再開
2021.2.7 18:39
俺と上島元課長は、メガネ兄さんの軽トラに乗せられ、都内にある歌舞歌舞町へとやって来た。
路肩に車を停車させ、これから荷台に積載した焼き鳥の屋台を降ろさなければならない。
課長が荷台を囲っているあおりと呼ばれる部位を外すと、俺は荷台に乗り込み、声を上げた。
「っせぇぇーのぉ!」
屋台を思い切り押す。
屋台はリヤカーの様になっており、手で引けば移動することが出来る。
とは言え、屋台はちょっとした軽自動車くらいの重みはあり、頭の血管が切れそうな思いでどうにか荷台から降ろすと、ドズゥン! という豪快な音を響かせた。
「ぜぇ、ぜぇ……」
「これなら、軽トラをキッチンカーみたいにした方が良かったか」
課長が屋台をまじまじと見つめながら言った。
しかし、大会規定には「屋台」での参加が条件の為、残念ながら今の案は却下しなければならない。
屋台を降ろすことに成功すると、メガネ兄さんが運転席から顔を出して言った。
「じゃあ、私は店に戻ります」
「あっ……」
俺が何か言う前に、メガネ兄さんはそのまま逃げるようにしていなくなった。
辺りを見回す。
既に夜の帳は降りている。
スマホを確認すると、時刻は18:45分を回った所だった。
「大会のスタートは19:00ジャストで、20:00までに一番売り上げを出した屋台が優勝だったな」
課長が確認するように独りごちると、俺はそれに頷いた。
屋台の持ち手を掴み、歌舞歌舞町の入口へと進むと、隣に一件、大会の参加者と思しき屋台を発見した。




