弓道場
俺は、落ち葉を掃くフリをして学内の案内看板の前へとやって来た。
(なるほど、弓道場というのがあるのか)
この学校、入り口の石碑に刻まれた校訓に「文武両道」の文字があり、柔道場や剣道場、茶室まである。
また、余談だが、ここまで来るのに牛の型をしたモーモーモノレールというものに乗るが、冬はレールが凍結して坂を登りきらないらしい。
稀に凍結したレールを登り切ることがあり、その時車内は拍手喝采するとの事だ。
(んなこたぁいいんだ)
俺は、南に位置する弓道場へと足を運ぶことにした。
……てゆーか。
この時期は大学入試テストがある。
それに該当する3年生は暇ではないハズなんだが……
(林道清花は3年だよな。 だとしたら、俺の相手してる場合なのか?)
仮に3年でも、推薦で入学が決まってるか、進学せずに就職するのかも知れない。
まあ、林道清花がOKを出したから、今こうして検査が行われているのであろう。
そういうことにしよう。
それより問題なのは、どうやって告ればいいのか、という点だ。
(俺、今まで告白とかしたことねーしな)
男子校上がりで、大学も理系。
そのまま社会人になったが、女子への苦手意識は消えず、結局今に至る。
「ちんたらしてたら課長に遅れを取るしな……」
向こうは臨時講師だ。
林道清花と接触する機会は多いだろう。
上手いこと取り入って、ダンディーな魅力を見せつけられれば、いかにこちらが若さで勝っていても勝敗は危うい。
「もう、やるっきゃねぇ!」
俺は、意を決して弓道場へと乗り込んだ。




