勝負
意外にも、照成さんもそれに同調した。
「実は、私も同じことを考えていました。 若いから採用する、というのは公平さに欠ける気がします。 なので、あなたには馬宮君より優れているという証明をしてもらいたい」
ちょ、待て待て!
何で、焼き鳥屋志望じゃない俺まで巻き込まれてんだよ。
「やる必要無いですって。 課長がここで働けば済む話でしょう」
「馬宮、俺はお前に課長の座を取られたが、能力面で負けてるとは一切思っていない」
「……!」
やっぱり、俺が課長になった事、少なからず根に持っているのか。
それなら、話は変わってくる。
もし、俺がこの勝負で勝てば、正真正銘、課長を認めさせることが出来るかも知れない。
「馬宮、逃げるならお前はやはり、ただのラッキーで課長になった、という事になるが?」
「分かりました…… もし俺が勝ったら、俺が課長になること、心底認めてもらいますよ」
課長は、良いだろう、と返事した。
上島元課長も、一時は課長まで上り詰めた人物。
能力が無ければそんな地位には就けていない。
だが、体力の衰えはどうしようもない。
経験でこちらが劣っても、頭の回転やフィジカル面でごり押しできるハズだ。
勝負が成立すると、照成さんが少しここで待って下さい、と言ってその場から離れた。
(……何か、気まずいな)
変な空気になり、気まずい面持ちで待っていると、照成さんが帰ってくる。
「これを着て下さい」
「……?」
手渡されたのは、制服。
それも、学ランだ。
「2人とも、これを着てとある高校に潜入してもらいます。 そこにいる弓道部員、林道清花という女学生に告白し、成功した方を勝者とします」
「……」
俺と課長は、またしても顔を見合わせた。




