炎盾頭の決断
ヘリの爆音がだんだんと近づいてきた。準司達やイナズマ団とボスの黒井のいる丁度真上でヘリは飛びながら止まった。そしてヘリの中から足場みたいなものがあるはしごが下へと落ちてきた。丁度、黒井の真上に降りてきた。
「フハハハハハハハ、残念だったな。警察の皆さんよ。今回はあのイナズマ団を捕まえることができなかったと皆に知られれば全国の皆さんはさらに恐怖を覚えるだろう。そして警察に押し入られて『なんであのイナズマ団を捕まえられなかったんだ?』と叫び声をあげて責められるだろうな。警察の治安を司る仕事が低迷してしまえば、この国はもう終わりだ。残念だな、それじゃあ、あばよ」
黒井がはしごに足にひっかけて捕まるとヘリは一気に急上昇して素早く船から逃げていった。しかも仲間を船に残して自分だけ逃げていったのだ。
警察も「待て!」と言ってヘリに向かって銃を撃ったが全く届いていなかった。
「まずい、あのボスを逃したら一大事だ。警察もヘリの準備ができないか?」的場は必死になった。
「あっ、はい!できなくはないですが、ただ時間が間に合いません!」警察の部下達も焦っていた。
「それでもいい。奴を止めるためにヘリ数機を早く出動するようにとそう伝えろ!…」
「あっ、はい!」部下の一人は急いでスマホを取り出し警察のヘリの出動の電話を入れた。
…しかし、なんだか様子が変だった。黒井が乗ったあのヘリが途中で向こうに飛びながら止まっていた。
…まさかと的場はふと感づいた。的場だけでなく、灯田原と伏竜も感づいていた。
あの動き…まさか…。
そう思っていたその時、ヘリが向こうに逃げたかと思ったら今度はこっちに飛んできた。すごい速さで船に迫ってくる。的場、灯田原、伏竜は皆を守る為に急いで「皆、安全なところに隠れろ!」と叫んだ。
そう叫んでいるその時、ヘリに固定されている銃弾が船に向かって襲い掛かってきた。
「危ない!」と叫んだと同時に大学の弟子達は盾で警察達を守ろうとした。何とか守れはしたものの、その一方で…。
「あっ!松田さん!」警察の松田という若い二十代の男性があのヘリの銃弾で左腕から肩のところに撃たれたのだ。
「松田!しっかりしろ!松田!」的場が駆け込もうとして松田を抱えようとしたその時、またしても黒井の乗っているヘリが銃を乱射してきた。
「危ない!」と皆は必死に警察も含めて壁に隠れたり、一階のフロアに戻ってドアに隠れたり、外にいる人達は盾で身を守っていた。
よく見れば銃弾の跡が残っている。確かにあの銃弾跡を見ただけで当たったら死ぬのだなというような生生しさが伝わってくる。
「皆!大丈夫か!?とりあえず自分の命を守ることを第一に考えろ!」的場も必死に大声で叫んだ。
「松田、大丈夫か?…」
「は…はい。ただ…左腕を撃たれた…だけです。止血さえできれば…大丈夫です…」
「ああ、そうだな。すまない!誰か止血できる道具とかないか!?」的場がそう大声で聞くと、伏竜がすぐ様銃弾を交わしながら盾で防ぎながら鞄の中から医療に関する道具を取り出した。
「僕は医者じゃないですが、これなら止血できると思います。止血の協力をしますので…」
「ありがとうございます。急いで止めましょう」的場は感謝した。
「警察の方に、僕からも。僕も大学教授なので医者じゃありませんが止血する為の道具を最初から持っていましたのでこれを使ってください!」辰准教授だ。いつの間にか鞄から取り出せている。素早い対応だ。
「貴方もですか?感謝します」二人の大学関係者から医者の専門ではないのに協力してくれていることに的場は感謝していた。
「フハハハハハ!これさえできれば神威様から何と褒美をおっしゃってくださるか。これで俺は上級幹部になれる。おめえら、ちゃんと仕事しろよ…」
「言われなくても分かってますよ、黒井様よ」上級幹部にいる部下達四人男女はそう返事した。
黒井らイナズマ団が乗っているヘリは何度も船に近づいたり遠ざかったり、行ったり来たりしながら何度も銃を乱射して船の上にいる警察や大学関係者達に攻撃しまくっている。
これでもかとしつこくヘリの銃撃で狙っている。
「くそお、一体どうすればいいんだ?これじゃあイナズマ団の思う壺だ」的場は冷静になりなかったが何かいい方法がないか頭が回らなかった。
「警部!警察と救助専用のヘリを神奈川県横須賀から出動したと連絡が入りました!…」
「そうか!よくやってくれた。ただこの状況の中で耐えるしか…」
的場は警察ヘリが到着するまで計算もしていたが、イナズマ団のヘリの銃撃で隠れても違う方向から狙ってくる為ずっと隠れている場合ではないのも分かっていた。
…一体どうすればいいのか?
大学の皆も必死に盾で防ぎながら時間を稼いでいた。中に隠れて身を隠す方が安全なのはわかっていたが、中に隠れようとするとイナズマ団は次に中に向かって銃撃してくるかもしれないと予測できる為ただ盾で外でいるしか方法がない。
準司達も外で危険も承知でイナズマ団の攻撃を盾で防いで警察ヘリが到着するまで時間稼ぎをするしかなかった。葵や将吾も外で奮戦していたが、これは危険だと判断した時は中に入るしかないと考えていた。
伏竜や辰准教授は伏竜の盾を使って警察の負傷した松田と的場警部を守ると同時に負傷した松田の手当をしていた。
灯田原やその他の弟子達はイナズマ団ヘリを相手に盾で攻撃から身を守り、あのイナズマ団のヘリをどうすればいいか考えていた。
…このままでは皆が危ない。何かいい方法がないのか?
灯田原はしばらく盾で攻撃をかわしながら考えていたが、ふとある作戦を思いついた。そばにいた準司を見てこれしかないとアイデアがほっと明かりが灯ったかのように思いついた。
「三田原、お前の白い鞄の中からヘルメットがあるか確認できるか?…」
「えっ?…ヘルメットですか?ちょっと待ってください。あのヘリの攻撃がいつ襲ってくるか分からないのでこれが精一杯です…」
「攻撃をかわすなら俺がお前の分まで守ってやる。大丈夫だ。その隙に鞄の中からヘルメットを取り出してくれ…」
「分かりました」準司は灯田原の後ろに回って白い鞄を背中から下ろしてヘルメットがないかガサガサと音を立てながら探し出した。
また、イナズマ団のヘリがしつこく攻撃してきた。もう船の周りは穴だらけだ。それでもイナズマ団は殺そうと躍起になっている。
準司はやっとヘルメットを取り出した。ヘルメットを取り出したことを灯田原に伝えると灯田原はある作戦を準司に伝えた。
「ヘルメットをサッカーボール代わりにするわけだ。但しチャンスは一回だけだ。あのヘリに命中すれば奴らの動きを封じ込めれる…」
「えっ?じゃああのヘリに届くようにするにはどうやって?…」
「任せろ。ある秘策をここでも用意できているからな。この靴に仕掛けを用意しておいた。ただその前にファインドグラスであのイナズマ団のヘリに狙いを定めるようにしないといけない。その間、三田原は俺の前にそのヘルメットを置いてくれ…」
「分かりました」準司は灯田原の言われた通りにヘルメットを前に置いた。
ただ準司も心配していたが、暴走しまくっているイナズマ団のヘリの動きを止められるようにしないといけないのと一発でヘルメットを蹴ってヘリに命中してぶつけないといけない。
そんなこと、灯田原は本当にできるのか。一発で仕留めないとそれこそ終わりだ。警察ヘリがここに到着するまで時間稼ぎしようとしたってまた負傷者が出てしまうのもおかしくない状態だ。
…それでも灯田原は自信が何故か漲っている。準司からは何も聞いていないがおそらく灯田原は元サッカー部の経験があるのだろう。何かそんなものを感じる。
灯田原は背後から攻撃してきたイナズマ団ヘリを盾で交わすと目の前に出てきたイナズマ団ヘリに狙いを定めるようにファインドグラスで距離とタイミングを計った。そして、ヘルメットを右足でリフティングして炎盾を使ってヘルメットをさらに上に上げた。
「炎の舞、二の技!」炎盾から炎が噴き出てきてヘルメットを空高く宙を舞った。そして灯田原は、おもいっきり本物の一流サッカー選手のようにヘルメットに蹴りを入れてそのまま遠くまで蹴っ飛ばした。
一か八か賭けに出た灯田原は、イナズマ団ヘリに命中できるように真っ直ぐに遠くへヘルメットが飛んで行った。
一瞬かすってしまったかと思ったがその時、ヘルメットはイナズマ団ヘリの腹あたりから上部の後ろらへんまで貫通した。
黒井もイナズマ団の下っ端も「何事だ?」と一瞬後ろを振り向いたその時、イナズマ団ヘリの一部の所がドカーンと音をたてて爆発した。
灯田原の蹴ったシュートは命中したみたいだ。
「何だ何だ!?一体何がおきてんだ!?…」
「黒井様!何かにぶつかった理由かと…」
「おい、このヘリをどうすればいいんだよお!?」
「私に言われても…」
「くそおおおお!」
イナズマ団ヘリは危険信号の音を立てながらだんだんと揺れてくるようになった。そして、ますます降下し始めた。




