表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/28

縄張り

 金の装飾に、屋根の左右にシャチホコが施されたやたら豪華な屋台だ。

その向こう側から、ヒョウのコートを身に纏った男がこちらに向かって来た。


「お前たちも大会の参加者かーイ」


「……あ、はい」

 

 俺が返事をすると、男は人差し指でこちらを指さし、声を張り上げた。


「優勝するのはこの、キンキラタコ焼き、ゴールデンボール、だっつーの。 お前らは大人しく家に帰れっつーはなシ!」


 男は金髪のパンチパーマに、ヒゲを生やして黒縁の眼鏡を掛けているが、その奥の目はやたらと血走っている。


「関わらない方がいいな」


 課長が小声で俺に耳打ちする。

男がギャーギャー騒いでいるうちに、時刻は19:00を回り、夜空に花火が打ち上がった。


「スタートの合図だ!」

 

 俺はリヤカーの持ち手に力をこめた。

俺たちの屋台は歌舞歌舞町の通りを進み、これから出来るだけ人の集まりそうな場所を目指す。

すると、


「おっせぇんだよ!」


 金の屋台がこちらに体当たりし、その衝撃で一瞬スピードが遅れる。


(しまった!)


 出遅れれば良い場所を占拠されてしまう。

スタートは一分一秒を競い、ほんの僅かなミスが命取りになりかねない。

金の屋台が先頭を進む。

後ろを押していた課長が言った。


「もっと押すぞ!」

 

 俺は頷いた。


「はい!」

 

 前の屋台を抜き去るべく、スピードを上げようとした時だった。

銃声の様な音が鳴り響いたかと思うと、金の屋台が突然停車し、叫び声がした。


「おめぇら、誰の許可得て屋台出しとんじゃ、バカタレが!」


 前から現れたのは、自動小銃らしきブツを構えたボウズの男、そして、顎がややしゃくれた切れ目の男。

ボウズが喋る。


「ここはヨシ○トの縄張りじゃあ! お前ら、ヨシ○トに許可取ってんのか、アアン?」


 金の屋台を引いていた男が、たじろき説明する。


「ここはいつからヨシ○トさんの縄張りになったんですか? 歌舞歌舞はずっと、城崎組のモンだと思ってましたが……」


 シャクレ顎が叫ぶ。


「お前らホストのお頭はな、コロナで営業不振で力を失ったんじゃ。 だから今は、ここら一帯、ヨシ○トの縄張りなんじゃ!」

 

 ヨシ○ト興業の本社が歌舞歌舞町にあることは有名である。

この大会はホストの元締めである城崎組が仕切っていたが、どうやら直前で事情が変わったようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ