第48話 第四階層へ
待機エリアの床に、第四階層へのポータルが静かに開いていた。
薄い光の膜を前に、五人が輪になる。
「じゃ、行くメンバー確認するぞ」
柊がいつもの調子で声を上げる。
湊と圭、それからルベルは少し離れた場所からそれを見ていた。
「宝殿、牛久、延徳、二階堂、川端。今回はこの五人な」
「了解」
「うす」
「あ~……はいはい」
それぞれが短く返事をする。
二階堂だけ、気持ちぶっきらぼうだ。
「今回は宝殿の『クリエイト・ポーション』を試す為、回復役を前線から外す。湊と圭は待機エリアで待機。何かあったらすぐ戻ってこい」
「戻ってくる前提で話せよ」
二階堂が鼻で笑う。
「当たり前だろ。第四階層で無茶してここまでの積み重ねパーにされたら、殴るからな」
「お前が言うとシャレになんねーんだよ、柊」
牛久が苦笑混じりに肩をすくめる。
柊はその反応に軽く片手を振ってから、宝殿に目を向けた。
「宝殿。今回の目的をみんなに伝えてくれ」
「うん」
宝殿はひと呼吸置いてから、メンバーの顔を順に見た。
「第四階層は、ブラックスミスの武器と、みんなの前衛力のテストだと思ってる」
「回復はボクができる範囲に限られるし、基本は『あまり削られないで勝つ』練習。それと、五人編成でどこまで踏み込めるかの確認かな」
「つまり、あんま無茶しないで戦えってことか」
二階堂がメイスの柄を軽く叩きながら言う。
「そう。二階堂くんのメイスも、牛久くんの槍も、延徳くんのハルバードも、どこまで通用するか知りたいんだ。だから、倒すだけじゃなくて、『どう倒すか』も見せてほしい」
「……実験台ってことね、オレら」
川端が肩を竦める。
「まあ、言い方すればそうなるけど」
宝殿が苦笑して、すぐ真面目な顔に戻る。
「でも、ここでちゃんとデータ取っておけば、あとが楽になるのも事実だから」
「大浴場もあるしな」
柊がぽつりと付け加えると、場の空気が少しだけやわらぐ。
「第四階層から戻ってきたら、全員で風呂だ。だから、とっとと帰ってこい」
「フラグっぽいこと言うなよ」
二階堂が顔をしかめる。
「フラグにしないように戦うんだよ」
柊はきっぱりと言い切ると、湊と圭のほうを振り返った。
「お前らも、変なの拾ってきたらすぐ報告しろよ。待機組も仕事あるからな」
「う、うん。気をつけて」
「死なない程度に頑張れよ」
湊と圭がそれぞれ声をかける。
ルベルが小さく「キュッ」と鳴いて、甲羅を揺らした。
「じゃ、行くか」
川端の一言に、五人は無言でうなずく。
それぞれ武器と装備を確かめ、光の膜へと歩みを進めた。
こうして、第四階層への初突入が始まった。




