報道の中の帰還
灯田原や伏竜、辰准教授や警察の的場警部の名前が出たのをファインドグラスに出てきているのをもう一度確認できると準司はあのボート二つが一つになって爆発から身を守れてこっちに帰還できたことを心の底から深呼吸しているみたいにふうっと安心感が一気に広がった。
たぶんあれも盾で全員を守れるようにして防いでいたのだろう。本当に危機一髪だ。
まだ準司はファインドグラスでじっと向こうを見つめていると火傷したのかどうかはこの距離からは見えなかったが、大変危ない様子にまではなっていないのを確認することができた。
他の乗っている人達弟子達も多少黒くなってはいたが、命に別条はないみたいだ。
準司は全員が無事だということが分かっただけでも気持ちが明るくなった。
後はイナズマ団らを逃がすことなくパトカーに引き渡すだけで、その任務が終わればイナズマ団のこの黒井という最後の下級幹部を捕まえられたことに成功できたことになる。
だんだんと猛スピードでこっちに近づいてきているのが見えてきた。準司はあの二つに一つのボートに乗っているイナズマ団とあのボスがマジックを使ってまで逃げられたりしていないのか心配していたが、どんな状況であっても神威というイナズマ団ボスからそのマジックを教わっているだろうからまさかそれで逃げたりしていないかが不安になってはいた。
ただ、あのスピードでこっちに向かってきているのならおそらくだが的場警部がイナズマ団全員を手枷足枷をしっかりと固定しているのは間違いないと準司は思っていた。そうでなければあのスピードでここまで飛んでくるようなことなどしないだろう。
周りのまだ名古屋港に到着していないボートに乗っている人達もまさかあの大爆発で巻き込まれていないかを準司は他を見渡して心配していたが、それも何だか不安になってきたが、ファインドグラスで見通してみると全員盾で爆発から身を守れている様子が映っているのを確認できた。
おそらくだが、まだ後ろらへんにいた人達が一番危ない領域だから全員盾で守れていたとしても火傷してないかというのも不安で仕方がなかった。
防具服を全員が装着しているから難は逃れているとは思うが、それでも心配だった。
次々と名古屋港に辿り着いたボートは冷静になって岸に登っていった。後ろから来るボートをこれ以上待たせてはいけないのでクルーズ船を操縦していた操縦士は後ろのボートを譲るように全員が名古屋港に登れた後はすぐに港から移動した。
そしてその次の後ろにいるボートは乗っている全員を港の岸に登らせ、全員が港に到着できたことが確認できるとすぐに港からボートが移動していった。
この繰り返しで皆全員がボートに乗っている人数の人達が次々と港へ上がっていくと港にやっと到着したばかりの弟子達はあまりの人数で埋め尽くされている報道陣がいることにびっくりしてカシャカシャとカメラのシャッターの光ですごかった。
やばい、自分達の学校がまたこの事件をきっかけに報道ニュースにばれてしまった。逃げようと思ってもこの人数で逃げようとしたって端から端まで報道陣に囲まれている為どこへ逃げたって無駄だと悟った。
そして、準司もここでようやく報道陣の大人数に圧倒されて気づいた。
今まで皆の命が無事かで心配しているということしか眼中になかった為、まさかここにこれだけの報道陣に囲まれてしまっているのは思いもしなかった。
もうどうしたってどこにも逃げられないのは確実だ。道保堂大学の学生だってもう気づかれているかもしれない。
無事にあのクルーズ船から逃げられることができてやっと名古屋港に逃げられることができたと思った矢先にここまでの報道陣が待ち構えているのは予想外だった。
もうバレちゃった。
ボートで脱出してきた弟子達はカメラのシャッターで逃げようという意欲がわかなかった。まるで尋問を受けるかのような待ち構えみたいになった。
数人の記者がこっちに迫ってくる。もう駄目だ。今までは逃れられたが今度はそうはいかなかった。
「あの爆発したクルーズ船からボートに乗って逃げてきた人達です。おそらくこの格好は、もしかして皆さんは道保堂大学の学生さんですか?偶然にイナズマ団と出くわして戦っていたのでしょうか?」やっぱりそうだった。皆報道陣は、自分達の大学をもう知っていたみたいだ。
こんな時にどうすればいいのか、帰る時はどうしたらいいのかまではヴィジョン教授から何も聞いていなかった。
「それにその装備は何でしょうか?…あっ、前の記者会見でヴィジョン教授が紹介してくれた盾なのですか?」
しまった!盾を隠すことをすっかり忘れてしまっていた。
しかし待てよ、確かにヴィジョン教授が前に記者会見で盾を紹介してたことも忘れていた。そうだ、だったらあまり焦らなくていいんじゃないだろうか?
ただ、三回生を始めに誰もしゃべらなかった。ヴィジョン教授から何も聞いていないし、どうしたらいいかを皆で互いに見つめあうだけしかできなかった。
一人の三回生が記者に話そうとしたその時だった。同じボートに乗っていた警察の人達が岸から登ってきたところだった。
「皆さん、これは今中継の報道ですか?」一人の男性警察が報道陣に聞いた。
「はい!こちらの局は四チャンネル番組です。今この時間ですので中継しています!…」
「こちらの局は中継してはいませんが、この日の朝早くから放送するつもりです!」
一人が喋りだすと他局からの報道陣も話し出してすごい熱量で質問してきた。
「分かりました!とりあえず皆さん落ち着いて下さい!警察の者ですが、皆全員乗客をまずは名古屋港に降ろしてそこからあのイナズマ団を捕まえることができましたのでここからは警察車両に乗せるために通路を開けてくれませんか!?…」
「イナズマ団を捕まえられたんですか!?そのボスも捕まえられたんですか?…」
「乗客全員本当に名古屋港に降ろすことができたのですか!?皆さんの命は大丈夫なんですよね!?…」
「あのクルーズ船にイナズマ団が出てきたというのを何故事前に知っていたのですか?教えてください!」
全国から来た報道陣達はすごい熱量で警察に質問を押し迫った。次々とやっと後ろからボートで脱出してきた警察達も名古屋港に辿り着き報道陣の熱量で質問に答えようとしたかったが答えづらかった。
「すみません!我々警察の者です!確かにあのクルーズ船に乗っていてイナズマ団がいないかを確認していたところでしてそしたら予想が的中しまして、ようやくイナズマ団を捕まえることができました…」
「予想が的中したというのは念のために監視するためにあえてクルーズ船に乗っていたんですか?それともこの学生達の大学教授の予測をしたおかげであのクルーズ船に搭乗していたのですか?」
報道陣はそれでも折れていなかった。まだ聞きたいことが山ほどあるとすごく興奮している。
警察達は呆れて早く警察車両にボスをはじめとするイナズマ団を乗せて移動したいのにこの報道陣は数が多すぎて言うことを聞きもしなかった。
「とりあえず今言えることは前日の夜に特定反社会組織集団であるイナズマ団数十人と今回のボスである十一番目のイナズマ団下級幹部最後の人物であります黒井和希容疑者を無事我々が逮捕することができたことをお知らせいたします。まずはこのイナズマ団がまた逃亡してはいけないのでとりあえず向こうに警察車両が何台も止まっていますので通してくれますか?」
警察がそう報道陣にその情報を言い渡した時に報道陣は聞き逃さなかった。
「イナズマ団とそのボスを捕まえられたのですか!?…」
「どうやって捕まえられたんでしょう?詳しく教えてください!」
そういう質問が飛び交う中、数人の警察達はイナズマ団下級幹部最後の男である黒井和希を青いビニールシートで顔を隠し、そしてその手下のイナズマ団にも青いビニールシートで隠して報道陣に通路を通してくれと頼みながら警察車両に向かっていった。
その様子を逃すまいと報道陣とカメラマン達はあのビニールシートで顔と体を隠しているところをカメラで撮っていた。




