を確認するヒューマンの騎士。それに重なるようにあの時の騎士の光景が頭に浮かび気持ちいいものではない。しかし嫌悪感というほどのものは起きてこない。
「(やはり師匠はすごい……約3.000年の心の闇を師匠が晴らしてくれた)」
一層師匠への尊敬の念が上昇した俺。
「少し質問をしてもよろしいですか?」
「質問ですか? まあ、いいですけど?」
今までで質問をされている人はいなかった気がするけど?なんか不審なものでも入ってたのかな?
「いや~あなたは初めて見た人だったんでちょっと気になっちゃって。冒険者のかたですか?」
「いいえ、冒険者じゃありません。最近森から出てきたエルフです」
「そうなんですね。それじゃあ不安かもしれませんが街中にもエルフの方は多くいらっしゃいます。街の運営に携わる機関にもヒューマン以外もいますので安心してシェード街を楽しんでください!」
このヒューマンは笑顔で自慢するようにそう口にする。そうして俺はとうとうヒューマンの街に踏み入れた。
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