十一番目の二番手女
やっと一人目のイナズマ団を見つけた。
警察の二人は四人の弟子達にそのイナズマ団女性の居場所を案内され、再び一致団結してエスカレーターに乗ってその上の階まで急いで登って行った。
ただ、段々と近づいていくと相手に気づかれる恐れがあるため、その時は慎重に近づいていった。
誰も声も出さずその上足音や物音をたてないように動かないといけないのは誰でも自然と分かっていたので全員皆お互いに目を見合った。
ここからはおそらく敵との戦いがまた始まるだろうから警察の二人は四人にくれぐれも気をつけてとうんと頷いて恐る恐る忍びながら上の階に続いているエスカレーターに乗ってその階へ向かった。
丁度真ん中の階の六階にたどり着いた。
四人はファインドグラスを通してもう一度上の階へ眺めた。
…何度も上を眺めていると、あのイナズマ団は何階にいるのか段々見えてきた。
…あれは十二階じゃなかったみたいだ。…あれは十階にいることが分かった。
「…ここから聞こえてるんですかね?」小さな声でファインドグラスに映っている黒い影を見張りながら準司は瀬戸川に聞いた。
「いや、大丈夫だ。小声ならそんなに緊張する必要がない。ただ、相手も何か機械を取りつけているかもしれないからあまり声や物音を出さないようにだけはしておいてくれ」瀬戸川も準司の方に振り向いて小声で返した。
「ところで、そのイナズマ団は何階にいる?…」
「十階にいるのが分かりました」瀬戸川が聞くと準司は正確な情報を伝えた。
「十階か…もう少ししたら出くわす時だな」瀬戸川もだんだんと緊張感が出てきた。
瀬戸川だけじゃなく、他の皆も緊張が増してきた。
やっと八階に着いた。心臓がバクバクしてきている。その潜伏している階にたどり着くまで奴にバレたらかなり危険だ。盾で素早く皆を攻撃から守るのは問題ないが、意外な所から攻撃してきたら致命傷だ。
…ん?待てよ。意外な所から?…まさか、それって…。
準司は後ろや周りを見渡した。あのイナズマ団以外にまだ隠れているイナズマ団がいるのかもしれない。
しまった!肝心な事を忘れていた。
準司は急いで周りを見渡し、他にどこかにいるのかをファインドグラスを通してもう一度確認した。
…この中にまだ他のイナズマ団がいる。
準司はその気配を感じ取っていた。まだ黒い人影が映っているのか、急いで探したがそれらしきものは映っていない。
…そこまで観察しなくていいっていうことか?
「ねえ、準司。さっきから何してるの?」葵は準司の肩をトントンと聞こえないように叩いて小さな声で準司に聞いた。
「いや、まさか他にイナズマ団が隠れているかファインドグラスで探していたんだよ。今のところ周りを見渡してたけど、他にいなさそうだ」
準司がそう小声で言うと、後ろにいた葵と将吾も周りを見渡した。一番後ろにいた皆藤もそれに気づいてファインドグラスで辺りを見渡した。
…確かにこの緊迫感、何かが感じてくる。その女性のイナズマ団に近づいている緊張感は皆分かっているが、何かイナズマ団の数人か分からないが別の誰かが何か罠を仕掛けているんじゃないのかというそういう別の気配を感じる。
特に準司が一番感じていた。ファインドグラスを通して見渡して別の誰かがいる気配を感じるのに何故か人影が映っていない。
さらに奥のどこかで隠れて何かしているんだろうか?
まさか逆に自分達の動きを監視できる機械を使って見張られているとかされているのだろうか?
もしそれが本当なら最初から見張っているのが分かっているということだ。少数の人数で次にイナズマ団はどんな動きをしてくるのかが次の何かがおきた時に分かるということだろう。
ようやく九階まで来た。このエスカレーターで登ればそのイナズマ団にたどり着けるが、いきなり姿を見せれば危ない目に合うということもあるため丸見えになる前に別のルートで攻める作戦でいくのが賢明だ。
だからこの場合、エスカレーターではなく階段で別まわりすることに皆は決めた。
「…階段って上に行く場合どこにあるんですか?」将吾が小声で聞いた。
「あれじゃない?あの奥にある非常口って書いてあるあの出口のことだけど」皆藤がいち早く見つけて指指して小声で教えてあげた。
「少し遠回りになるな。だけどどうだろう?もし非常階段にイナズマ団がいるとしたらこっちの計算がしくじったことになるかもしれないな。でも真っ正面から突入するより裏から回るしか…」瀬戸川は一旦その場で止まった。
「とりあえずあの非常階段を使おう。裏から回る。行こう」瀬戸川がそう決断すると静かに移動して、銃を構えた後、道村も銃を構え四人は盾と失神銃を持ち盾を前にして瀬戸川のすぐ後ろに着いていった。ただ瀬戸川と道村が盾だけは持ってなく警察なのでなるべくイナズマ団からの攻撃に備えられるように準司と皆藤が瀬戸川と道村のすぐ横に並んであげた。
非常階段に入っていった。足音が響くのでゆっくりと足音を立てないように上へと登って行った。
段々と十階に近づいてきた。瀬戸川と道村は銃を真っ直ぐに前に向けて、そして狙いを定めるように構えた。
すぐそこにイナズマ団がいる。
皆はそう覚悟して十階の非常階段の扉をおもいっきり引っ張った。そして…。
「動くな!」瀬戸川と道村は銃を突きつけた。
しかし…。
さっきいたそのイナズマ団がいない。
「あれ?…おかしいなあ。さっきまでここにいたはずなのに」準司達は確かにファインドグラスで女性のイナズマ団を見たのだ。今まで赤く光っていたのにどこに行ったんだ?
そう思って辺りを探そうとしていたその時だった。
「あっ!危ない!」準司が一番速く気づいた。
天井にその女を見つけた。天井からなんとどうやって張りついているのか、そこから両手で二つの銃を連発した。
直ぐ様、準司達は瀬戸川と道村を盾で守った。危機一髪だ。もう一息で撃たれる所だった。
「警察の皆さん、大丈夫ですか!?」準司が聞いた。
「ああ、大丈夫だよ。この通り、傷などついてない」瀬戸川が答えた。
「道村さんは?」準司は続いて道村に聞いた。
「私も大丈夫よ。心配しないで」道村も無事だった。
天井に張りついているその女のイナズマ団は背中に張りついたまま二つの銃で六人に狙いを定めた。
「ちっ、後もう一息で殺せたというのに盾で凌ぐなんて。なんて卑怯なのかしらね」この女は喋った。
「あんた達、この私を捕まえられるとでも思う?私のこの二つの銃と、あんた達の持っているその盾やらとどっちが強いか。ちなみにイナズマ団というのはね、マジックが使える集団とでも言うのよ。このからくりを解いてみれば何となくどうやって私を倒せるか分かると思うけど。あっ、そっかあ。あんた達には難しすぎたかしら…」
「ふざけるな!お前達のせいでこの船が爆弾によって海に沈むんだぞ!どうしてくれるんだ?この船がデビューするまでお客さん達がどれだけ待ち遠しく楽しみにしていたのか。それがこんな形で船に乗るのがこれから怖がって抵抗する人達が次々と出てくるんだぞ。一万人という客人達がさっき名古屋港に降りた。沖縄まで楽しみにしていたお客さん達がどれだけ残念に思っていたか、お前達は分かっているのか!?」
瀬戸川は冷静にこのイナズマ団を説教した。
するとその女はハハハと笑い出した。良い説教だと瀬戸川を馬鹿にしている。
「そうねえ。勿体ないことを私達はしてしまったわねえ。…フフ、じゃあ、私をどうやって捕まえるのかのお遊びを始めましょうかあ?」
この女は両手で二つの銃を六人に突きつけた。
どうやってこの女を捕まえるか、警察も準司達も必死に考えていた。




