最悪の大爆発
準司達が乗っているボートは名古屋港に向かって突っ走っている所だが、まだ大型クルーズ船から離れているもののなかなか大型クルーズ船からそんなに遠く離れている様子ではなかった。
準司はファインドグラスをずっとはめたままなので詳しい情報がクルーズ船の方に向けていると次々と出てきている。
やっとようやく灯田原や伏竜に辰准教授、そして警察の的場警部も最後のボートに乗ろうとしているところをファインドグラスを通して遠くまで見えていた。
時間は間に合っているのだろうかとだんだん焦りが準司は出始めていた。
クルーズ船の近くで爆発に巻き込まれてしまえば、それこそ一大事だ。一刻もあの距離から離れなければ大変だ。
もう一時間は切っている。午前0時までなるべく名古屋港に近づかなければならないのだが、一番後ろのボートに乗っている人達は本当に間に合っているのだろうか?
…もう少し早く脱出の準備をしなければならなかったのかもしれない。ただ、イナズマ団ボスを捕まえることが自分達の任務だったからそれに集中しているばかりだった。
しかし、まさかこんな時間のタイミングになるとは思いもしなかった。まだあの時はおよそ午後9時すぎだったからそんなにかからなかったはずだった。こんな時間になっているとは考えもできなかった。それは準司も最悪な誤算をしてしまった。
ようやく最後の列のボートがようやくクルーズ船から距離があいてきた。後はあの距離からさらに離れるようにできればいいのだが時間との闘いにはなってくる。ただこのボートも凄く速く走ることができるモーターの機械が取り付けてあるので時間を早めて目的地に到着することができるというメリットは確かにある。
この勢いでなるべく名古屋港まで近づいていけばいいのだが、果たして準司達大学関係者や警察達が乗っているボートがクルーズ船から離れられるか時間との闘いにすごく必死になってくる。
…みんな、本当に大丈夫だろうか…。
準司は皆がクルーズ船から距離がさらに離れられているかファインドグラスを通して確認してみたが、やはり後ろよりのボートに乗っている人達は爆発に巻き込まれる範囲内に入っている。
…まずい、これでは爆発に巻き込まれてしまう。このスピードでもかなりの速さがあるのに、それでも爆発の範囲内に入ってしまっているなら、一体どうすればいいのだろうか?
準司達メンバーが見たあの爆弾の大きさは、人の身長よりもはるかにデカかったのは確かだった。あの大きさはこの目で見たのだ。
あの大きさならおそらくだが、爆発というより大爆発の威力はあるのは間違いない。
映画やテレビドラマで見たことのある爆発事件の様子を自分でも見たことはあるが、クルーズ船に爆弾を仕掛けたというぐらいだとしたら丸ごと船を大破するということなんだろうか?
だとしたらたとえて言うのなら、どれぐらいの破壊力なのだろうか?
…想像しても全然思いつかない。それだけの大爆発だとしたら、もう名古屋港に早く着かないといけないというレベルなのだろうか?
とりあえず、それだけやや危険だというのは分かっている。理屈はもうどうでもいいから、皆全員が名古屋港に着かないといけないのは必須だ。
準司の乗っているボートはまだ名古屋港に着くまで遠い感じに見える。もうクルーズ船と名古屋港のど真ん中まで走ってきたのだろうか?
距離はそんな感じに見えるが、ただ名古屋港に到着できるかの時間との勝負は避けられない。物凄く緊張感が心臓だけでなく体全体に流れてくる。
準司はずっと前を向けられず、後ろに見える大型クルーズ船がどうなるのかと総大将の灯田原と伏竜、大学の辰准教授と警察の的場警部とその他の一緒に乗っている人達はあの距離から遠く逃げられているのかですごく気にしていた。
あの距離では名古屋港に辿り着けれる様子ではない。命を守る為に一体あのクルーズ船からどう回避すればいいのか…。
準司は頭が回ることができなかった。本当は救援に向かいたい気持ちだが、自分達もこのボートで必死に逃げるで精一杯という様子だった。
一方、一番後ろにいる灯田原と伏竜、辰准教授、警察の的場警部は必死にクルーズ船の操縦士の後ろに座って前を見たり、後ろを振り向いてクルーズ船から距離がどれぐらい離れることができているのかを気にしながらボートの限界のスピードに乗っていた。
そして、灯田原と向こうのボートにいる的場警部は特にスマホや腕時計を気にしながら後ろを見ていた。
「灯田原さん、おそらくですけど我々が乗っているボートは最後列ですからこのクルーズ船の爆発に巻き込まれるのは間違いないのでは?だから後ろの向きに合わせて盾で防ぐしか方法がないのでは?」冷静に前を見つめている灯田原のすぐ後ろに伏竜はそうアドバイスをした。
「そうですよ、灯田原さん。このボートだけじゃなくて向こうの警察が乗っている的場警部やその部下の人達も巻き込まれる恐れがあると思います。この場合、我々があのボートとこのボートを一緒にして二つのボートを守るように盾で防ぐというのはどうでしょうか?」後ろに座っていた辰准教授も灯田原に近づいて伏竜と同じように必死のアドバイスをした。
「…全員を守れるように盾で防ぐことができる保証はあるのですか?」灯田原は前を見つめながら二人に聞いた。
「それは分かりませんが、やってみる価値はあるかと思います。そうしなければ全員の命が危ないですよ!」辰准教授は必死に訴えていた。時間が間に合わなくそのまま爆発に巻き込まれてしまえばそれこそ一大事になる。辰准教授はだんだん焦ってきた。
それでも灯田原は冷静になって銅像のように固まっていた。実は灯田原は、二人が言ったアドバイスも含めて作戦を考えていた。何かいい策はないのか、色々と試行錯誤していた。
灯田原は腕時計を見た。あと四十分も切っている。
「…伏竜さん、辰先生、そのようにしましょう。あの的場警部が乗っているボートに近づいて二つの船を一つにして後ろに弟子達が盾で守るという形にしましょう。そうするしか、もう残っていませんから…私は操縦士にあのボートに近づけるように指示します…」
「はい!そう指示します!」辰准教授がそう言うとすぐに灯田原達が乗っているボートに同じ乗っている弟子達に大きな声で伝えた。
「弟子の皆さん!私が話すことをよく聞いて下さい!おそらくこのボートもそうですが、一番後ろに走っているボートは残念ながらあのクルーズ船の爆発に巻き込まれるかもしれません!ですので、弟子達は全員皆を守れるように後ろを向いて盾で防げるようにしてください!あのボートに接近して爆発から身を守れるようにしますので皆も協力してください!」
辰准教授がそう叫ぶと皆は恐怖の色に染まった。やっぱり間に合わなかったのか…。じゃあ下手したら自分達…死ぬのか?…。
あまりの恐怖に自分達も死にたくないと必死な気持ちになって真剣に盾を構えて後ろに振り向いた。
灯田原は操縦士を説得して的場警部の乗っているボートに向かうように右に少しずつ寄っていった。
先頭に走っていたボートは何とか名古屋港に辿り着いた。先頭のボートに続いて後ろのボート達も次々と名古屋港に無事に着いた。
そして、準司達の乗っているボートもやっと名古屋港に辿り着いた。名古屋港の岸から登ろうとしてやっと皆が陸から上がっていったところ、準司達三人もやっと岸辺に辿り着き陸へと上がっていった。
やっと名古屋港に辿り着いた弟子達は、捨てられたクルーズ船をぼうっと眺めながら一番後ろのボートに乗っている人達が心配で非常に恐怖な気持ちが沸き上がってきた。
…もうあの爆発に巻き込まれたらおしまいだ。もう時間もあと何十分とカウントダウンが迫ってきている。もう、恐怖で仕方なくなった。
そういう恐怖の気持ちで船の方に眺めていると名古屋港で待ち構えていた報道陣達がいつの間にか待ち構えていた。
クルーズ船に爆弾が仕掛けられているという話や、イナズマ団が出てきたというニュースで集まってきたのだろう、ものすごい数だ。
そして、準司達弟子達がクルーズ船から必死になって名古屋港にボートで脱出してきたところを一部の報道陣のアナウンサー達が次々と近づいて質問しようと駆け寄ってきた。
報道から逃げようとしようとしたその時だった。
ドッカアアアアアン!
地面が鳴り響いた。地面に振動が伝わったぐらい物凄い勢いでクルーズ船の中から爆発した。
「灯田原さん、伏竜さん、辰先生…皆さん…」赤く燃え上がって爆発した様子を見て準司は絶望の気持ちに一気に変わった。




