休日の記者会見
葵と別れた二人は、また次の二手の道に差し掛かった時に準司と将吾は「じゃあまたな」と言い合って別れて歩いていった。
準司はすごく蒸し暑い中で将吾と別れた後に自転車に乗って走っていたので、汗がびっしょりと半袖が濡れていた。
やっとのことで準司はアパートの自宅に帰ってきた。
幸いなことにこの時期は夏休みなので、授業があるとしたら朝から最悪なことになっていた。
準司は自転車から降りていつも停めている駐輪場に止めた。
屋根の下の駐輪場に止めた後、準司は暑い日差しにあたっても動じずそのまま歩いて二階に上がるように階段で上がり、ようやく準司の自宅に着いた。
玄関口の鍵を開けた後、すぐに部屋のクーラーを入れて部屋の中を涼めた。
はあ、生き返る。
準司はしばらくクーラーの前に立ち、そして汗だくのTシャツを脱いで汗を拭き取ってから新しいTシャツに着替えた。
この日は有難いことにバイトがないので、休みを使ってクタクタの体をしばらく治すことができそうだ。
…そういえばヴィジョン教授は今は忙しくしているんだろうか?
そう思った準司はすぐにテレビの電源をつけた。
どこのチャンネルもそうだったが、自分達が乗っていたあの大型クルーズ船『ヴィクトリア・プリンセス号』の爆破事件のこととイナズマ団を捕まえることができたことについて、テレビに映っているのが分かった。
…自分達の大学がおそらく映るのと、ヴィジョン教授の記者会見を開く所の場面を生中継で映るのだろう。
あそこまでイナズマ団のあのボスを追い詰めて捕まえることが目的だったので、ヴィジョン教授も相当クタクタになっていると思うが、それでも今日に記者会見を開くのだろうか?
…いや、待てよ。開くのだろうかというよりいち早く記者会見を開いてこの事件のことについて説明をしないと皆さんに迷惑がかかる。
特に搭乗していた乗客達もパニックな様子だと思うからいち早く大事な事を伝えなければならないことは必須な様子だ。
特にイナズマ団が犯行したという大きなニュースだから今回の事件について一番大きく取り上げているのだろう。
…準司はチャンネルを回していたが、まだヴィジョン教授の記者会見を開くという様子は今のところない。
今はイナズマ団が犯行に及んだ大型クルーズ船爆破事件のことをばかでかく取り上げている。
事件の経緯や大型クルーズ船に乗っていた乗客達へのインタビューや船の乗組員の人達のインタビューやデビュー当時に見送っていた観客達へのインタビューなどがテレビに映っているのが見て分かった。
おそらくこの時間は大型クルーズ船の爆破までの流れとイナズマ団が何故狙っていたのかなどを中心に報道ニュースでどこの局も放送しているのだろう。
…じゃあヴィジョン教授の記者会見はまた後日になってから行われるんだろうか?
それにヴィジョン教授の話は準司達弟子と関係者以外皆誰もが話題に出さないのだろうか?
一体どうするつもりなのかはまだ分からないが、今回のイナズマ団ボスを捕まえられたのだからその話は必ず出てくると準司はそう思っていた。
…すごく汗もかいたし、お風呂でも入ろうか。
準司はヴィジョン教授の記者会見がくるのを待とうと決め、お風呂のガスをつけて沸くのを待った。
一旦テレビの電源をリモコンで消した。
十数分が経ってお風呂が沸いた。準司は筋肉痛を癒そうと思いお風呂場に入っていった。そして上下の服を脱いでお風呂に入っていった。
体を洗って髪を洗ってじっくりと気持ち良くお風呂に浸かって数十分も落ち着いてからようやく準司は風呂の外に出て、髪と体をバスタオルで拭いてもう一度上下の服を着て、そして髪をドライヤーで乾かした。
乾いた後、再びリビングに戻るとすごくスッキリとした気分になった。
体を癒せた準司はもう一度リモコンでテレビの電源をつけたその時だった。
あの教室みたいな所はひょっとしてヴィジョン教授の部屋なのだろうか?
このタイミングで自分の大学の教室が映っているのはビックリした。
…なーんだ、やっぱり自分とこの大学のあの部屋でヴィジョン教授が記者会見する予定だったんだ。
ということはつまり、イナズマ団最後の下級幹部の男を逮捕できたことについて報道陣の前で二回目の記者会見でヴィジョン教授が詳しく説明することになるということだ。
今の時間はもうまもなく正午の時間になる。正午の時間からだろう、その時間になったらヴィジョン教授がカメラの前に出てくるということだ。
しかし、ヴィジョン教授は体の方は大丈夫なのだろうか?
今もドタバタ劇で休む暇もない様子なのかもしれない。そんな中でご飯も食べれて睡眠もとれたのだろうか?
準司はそう心配してきた。
準司が冷蔵庫から二リットルのお茶を取り出してコップに注いでいたその時に、ようやくヴィジョン教授が開放されていたドアの外から入ってきて報道の前で姿を現した。
ヴィジョン教授が椅子に座ると、また一回目に通訳していた女性が隣に座りヴィジョン教授に分かるように準備をし始めているところをテレビに映っているのが分かった。
準司もヴィジョン教授の記者会見に真剣になってテレビを見ていた。
「それでは、イナズマ団の一人のボスである容疑者とその手下の数人の容疑者の逮捕について今から理化学研究者のヴィジョン勇一教授の記者会見を始めていきたいと思います。まずは、この度の件についてヴィジョン教授からお話がございます。前の記者会見と同じようにヴィジョン教授は英語でしか話せないので隣にいらっしゃいます通訳係が日本語に直してお話いたしますので、そこはご安心ください。それではヴィジョン先生、宜しくお願いします」記者会見の進行も一回目の時のあの教授が務めていた。
ヴィジョン教授は緊張せずに英語で自分らしく話を始めた。
「各それぞれの報道の通り、大型クルーズ船である『ヴィクトリア・プリンセス号』を爆弾で爆破させたイナズマ団の集団とその計画を立てていた首謀者である黒井和希容疑者を捕まえることに成功したことをここでお伝え致します。非常に危ない命を懸けた戦いの中でしたが、何とか取り逃がさずに捕まえることができたのでそのこともお伝え致します」ヴィジョン教授は何枚の英語で書かれた紙を読みながら英語で説明した。
通訳の女性は素早く日本語に訳している。
「この事件で唯一救いだったのは、誰一人乗客を傷をつけず、また死亡者が一人も出なかったことについてです。豪華客船が爆破するその直前に乗客全員を名古屋港に降ろさなければならないと通告したのはこの私です。ただ船の中でイナズマ団に囲まれて一大事な面もありましたが何とかそのイナズマ団の群れから解放し捕まえた後に全員を脱出させました。…話が変わりますが、皆さまも最も危険な悪の集団であるイナズマ団の一人をまた捕まえることができたことについて安堵されているかとは思いますが、我々も作戦を立ててようやく捕まえることができたことに一つまた安堵しているところであります」ヴィジョン教授は通訳の女性の日本語を待った。
「それと同時に、まだ捕まえきれていないイナズマ団を一日も早く捕まえなければならないこととイナズマ団のボスである神威瞭を最終的に捕まえることを目標に今も作戦を考えているところであります」
ヴィジョン教授の記者会見を真剣に見ている準司は唾をごっくりと飲んだ。
「一つ目の作戦でありました下級幹部のイナズマ団をこれで消滅できたことでイナズマ団は次にどう動いてくるのかは私も分かりませんが、おそらくですが上級幹部の手強い連中がもう動いているかと思います。形は様々ですが、ここからイナズマ団は日本社会に対して反社会勢力をイナズマ団が結集させて総動員するのかもしれません。そのことについて覚悟して私からも説明させていただきます」
ヴィジョン教授が英語で説明しているのを隣にいる女性が日本語で丁寧に話をしているのを全員が聞くと皆誰もが緊張感が高まってきている様子の雰囲気が漂わせていた。
準司も心臓がバクバクとしてきた。




