突然の報告
昨今、島田繊維株式会社はユニ○ロと提携し、様々なヒット商品を生み出していた。
特に売り上げが好調だったのは、「童貞を殺すマフラー」で、他にも「童貞を殺す手袋」がよく売れた。
これらの、童貞殺戮シリーズのお陰で、我が社は類を見ない好景気に見舞われた。
(コロナ渦だってのにな)
俺は今日は在宅ワークの為、9時頃に目を覚ましていた。
いつもならこんな時間に起きていたらとっくに遅刻だが、ノンビリ起きて来れた。
俺の住まいは1LDKの築20年のアパート。
1階の角部屋で家賃は6万だ。
歯を磨いて顔を洗い、リビングに戻ってテレビのリモコンを取ろうとした時、テーブルのスマホがバイブした。
画面には、会社、という文字。
(……何だよ)
俺は、会社の電話から直接俺にかかってきた着信を取ると、はい、と返事をした。
「馬宮さんですか? 朝早くからスミマセン」
相手は後輩の堀越だ。
堀越はまくし立てる様にして、話を続ける。
「さっき朝礼終わったんですけど、トンデモナイことになってます。 昨日、社長が倒れたらしいんです」
「はあっ!? 何だよ、コロナか?」
「その逆らしいです」
逆、の意味が分からない。
島田社長は先代の息子だが、年は60を過ぎていた。
万が一、コロナウイルスに感染し、重症化でもした日には会社の経営に関わる。
社長が出社したがるのを周りが押さえ込んで、今は在宅ワークのハズだった。
(まさか、夜な夜な出歩いてたってことか?)
頭の整理が追いつかない内に、堀越が話し始めた。
「社長、自分は魚だって、良く言ってましたよね? 魚は泳がないと息ができない。 だから…… 社長も働かないのが逆に体に良くなかったのかも知れません」
「……」
あながち、間違いじゃないかも知れない。
社長は暇があれば、企画開発に顔を出したり、工場のある地方に頻繁に出向いていた。
それが、急に家に閉じ込められて、生活リズムが狂って心身を害してしまったのか。
耳鳴りがする。
この会社にいれば安泰だと思っていたのに……
「聞こえてますか? 馬宮さん!」
「……!」
耳元で叫ぶ声に、思わずビクつく。
「なっ、何だよ、聞こえてるよ!」
「伝えたいのはこの先です。 ちょっと、パソコンでズーム開いてもらえますか?」




