傷だらけの帰り道
一回、葵は右側に座っていた三回生男女三人に皆藤のラインを持っているか聞いてみたが、自分は草タイプだから分からないと言われたり私は鋼タイプだから分からないと言われて皆藤のラインについては知らないみたいなので、別の語り合っているグループに聞くことにした。
葵が皆藤のラインを聞いているその時に将吾はパッと閃いた。
「なあ準司。大田原さんって炎タイプだろ?俺達大田原さんとライン交換したからさ、大田原さんに聞いてみるってどうだろう?あの先輩も二回生だし、それに炎タイプだしさ」将吾の話を聞いて準司もピンときた。
何でそんな重要な人の事を閃くことができなかったんだろう?それに準司と同じバスに座ってたのに何で気づかなかったんだろう?
準司はあちゃあと頭を抱えてしまった。すぐに葵の所に駆け寄らなければならない。
「将吾、葵の所に行こう…」
「うん」
そして二人は葵が先輩達と語っている所に向かった。
大事なことを早く葵に伝えなくては。
「葵、今思い出したんだけど、大田原さん…」
「準司、将吾。皆藤先輩のラインを教えてくれたよ。この先輩も炎の使い手だから良かった!三回生だけど、今村先輩のラインももらった所なの…」
「ああ…それは良かったね」葵に大田原の話を準司が持ちかけようとしたら意外なことになったのでそこから先は言う気がなくなってしまった。
将吾もそんな気持ちだった。
「準司、ごめんな。俺が駐輪場にいた時に気づいてそう葵にアドバイスした方が良かったかもしれないな。そうだったらここまで来なくても良かったんだし、ごめんな…」
「いや、もういいよ。俺も気づかなかったことが馬鹿だったかもしれないから…」
「うん?何の話?」準司と将吾はお互いに気づいてしまったことを葵に言っていいのか分からない時に葵は二人に聞いた。
「いや、あの…葵。今頃気づいてしまったから言っていいのか分かんないけど、大田原さんならここで初めて盾をヴィジョン先生からもらった時にライン交換したことあるだろ?そのことをここまで帰ってこなくても駐輪場で言っておいた方が良かったなあって将吾が気づいてくれたからやってしまったなあってお互い言ってたんだ」準司は申し訳ない気持ちで本音をはいたが、葵の反応もだんだん怪しくなってきた。
葵もしばらく固まってしまった。
「そっか。準司、本当そうだね。なんで大田原さんのことを思い出せなかったのか私も不思議で仕方がない気持ちよ。そっかあ、大田原さんだ。大田原さんに聞けばここまで帰ってこなくて済んだのに。それに大田原さんも二回生で皆藤さんも二回生で同級生だからラインで頼めることだってできたのに…」
「いやあ俺からも葵に謝っておかなきゃいけないと思ってるんだ…」
「いや、いいよ準司。誰も気づけなかったんだから仕方ないよ。誰も悪くないもん」準司が謝っているのを葵が庇った。
「まあしょうがないよ。ちょっとしたしくじりみたいなもんだよ。ところで、葵は皆藤さんのラインゲットできた?どんなのか見せてよ」将吾が葵にそう聞くと葵は二人に皆藤のラインを見えるように見せた。
「俺も後で皆藤さんのラインもらっていいかな?葵のスマホから…」
「いいよ。その前にヴィジョン先生の教室から出よう。もうこんなにクタクタだし、みんなもそうだと思うから家の帰り道でそれやろう…」
「そうだな。じゃあここから出ようか」そして三人はヴィジョン教授の教室から外に出て、その廊下を出たところで葵に二人がお願いして葵のスマホから皆藤のラインをもらった。
「よし、直接会うのは次の部会の時にしかできないと思うからラインであの時の感謝を言っておいた方がいいかもな…」
「そうだな。ただ急なこのラインのやり取りを皆藤さんはびっくりしないかな?」準司が言ったことに将吾はそう心配した。
「まあそれか、私が代表して準司と将吾も皆藤さんに感謝をつづりたいと言ってましたよって言っておこうか?」葵は二人を考慮してそうアドバイスした。
「そうだな。葵からそう言ってくれよ」準司は葵にそうお願いした。
そして、三人はまた駐輪場に向かって再び歩きだした。
「今回、あのバカでかいクルーズ船が爆破されて沈めさせられたのは本当勿体ないなあって今になっても思うよなあ。でもあのクルーズ船を狙ってくると予測したヴィジョン先生も確かにカリスマだったのはこれで分かったよな。でも何で大型クルーズ船がイナズマ団に狙われるって予測できたんだろう?」大学をやっと出て準司が自転車を押しながら二人の歩きに合わせて家に帰っていくのと葵と将吾が歩いて帰っていく中で将吾が二人に今回の任務について語りだした。
「よほど頭が良いのねえ。まああの『ヴィクトリア・プリンセス号』がデビューするというタイミングを狙って搭乗している乗客全員を狙おうと画策してたのはヴィジョン先生も計算していたんだと思うよ。でもねえ、まさかそこまでしてイナズマ団が爆弾を仕掛けて船ごと沈めて命を狙おうとしていただなんて私でも考えもしなかったな。ヴィジョン先生がいなかったら乗客全員の命が危なかったところよ」葵は体中クタクタで悲鳴をあげていても、今回の事件のことの話について参加した。
「確かにそうだよな。今回であの下級幹部最後のイナズマ団を捕まえることに成功できたのは本当に良かったと思うよ。あのクルーズ船で取り逃がしてしまったらそれこそ大変なことになってたかもしれないからな」準司も体中疲れでクタクタになっていても猛暑の中汗をかきながらもこらえて自転車を押して歩いていた。
「…というか、今頃ヴィジョン先生って二度目の記者会見を開いているところなのかな?あの時の報道陣もあれだけの人数だったじゃん?また大学で行われるってこと?」将吾は肝心なことを聞いた。
「多分そうじゃない?またイナズマ団を一人捕まえられたんだからすごくみんな歓喜に沸いているんでしょうね。このままイナズマ団を皆捕まえられることを強く祈っているかもね」葵は適当に言った。
「ヴィジョン先生もこの今という時もすごく多忙だと思うな。まあヴィジョン先生も俺たちの戦いに参加していなかったからそこは違うと思うけど、海上保安庁の船からあのクルーズ船を監視しながら盾頭二人に指令を送っていたからその事を中心に多分記者会見で記者の人達に問われてくるかもしれないな」準司はいつ記者会見が開かれるのか知らないまま想像しながらそう言った。
「記者会見っていつ行われるんだっけ?ヴィジョン先生から何か言ってなかったっけ?」将吾は聞いた。
「うーん…私もその事は聞いてないけど、ラインしている場合じゃなさそうなんじゃない?すごいバタバタしている時だから重要な話についてはまた後日ラインするとか?」葵も自信がなかった。
「まあとりあえず、ヴィジョン先生や辰先生や盾頭さんも言っていたと思うけど今は体の傷を治す時だって言ってたじゃん?それに丁度このタイミングって夏休みでもあるから、もし大学の授業を受ける時にこんなことしているとしたらそれこそ大変だったかもしれないぜ。俺だったら数日間休みくださいって言ってるところだったな」将吾は夏休みのおかげに感謝の気持ちでいっぱいだった。
「この三人の中でまさかアルバイトしないといけない人っている?」準司は二人に聞いた。
「いや、俺はないよ。っていうかこんなことがあるかと思っていたから数日間休みくださいって前に言ってきた」将吾は説明した。
「私も、将吾のセリフと全く一緒。…えっ?準司はこの後バイトなの?」葵は準司の都合に急に心配になった。
「いやいや、大丈夫だよ。俺もバイトをここ数日間休みをお願いしてもらったさ」準司は二人を安心させた。
「だったら良かった。みんなもこれだけクタクタになってるし、それにこの状況だという時にバイトしている場合じゃないからね。準司も前にそう言っているなら本当良かったと思うよ」葵も安心して準司をほっとさせてあげた。
「それじゃあ、みんなここで別れよう。クタクタな体を癒さなきゃな」準司は自転車を止めて二人に言った。
「そうね。私もそうだけど二人も体を休めてね。本当みんなよく頑張ったじゃない?」葵も体の底からそう言った。
「いやあ皆さん、この任務について本当お疲れ様でしただよな?この極暑の中だし、おもいっきりクーラーに当たって涼しさを保とうぜ」将吾は早く帰りたい気持ちが強くなってきた。
「そうだな。じゃあ、二人もお疲れさん!…」
「準司もお疲れさま!将吾もお疲れ!…」
「うん!有り難う。じゃあお疲れ、みんな…」
「お疲れー!」
準司と将吾は右の道に、葵は左の道にそれぞれ帰っていった。そして蝉の鳴き声の合唱の中、筋肉痛に我慢しながらそれぞれ自分の家に帰っていった。




