再登場
店のオヤジのアドバイスで近場の弓道場へと赴いた俺は、早速、弓を射る練習をした。
そして、その結果は惨敗だった。
的に矢が当たるのは疎か、届くことすらしない。
弓の弦がめちゃくちゃ硬く、力任せに引っ張っても無理だった。
隣で弓を射るオヤジに鼻で笑われ、その日は終わった。
その日が水曜で土日に入る前にカタをつけたかった俺は、筋トレしても間に合わないと思い、もう一度、弓具店に向かうことにした。
木曜日の早朝、腕が筋肉痛だったが、もう一度弓道場に予約を入れ、午後、そこに向かう予定だ。
(その前に、オヤジから弓の引き方を教わらねーと……)
そんな風に思って、店の中へと入ると、思わぬ人物に遭遇した。
後輩の堀越である。
「おまっ、何してんだよ!」
「……あれ、馬宮さん?」
堀越は島田パンティテックスに社名が変更した瞬間、辞表を出して現在無職中だった。
堀越は偶然にも、学生時代に弓道をやっていた経験があった。
「堀越、丁度良いわ。 弓の引き方教えてくれ!」
「えっ、馬宮さん、初心者なんですか?」
経緯を説明すると、堀越は快く承諾し、そのまま道場へと向かうことになった。
袴姿で再度登場した堀越は、弓と矢を手に持って、説明を始めた。
「いいですか。 弓は、射法八節というものに則り、引きます」
堀越はそのまま、8つある射法を順番にこなし、弓を射った。
キュン、という音がし、次の瞬間、白い的に矢が刺さっていた。




