必死の時間稼ぎ
しばらくは睨み合いが続いた。銀色のドクロをはめたこのイナズマ団の連中はライフル銃で準司達を四方八方に囲んで狙いを定めている。
そして中にはニタニタ笑っているイナズマ団もいれば何ともびくともしないイナズマ団がいたりとそんな表情で準司達に狙いを定めている。
イナズマ団のこの人数は一体どれだけいるのだろうか?まるでステージを囲んでいる客人達の人数に似ている。真ん中のステージには準司達島操縦士も含めて七人がスポットライトを当てられているみたいだ。
…やっぱりヴィジョン教授の予想は当たっていた。この『ヴィクトリア・プリンセス号』にイナズマ団が必ず出てくるという部会で話したあの内容が的中した。直ぐ様でもスマホで動画を撮ってヴィジョン教授を始めに、盾頭の二人と辰准教授に知らせたいが、いつこれらの敵がライフル銃で撃ってくるのかで危険すぎて身動きができない。
今できるとすれば、盾で銃弾を弾き返して持ちこたえるのとスマホを隠して全員にラインでこの状況を知らせるということぐらいだ。
ただ、ここで以前に修業してきた技覚えで技を繰り出して目の前のイナズマ団と戦えるかだ。
「君たちケガだけはしないでくれよ。盾で守ってくれるのは有難いけどまだ君たちは大学生だから自分の命を守るだけはしてくれ…」
「大学生だと?」瀬戸川が話している時に遠い距離からでも聞こえたのか、上から男性の声が聞こえた。ガタンゴトンと階段を下りてくる音が聞こえた。
「まさかここに道保道大学の学生が来てくれたとは…大歓迎しなければなあ。しかしよ、そこの大学生達、俺達はこれだけの人数がいるんだぜ。降参するか、それとも銃撃戦を楽しむかだ」その男は階段を下り終えるとしたっぱの連中は道を開けた。
こいつは一体誰なのか。まさか十一番目の男なのか?準司達や警察はふとそう思ったが、何か様子が変だった。
「お前は、十一番目の容疑者か?」瀬戸川が銃を構えながら大声を出した。
「おいおい、そんな叫んでどうすんだよ?本物の十一番目のお方ならここにいないぜ…」
「だったらお前は誰だ?本物の十一番目はどこにいるんだ?」準司は思わず大声で聞いてしまった。
「おお、誰かと思ったら、あのかの有名な三田原準司じゃないか?神威様がどうしても手にしたくて仕方がないおみやげがなんとここに来てくれたとは…なんたる光栄だ」この男はゆっくりと準司達七人に近づいてきた。七人もこの男から距離を開けようと離れた。
「ふふふふ、そんな怖がらなくていいじゃないか?せっかくこうして会えたんだから。…これを見るがいい」ついさっきから吊り下げられている丸い黒い鉄球に指を指した。六人ともこれは何なのか予想がついていた。
「これこそ自信作であるイナズマ団が開発した時限爆弾式感電爆弾だ。ちょっとでも触れてしまえば時限爆弾が反応しそのままカウントダウンしてしまう。残念ながらこの爆弾、もはや止めることができない。触れてしまえば感電して即死だからな。破壊しようとしてしまうのもこれこそ一気に大爆発だ。どうだ?君らも止めようとしてもどうすることもできないぞ。我々の素晴らしい開発が成功したのだからな。さあ、どうする?そこにいる警察でさえ止めることができないのだからな、残念だったな」
これが感電式時限爆弾…一体どうやってここまでこんな危険な爆弾をここまで持ってこれたんだろうか?それにあの時、荷物検査をしてなかったんだろうか?おそらくこんな巨大な爆弾を持ち運びするのはできるわけがないからここで組み立ててからこのようにして爆弾を設置したのだろう。身動きがとれない中でどうやって皆に連絡すればいいんだ?…できるとしたら、ラインで全員に連絡するしかない。これだけのイナズマ団の人数だからかなりまずい。一つでも動いてしまえば銃で撃たれるのも確かだ。連発してくるならもうおしまいだ。
…警察二人でさえこのイナズマ団の人数に太刀打ちできない状況だから、手も足も出られないのだろう。
でも、一か八かやってみるしかない。ここでじーっと固まってばかりいるだけでは何も始まらない。というより一刻も早く船内にいる乗客全員を次の港に降ろさなければならない。そうするしか、爆弾の被害から免れられない。少しでも触れてしまえばこの時限爆弾がカウントダウンするし、二回目に触れてしまえばもうおしまいだ。
まず自分達がやらなければならないのは、皆にラインで連絡する事、イナズマ団を盾で封じ込めて乗客全員に次の港で降ろすこと、そして残りの爆弾を探して止めることだ。
あれこれ計算している時にいつの間にか警察の道村が自分達の盾に隠れて服に隠してある連絡の機械で情報を警察の皆に連絡していた。もちろん小声でだ。
「おいおいどうした?…そうか、この人数だから怖いのか?いつ撃たれてもおかしくないのだからなあ。残念でもあるからなあ。この人数とお前達七人という人数だからもはや決着がついてしまったと降参したいってかあ?」この喋っている男がそう言うとこのイナズマ団の配下の連中はゲラゲラ笑いだした。
もう勝敗がついたと自信過剰になっている。
…それにしてもまずい。爆弾にスイッチを入れさせないようにイナズマ団から盾で防ごうとしても数で太刀打ちができないのと、銃弾の嵐に必死に盾で防ごうとしても持ちこたえられるか分からない。
準司は水の使い手だから炎の使い手である皆藤先輩もこの数で戦おうとしてもやっぱり厳しいのだろうか?イナズマ団を盾で止めるしかできないならかなりヤバイのだろう。
準司は後ろを振り向いて皆藤を見た。かなり焦っていてここからどうすればいいのかで頭いっぱいなのだろう。皆藤でさえ難しいなら、一体どうすればいい?…
「炎の舞、三の技!…」
「おいおいおい、今誰だ?炎の舞だと?」葵が炎の技で戦おうとしたのだろう。それをあえてこの男が止めた。
イナズマ団はまたゲラゲラ笑い出した。
「さっきも言っただろう、この爆弾は感電式時限爆弾だと。つまりどういうことか分かるか?炎や電気つまり雷を使えば、感電してこの爆弾はもうカウントダウンが始まっちまうぞ」
そうか。このイナズマ団が設置した感電式時限爆弾というのは電気が走っているから何かにでも当たってしまえばスイッチが作動する。空気中の酸素に炎を使ってしまえばそれこそ一巻の終わりだ。
もう駄目だ。何をしても正解が出てこない。…何か方法があるはずだ。…それでも考えるんだ、考えろ…。
とりあえずこの場合、伏竜さんにラインで連絡するしかない。ここは火や雷を使ってはいけない。ならば、伏竜さんなら水だからここにいるイナズマ団を取り払えるかもしれない。
道村さんが警察にこっそりと連絡し終わったから後はここ以外にいる他の警察達が援軍に駆けつけてくれるだろうから、こっちも皆に、特に伏竜さんにラインで連絡を急ごう。
準司は盾に隠れながらこっそりスマホをポケットから取り出してラインを開いて一斉送信のアイコンを開いて片手で素早く打った。長く持ちこたえられるか分からないけどやるしかない。
時間内に間に合わせるように、ただイライラしていたがイナズマ団を見張りながら打ち続けた。
そして、一斉送信した。
続けて伏竜にもラインをした。イナズマ団が何か動くのかハラハラしていたが、伏竜にラインを送信した。これも何とか間に合わせられた。
「さあ、時間稼ぎのお遊びはここまでだ。どうする?降参するか?降参するなら俺達に仲間入りしてもいいんだぜ?それこそ大歓迎だ。しかし、それが嫌なら…」男は上に向かってバババーンと三発銃を撃った。
「こうなるわけだ。銃撃戦ということだ。銃撃戦を選べば必ずお前達は死ぬことになるな。死んだ後はこの爆弾が爆発してこの船と共に沈むだけだ。残念だ。ただ、そこにいる三田原準司だけは持ち帰らせてもらう。さあ、選べ。お前達はどうする?」
時間が間に合うのかが道村と準司は心配だった。来てくれなければ、ここでもうおしまいだ。ハラハラしながら時間稼ぎをしていたがもう限界に来ていた。
道村と準司からのラインでの知らせを知った警察達と水盾頭の伏竜は急いで島操縦士と一緒にいる六人がいる地下に急いだが、伏竜は屋上に爆弾を見つけたばかりで急げなかった。その為、そばにいた警察にお願いして直ぐ様その地下まで走って急いだ。




