危険の覚悟
まだ船の前に立っていたこの十一番目のイナズマ団ボスはまだ捕まっていないイナズマ団からの知らせを聞いていた。
「…何?真哉までもが捕まっただと?」十一番目のボスの黒井和希はまさかと衝撃の表情を見せた。
「大変申し訳ございません、黒井様!あの炎の盾頭に負けたとのことです…」
「それでここにいるイナズマ団の人数はどれだけいる?…」
「それが…数人規模になったかと…」
「何だと!?」黒井は感情が爆発した。まさかあの盾頭に負けるなど、それに乗客達を完全包囲したというのにあの大学生らと炎の盾頭に救われるだと…?
「…あのヴィジョンという大学教授の手下達は今どこにいる?船にまだいるのか?それとも半分に別れて船に残る人と港に降りた人とそれぞれ散りばめたのか?…」
「それが…まだ分からない様子でして…」
「おのれえ!だったらそいつらを追ってこい!見つけ次第その場で必ず殺せ!…」
「あっ、はい!」
そして黒井はスマホの電話を切った。
「せっかくの出来が完璧に完成できたというのに、何故だ?何故俺の作戦がこんなことに…くそっ!」黒井は予想外の出来事に怒りが沸いてきた。
しかし、黒井はあることを思い出していた時表情が変わった。
「…ただどうだろうなあ?ヴィジョンの弟子達よ。この俺を捕まえられるかな?爆弾炸裂のカウントダウンの中でさすがにここまで追ってくることはないだろう」その予想をしているとますます笑いが込み上げてきた。
「つまり、爆弾が炸裂するのは承知の上で船の中に居続けながらその十一番目のイナズマ団を捕まえるということですか?…」
「そういうことだ」三回生の女子が聞くと灯田原は返事した。
「じゃあ皆全員この船に居続けなければいけないということですか!?」その隣にいたもう一人の三回生女子があまりの恐怖に負けて聞いた。
「絶対ということではないが、ここで作戦会議をしようと思う。正直このばかでかい船の全部にまだ他に爆弾が設置されているのかというと、探すという時間はないがそれでも警察と爆弾処理班と一緒にできるだけ探すつもりでいる。まだ立て籠っているイナズマ団を捕まえることと、十一番目のイナズマ団ボスを捕まえることに集中したいと思う」灯田原は分かりやすく説明した。
「地下の爆弾が爆発した時、僕達はどこに逃げればいいのですか?」この二回生男子は重要な話を怯えながら灯田原に質問した。
「勿論この一階のフロアも爆発に巻き込まれるだろうな。爆発する前に別の船に急いで乗るか、それとも逃げ遅れた場合一番前に逃げるかだ…」
「その別の船ってどういう船なんですか?」三回生男子が聞いた。
「実はだな、ヴィジョン先生が外から海上保安庁の船に乗りながらこの船を監視している。ヴィジョン先生がギリギリの時間まで攻めるからその時に船をここまで来てくれるみたいだ。その時にリタイアしたいならヴィジョン先生の乗っている船に乗ればいい」
しばらく弟子達は黙り込んでいた。この船が爆発した時ってどんな感じなんだろう。ここの一階のフロアまで火の海で巻き込まれるのなら命の保証はないということなのだろうか。そんなことしてまで危険な覚悟をしなければならないんだろうか?
それが本当なら余計に怖くなってきた。爆発の威力がよほどでかければ盾頭の二人も辰准教授も弟子達に「死ね」と言っているのと同じということなのだろうか?いや、これはまずありえない。冗談なのだろう。
ということはやっぱり巨大な船だからそこまで爆発の被害に巻き込まれないということだろうか。それだったらいいのだが…。
「じゃあここからまた新たな任務をお前達に言い渡すからよく聞いておけよ。大きく分けて三つに分けてまだやり終えていない仕事をしてもらう。一つ、乗務員全員の命の安全を確保すること。名古屋港を出発した後に操縦士が名古屋港から相当の距離をあけるためにある海までこの船を移動します。その次に操縦士含めて乗務員全員を海上保安庁の船に乗せてこのクルーズ船から脱出させてあげます。二つ目、イナズマ団がまだ乗っている可能性が高いことからなるべく時間内に探し出してすぐさま捕まえること。三つ目だが、十一番目のイナズマ団ボスを捕まえること。…この三つだ。だが、時間内に間に合わなくなってしまった場合、怖い人がいるのなら無理にクルーズ船にとどまる必要はない。一緒に海上保安庁の船に乗り換えて逃げるも別にありだ。ただ、俺たちの任務を侮辱したことについては責任を問うてもらう。…言っている意味が分かるか?」灯田原は少し圧をかけた。
辰准教授はどう思っているのかは別だが、灯田原と伏竜は死ぬ気でやれという怖い覚悟を持っているのは聞かなくても顔見ただけでひしひしと感じてくる。
「…分かっているならそれでいい。あとそれから、地下にまさかとは思うがイナズマ団がいるということはまずないと推測できる。あそこは逃げ場が一つしかないからまずいるはずがない。そこは気にするな。そして、上の階だが逃げ遅れてしまった客人がまだいるかもしれないからその場合は素早く海上保安庁の船に乗せてあげることを忘れるな。まだエレベーターが使えると思うから使えるエレベーターで客人を急いでここの一階のフロアに下ろしてあげることだ。もしエレベーターが使えない場合は階段があると思うから階段を使って一階に下りてくるように、いいな?」
弟子達皆しぶしぶと「はい」と返事した。午前0時まで急いでこの船から全員脱出できるようにするのとイナズマ団全員とボスを捕まえて警察に引き渡すことの大きく分けて二つの任務を成し遂げなければならない。
話を聞いていた準司は灯田原に手を挙げて質問した。
「灯田原さん!質問していいですか?」準司が急に質問したので葵や将吾はそうだが、周りにいた人達も準司の方に向いてびっくりしていた。
「ん?おう、三田原か、何だ?」灯田原も聞いた。
「まず先に名古屋港から遠い距離の海に船を止めてから乗務員全員を別の船に乗せます。その後なんですが、イナズマ団とその十一番目のボスを捕まえるのが最後の任務になってくると思うんですけど、午前0時までそのボスを捕まえられなかった場合、爆発してしまいますよね?その時はどうすればいいんですか?…」
「そのボスを捕まえろ…」
「えっ?」準司は意外なことに戸惑った。
「つまり、それって…」
「そうだ。爆発してしまおうが何だろうが、イナズマ団全員と十一番目のボスまとめて捕まえろ」灯田原はそれでも強気だった。
「えっ!?でも爆発したら命の保証がないんでしょう?それでもどうなっても捕まえないといけないんですか?」坂本と一緒に爆弾処理で爆弾を探していた町田が手を挙げて怖がりながら質問した。
「当たり前だ。というか前からお前らの仕事何なのかをヴィジョン先生から教わっただろう?俺たちの仕事の目的はイナズマ団全員とそのボスを捕まえることだって。その覚悟を決めてここに来たんじゃなかったのか?何の為のあの訓練だったんだ?えっ?そうだろ?…イナズマ団も相当な強敵だと知っているだろ?そのイナズマ団をまたここで取り逃がしてそのままにしておくのか?そんなこと、許されるとでも思ってんのか?…君がそんな質問するなら乗客の人達と一緒に名古屋港に降りるか?降りたいなら降りてくれてもいいんだぞ?その代わりという後でどんな目に合うのかをヴィジョン先生から処分を言い渡されるがそれでもいいのか?町田?…」
「いえ、ただ聞いただけですので。勿論、任務は最後までやり切ります!…」
「じゃあ、ちゃんと真面目にやれ…」
「はい」町田は恐怖と戦うことに決めてやるしかないと覚悟を決めた。
「三田原、お前も真面目にやれるか?…」
「勿論です。最後までやらせてください!…」
「いいだろう。最後までしっかりやれ」
「はい!」準司も覚悟を決めていた。
「よし、ここまでよく頑張っているが後もう一息だ。俺たちの任務は、この事件を犯した十一番目のボスを捕まえることだ。最後まで気を引き締めるぞ。よし、じゃあ最後の任務に取り掛かれ!…」
「はい!」灯田原の掛け声で皆もやるしかないと覚悟した。そしてまず先に何をすべきか、皆一斉に動き出した。




