ドラゴンマスクへ
ドラゴンマスク、相談があります。
「機敏」ってどうすれば取り戻せるんでしょう?
昔あったはずの「機敏」がどこかに行って帰ってこないんだけど。
自分ではね、素早く動いてるつもりなんだけど、遅い。
律は、ヘラヘラ笑ってるけどさ。みんなに申し訳なくて。
サッカーってチームスポーツだもんね。
本文
久しぶりに泣き言を言ってみた。
ドラゴンマスクが忙しいのは知ってるけど、そこは正体を明かさない本人が悪いので、遠慮なくメールする。
ちょっと笑えるかなっと思って動画も添付してみた。
筋肉系男子が読む雑誌に載ってた堂安の体幹トレーニングを実施している私の動画だ。私の体の使い方もわかるかなってのもあって、別に笑わせるためだけに送ったわけじゃないんだけどね。
ドラゴンマスクからの答えは
「自分をアップグレードしよう」だった。
「まずは、動画見ました。笑言わせていただきありがとうございます」
うるさいわ。
「夜、死ぬほど笑い、腹筋が鍛えられました」
今度帰国したらぶっ飛ばしてやる。
「さて、この動画の動きをなんとかしようとするのはやめましょう。これはこれで面白いし・・・」
まだ、言うか。
「大事なのは、サッカーで体を動かすってどういうことかってことです」
?
「例えば、キーパーから後ろの状況を指示されたら、ボランチは迷わず動くことができますよね」
うん。確かに。
「つまり、自分で『見て』『考えて』『判断して』『動く』より、省略して、早くて効果的なプレイができるってことです」
なるほど。
「その上、間違っても人のせいにできます」
意外と性格悪いな。
「みんなで、自分たちの試合を見ながら『どうしたかったか』を話すと、試合中のコーチングもつながりやすくなります。それぞれがどうしたかったか、どう言ってもらえたら、その動きができたか。どんな言葉を使えばよかったか」
そっか。瑠はいつも私にイライラしながら怒鳴ってた。
それは自分がしたいサッカーと動きとどうして欲しいかを伝えていたんだ。
それを理解した時、力のないパスが瑠につながった。パスの速さじゃなくて、自分の動きのタイミングとコースで瑠は私に見向きもしないでゴールに向かった。あれか。
「考える前に動くっていうけど、それってゴール前みたいに身体が勝手に反応する場面くらいです。それ以外は、見る、予測する、準備する。それから、お互いの感覚を合わせておくことが重要です」
見る。予測する。準備する。
「ボールが来てから、どこに出そうって考えたら遅い。来る前に見ておけばいい。身体の向きを作っておけばいい。仲間がどう動くか分かっていれば、考えることも減ります」
あ。
「コーチング、アイコンタクト、動き出し。そういうもので、一人で考えて判断する時間を短くできる。足そのものが速くならなくても、プレイを始める時間は早くできます」
それなら。
「母ちゃんが取り戻したい『機敏』って、昔と同じ速さで動くことじゃないと思う」
……母ちゃんって言うな。
ドラゴンマスクなんだから。
「昔の自分に戻すんじゃなくて、今あるものを使ってアップグレードしましょう」
なるほど。
だから最初に、
「自分をアップグレードしよう」
だったのか。
一人でトレーニングしてできるもんじゃないな。
これ、早くみんなに伝えて開始したい。
それにしても
なんだよ。しっかりとパーソナルコーチじゃん。
答えが欲しくてドラゴンマスクにメールしたけど、こんなにしっかり的をついてくるとは・・・とりあえず、感謝!
「あの動画は、他の人に見せない方がいいと思います」
・・・言われなくても見せないわ・・・
後日、こんなのが来た。
瑠からビデオ電話だ。
・・・最初から笑ってるので、想像はついた・・・
「りん!りん!りん!あれはなに!」
トレーニングだよ・・・
「トレーニングって!死ぬほど笑える!」
ドラゴンマスクめ。人には見せるなと言っておきながら瑠に見せたな。
「堂安ってー!面白過ぎて電話した!じゃね!」
え?笑い物にして一方的に切られた・・・
律のとこに回されないように、釘刺しとかないと!
次の日
「りーん!最高、だったわー!」と腹を抱えて笑う律。
ドラゴンマスクめ。ぜ〜ったい許さない!




