イナズマ団上級幹部合流会議
イナズマ団下級幹部最後の十一番目を捕まえたことを知って二日が経った。
ヴィジョン教授達に負けたことを知ってからはボスの神威から何て言われるのかが緊張感が漂ってきた。
ただイナズマ団の皆が思っていることはまさか上級幹部を捕まえることができるのかなど到底考えられないということだった。
十年以上も経って未だに警察でも捕まえられなかったのだからイナズマ団からしても想像がつかなかった。
十一番目のイナズマ団が捕まえられたことから想像さえするのが怖くてたまらないぐらいという気持ちで皆はイナズマ団アジトに呼び出されて神威が到着するのを待っていた。
上段の席には十人のイナズマ団上級幹部全員が集結していて、下段にはその手下達が隙間なく集まっていた。
待っている間は誰一人も喋っていなかった。
下段に座っている手下達は緊張のあまりに吐き気がわき上がってきている様子だった。
時間になった。あのお方が到着する予定だ。
次に何されるか分からない。そう思って緊張していたその時、前の向こうからカタンコトンと足音が響いてくるのが分かった。
向こうは階段があって、それが理由で足音が響いていた。
向こうが暗くて見えなかったが、だんだん近づいてきてやっと神威が姿を現した。
神威が下に着くと皆は深々と頭を下げた。そして神威しか座ることのできない高価な椅子に神威が座ると皆に聞こえるぐらいの音で指パッチをした。
すると皆は深々とお辞儀をするのをやめて神威に真剣な顔をして恐る恐る見続けた。
「…お前達も知っているかとは思うが、下級幹部最後の十一番目である黒井和希が警察に捕まえられたようだ。つまり、このことを理由に下級幹部全員が消滅したことになる。上級幹部の盾となるように配下を置くようにしたのが下級幹部だったが、残念なことになった」神威は足を組みながら隣の小さい机に置いてあるワインとワイングラスに手を触れ、ワインをワイングラスに注いだ。
「そしてだ、下級幹部全てが消滅したことにより次は上級幹部に的を狙ってくるということになる。…いいか、お前達。上級幹部が捕まるなど数十年以上捕まえられたこともない上、このまま生きていられているのだ。我々のおかげでこうやって生活をしてやれているわけだ。どうだ?ここまで生活できている中で何か不満というものはあるのか?」
ピリッとした空気感が漂ってきた。皆は一斉に緊張感が走っている。
「…まあ後々変なことになってくるだろう。まさかだが奴らにやられるということはないか確かめたいことも出てきそうだ。この上級幹部に傷がつくという何かがね」神威はワイングラスを片手で回しながらワインを一口飲み干した。
「皆もっと真剣にやるべきだ。そうでなければ数十年作ってきたイナズマ団の生命が絶たれることになるぞ。捕まえられるとなればもう先がないと思った方が良い。ここからどう挽回できるかお前達にかかっているのだからなあ。どうだ?分かっているのか?お前達」
吐き気がわき上がってくるぐらい皆は緊張感がいっそう強まってきた。
誰も話せなくなってきたその時、上級幹部の誰かが皆の緊張を和らげるように話し出した。
「まあまあ神威様、悲しいことをおっしゃらずに。我々上級幹部十人はその為にあるのですから。まさかあの敵らめはまだ二十代の子らですよ。我々のような者に勝てるわけがないのですから。この事は私でも負けたことなどありませんので、どうかご安心を」緊張感を和らげるように話したこの上級幹部のこの男は七番目の男である宮津丸悠太郎という名前である。
長身で肩幅が広いのだが、腕と脚が細く顔がイケメンで鼻が高く見えるのが分かる。
「お前は七番目だというのにこの俺に向かってよくその口が叩けるな。しっかりとした根拠というものは必ずあるのか?七番目よ…」
「根拠ならここ数十年イナズマ団は潰されたことがないじゃないですか?一人も欠けることなくこうやって生活をしてきているではないですか?…」
「冗談も程があるぞ、七番目よ」神威はワイングラスを机にわざと大きく音を立ててキレ出した。
「ああ、申し訳ございません!ただ空気を和ませようと思ったまででございます…」
「それで口出ししようとしていいと言ったのはどこの誰のことだ?…」
「いえ、私の独断です…」
「ならば、黙っておくことだな…」
「はっ、はい!」七番目の宮津丸は再び頭を下げて敬意を現した。
「さてと、このまま上級幹部が一人も欠けないようにするために必要なことは…」神威は一口ワインを飲み干した。
「一番下である十番目から最低八番目がある程度それより上のメンバー達の強さに引き上げなければならない。まだ下だからと言って甘えかすにはいかないからな。一番下がしっかりしていなければ上のメンバー達も足元をすくわれる。そこの足固めをしっかりとすることだ。八番目、九番目、十番目…ちょっとこっちに来い」上級幹部の八番目である八木崎と九番目である黄川、十番目の配川の三人がお互い顔を見合わせて直ぐ様神威の前まで近寄っていった。
「そこに並べ」神威が指を指して立つ場所を決めると三人はすぐに下っぱの連中の方に向いて神威の話をじっくり聞いた。
「この三人のことだが、どうだ?しばらくは慣れたか?三人よ…」
「あっ、はい!下級幹部にいた時よりかは気が引き締まる気持ちになりました」八番目の八木崎が代表になって神威に言った。
「そうか、では気を引き締めてしっかりするがいい。もうお前達は下級幹部ではない。上級幹部なのだからな。責任は重くなってくるぞ。よいな?…」
「…はっ、私達にお任せを」八番目のこの男はびくともせず冷静になって神威に深くお辞儀をした。続いて九番目と十番目の二人も八番目に続いて神威に深くお辞儀をした。
「いいだろう。分からないことがあれば上の上級幹部に大いに聞くがいい。お前達もできるのだから自信持って計画を立てるがいい。次なる戦いの場は…おそらくあそこだな」神威は上を向いて祝賀を祝っているかのようにワイングラスを高く上げ、そしてもう一度またワインを一口飲み干した。
「そういうわけだ。とりあえずお前達にはよく頑張ってもらうがいい。下級幹部が欠けた今、これ以上潰されるわけにはいかないからな。奴らと戦場になった場合はおそらく長期戦になるだろう。これまで幾度も戦ってきたが、負けたことなど一回もない。あのヴィジョンという奴も上級幹部の倒し方とか語っているのだろう。さすがに上級幹部を捕まえるなど難しく思ってきているのだろうね。我々に勝てるかな?ヴィジョン勇一」
神威はワイングラスを今度は回しながらまた一口ワインを飲み干した。
「上級幹部の皆よ、この三人の面倒も見てあげることだ。才能を見出だせているのだから存分働くことだ。特に一番目から七番目の上級幹部よ、お前達がしっかり指導してあげることを忘れてはなるまい。…いいな?」
神威がそう聞くと一番目から七番目までの全員が「はい!」と大きく返事した。
神威がさっと自分の部屋に帰っていくと会議が終了した。上級幹部十人は手下達を連れて各自の部屋に帰っていった。
次に選ばれた八番目の八木崎と九番目の黄川と十番目の配川はボスの神威の思惑どおりにならなければ後がないということを考えると責任感が重くのしかかってきた。
三人それぞれが各自の部屋に入る前にもう一度気持ちを確認し合い、気は大丈夫かとお互いが語り始めていった。




