十一番目のボスとの決戦へ
的場警部と盾頭の二人を先頭に準司達は上の階から下に降りていくようになるべく素早く走った。
あともう一息でイナズマ団全員を捕まえて十一番目の男と対峙できる。捕まえた後は早く別の船に乗り移るようにしないといけない。
…まだ船にいるとしたら。おそらく外だ。船内はもう自分達の大学メンバーが見つけ出したから後は船の外側にいるしか考えられない。
外といったら屋上である一番上の階と、後ろ側のプールサイドと、そして前の場所である船の先頭部分と各階のベランダといった四ヶ所だ。
自分達も外に出てしばらくはイナズマ団の連中を探していなかったが、各それぞれのみんなは外を捜索できているのだろうか?
幸い雨が降っていないので、おそらく外に出たメンバーは捜索してくれたのかもしれない。
本当なら自分達も行きたかったが、準司はここまで来て何か奇妙な事が思い浮かんだ。
…そういえば、屋上と後ろのプールサイドは他のメンバー達が捜索して、爆弾の解除とイナズマ団を捕まえたという情報を耳にした。
後残っているとしたら、前の船の先頭部分はまだ情報が入っていない。ということはその場所におそらく十一番目のボスがいるのかもしれない。
確かまだ準司達のメンバーだけはその船の前側のところに行ってなかったなあ。またもう一度一階に降りてそこから外に出られる出入口を開けて外に出てみるとしよう。
なるべく速く走り、階段を下りながら、止まっているエレベーターを使って下りながら準司は頭の中で計画を立てていた。
「あっ、辰先生!」灯田原がここにいますよと手を挙げて合図すると辰准教授も灯田原達に手で下から合図を送った。そういえば昼食をとっていた時以来全く会えていなかった。
そして辰准教授のすぐ後ろに坂本やそのメンバー達もいることに気づいた。辰准教授と出会えたのは六階の廊下で出会えたのでそこで合流した。
「辰先生、そちらの方はイナズマ団を確保できましたか?」灯田原が聞いた。
「ええ。後ろの方にもイナズマ団がいることに気づけました。学生達諸君も訓練の成果を見せてくれましたよ。おかげでイナズマ団は三人いましたが、全員捕まえることができて警察に引き渡したところでして、そして今また前の方に向かってきました」辰准教授をはじめ皆も走ってきたのだろう、息が切れるまで走ってきたみたいだ。
「地下に爆弾が仕掛けられているんですよね?なるべく地下に近い階には近づかない方がいいかと思いますが…」
「はい、それは皆にも伝えています。なるべく一階のフロアも含めて一階から三階まではなるべく近づかないようにはしないといけないかと考えられます」灯田原は詳しく説明した。
「そうですね。確か爆発するのは午前0時丁度でしたよね?それまで間に合わせるように別の船に移動する準備をしないといけませんね…それまでイナズマ団のボスを必ず捕まえないといけないかと思いますが、まだ見つかってないんですか?」辰准教授は聞いた。
「そのことなんですが…まだこれから見つけるしかないかと。もう日が暮れる時間になりましたからなるべくすぐさま見つけないといけません」灯田原は焦りそうになってきたが冷静さは保ったままだった。
「そうですか…まだ見つけれてないか…屋上の方にいるとかは…」
「いや、屋上は僕が辺りを探していましたが、爆弾が見つかったのとイナズマ団の部下を捕まえられたのでおそらくボスはそこにはいないと推測できます。それに船の真ん中辺りの階全部を学生達とくまなく探しましたがいませんでした」伏竜が事情を説明した。
「なるほど…屋上にもいない。私は後ろのプールサイドやその周辺全部の階辺り全部を探しましたが、伏竜さんと同じく爆弾やイナズマ団の部下を見つけられて肝心なボスはそこにはいませんでした」辰准教授も事情を詳しく説明した。
「…ということは残るはただ一つ、船の前方のどこかにいるということか」灯田原は確信した。三つに分かれて真ん中にもいなく、後ろにもいないということはもう消去法で船の前らへんのどこかにいるとしか考えられないということが分かった。
「その前らへんというのは、捜索していたのは灯田原さんでしたよね?ボスがいるとしたら…」
「ええ。前の全部の階を細かく探していました。ただイナズマ団の部下達を学生全員が各それぞれの場所を探して見つけて捕まえられたのと、皆と手分けして爆弾がないかを探していたら爆弾が見つかったので見つけ出して爆弾処理班に爆弾処理してもらいました。ただまだ、ボスがどこにいるのかはまだ見つかっていない具合です」灯田原はここまで探して見つからないというのは何かマジックでも仕掛けて見せかけないようにしてあるのかとも考えがよぎったが、他にまだどこかに逃げ込んでいるとしたら一体どこに隠れているのかもう一度頭の中で探ってみた。
部屋の中にいるのか、遊び部屋にいるのか、それとも全ての部屋のバルコニーにでもいるのか…。
しかし、そこらを捜索しても見つからなかった。…ということは…まさか…。
「灯田原さん、僕もふと考えていたんですけど、もしかしたら船の一番前にある外側にいるんじゃないですか?」準司はつい言いたくなった。
「一番前にある外側?…」
「はい、灯田原さんはその場所を探しましたか?」準司が灯田原にそう聞いてみると灯田原は初めてこの船に乗ってからこの時間になるまで船の先頭部分を眺めたことがあっただろうか?
…そういえば、ほんの一瞬だったが前を眺めていたことがあった。その時にたくさんのお客さんが先頭から海の景色を眺めていたが、その中で一人黒い服と黒いズボンを履いている普通ならなんだか怪しいことをしている男がそこにいたのを見ていたのを覚えていた。
「…まさか、あの男が…」
「灯田原さん!もう中をこれだけ探してもいないなら、外のどこかにいるしか考えられないかもしれません。僕もずっと考えていたんですが、確かに見つかりにくいところで指示をして行動するのが悪い連中の動きかもしれません。でもそれでも見つからないなら、外からの指示を出す方がやりやすいということもありうるんじゃないでしょうか?そう考えてみると、残る場所は一番前の外にある先頭部分じゃないかと思うんですが」準司はもう確信がついたという程自信があった。
ただすでに逃げてしまったかどうかが心配だったが、おそらくだが自分達をわざと待っているかのようにまだ船にいるんじゃないだろうかと準司は感じ取っていた。
…やっぱり感じる。強く感じる。十一番目のボスはわざと船のその場所に留まっているのかもしれない。
「お話中すまないが、もう時間がない。とりあえずその場所まで行った方が一番早いと思うんだが何か止まらなければならない理由ということがあるのか?」そういえば的場警部や警察達が着いてきてくれているということを忘れていた。大学の関係者全員はびっくりしてしまった。
しまった。警察の皆さんを忘れていた。
「あっ!すみません。警察のみなさん、居場所はどこか分かりました。とりあえずそうですね。一番前のところまで行きましょう!」そして灯田原を先頭にもう一度一階のフロアまで速く降りて行った。
ついに一階に辿り着いた。そして、まだ外に出られる出入口のドアの前に立った。窓から外の景色を見た。もう夕暮れ時なので暗くてあんまり見えなかったが何か黒い服を着た数人が座ったり、立って何かしていたりしている姿が見えていた。
それにあの銀色に輝いているあの仮面は…間違いない。あれだ。あれがイナズマ団の連中だ。あの中にボスがいる。
準司はやっぱりと確信した。
外にイナズマ団がいる。皆は顔を見合わせて全員「うん」と頷いて出入口のドアを「いっせいのーで」と小声で唱えておもいっきりドアを開けた。
皆全員が外に出ると、イナズマ団はふと振り向いてまるで猫が一斉に振り向いて逃げていくかのように銀色のドクロをはめたイナズマ団の部下達は急になって動き出した。
警察もその速さに負けてなかった。拳銃を構えてイナズマ団に向けて狙いを定めた。大学の弟子達はなるべく前に出て盾を構えて残りのメンバーは失神銃を構えてイナズマ団に狙いを定めた。
しばらく互いが硬直状態になった。誰も口を開かなかった。そして、警察の的場警部はイナズマ団に向かって大きな声で話した。
「お前達イナズマ団!不審物設置違反と運営妨害の疑いで逮捕する!そして、黒井和希容疑者!反社会勢力集団、イナズマ団要注意人物指名手配の理由で逮捕する!…」
「フハハハハハハハ!」丁度真ん中で立っていたドクロを付けた男が突然甲高い笑い声をあげて顔を上に向けた。
「おいおい、遅かったじゃないか?俺たちだってお前達と戦いたかったんだぜ?やっぱりそこは鈍いなあ」そう言ったこの男はドクロの仮面を外した。
笑みがまだ隠しきれていなかった。やっと見つけた。この男が指名手配されている一人でイナズマ団十一番目のボス、黒井和希が姿を現した。




