第50話 脳筋パーティ
次の角を曲がった先で、今度は「ガチ、ガチ」と硬いものが噛み合う音がした。
「……今度は、カニかエビかって音だな」
川端のぼやきどおり、薄暗い回廊の先に、銀色のロブスターが三体。
横向きに、じりじりとこちらへにじり寄ってくる。
「殻、かなり厚そうだね」
宝殿がつぶやく。
「試すしかねえな。まずは突いてみる」
牛久の槍が、正面の一体に素早く伸びる。
鋭い突きが甲殻に命中したはずなのに、手応えは浅い。
「うわ、弾かれた」
「斬りも同じだな。表面がツルツルで、刃が滑る」
延徳がハルバードを軽く試して、眉をひそめる。
「だったら、こうだろ」
二階堂が前に出る。
ロブスターが大きなハサミを振り上げた瞬間、メイスが上から振り下ろされた。
ガンッ、と石を砕いたような音。
銀色の殻にヒビが入り、ロブスターの動きが鈍る。
「効いてる!」
宝殿の声に、二階堂がニヤリと笑った。
「硬いもんは殴れば割れるんだよ!」
その横、別のロブスターのハサミが牛久の脇腹をかすめる。
鎧越しだったが、一瞬、足がもつれた。
「……ちょっと、足にきたな。痺れる」
「やっぱり麻痺か。弱めだけど、連続で食らうと危なそうだね」
宝殿が即座に回復の準備をし、川端がロブスターとの距離を調整する。
「方針決定だな。牛久と延徳は距離管理、ロブスターの足止め」
「止まったところを、二階堂が殻ごとぶっ叩く」
川端のまとめに、三人が同時にうなずく。
数分後。
割れた殻と銀色の破片だけを残し、回廊には再び静寂が戻った。
「毒のサソリに、麻痺ロブスター、ね……」
「この階層、“じわじわ削ってくるタイプ”が多そうだな」
宝殿と川端のやりとりを背に、二階堂はメイスを肩に担ぎ直した。
「ま、どんだけ硬くても、殴ればどうにかなんだろ」
その言葉に、宝殿は小さく笑ってうなずいた。




