第45話 有効活用?
トーストを乗せた簡易トレーがいくつも並び、あとは焼くだけ、というところで、部屋の入口の方からざわっとした気配が走った。
「おーい、パン焼けたら呼べよー……って、お前ら何その顔」
聞き慣れた圭の声。
振り向いた全員が、一瞬、固まった。
そこに立っていたのは、さっきまでジャージ姿で倒れていたはずの圭だった。
パナシーアの回復効果の成果か、顔色も良く無理をしている様子もない。
ただし、今の圭は。
白いブラウスにネクタイ。胸元には水色のスクールベストという、女子高生の制服を身に纏っていた。
そのベストは、規格外のボリュームで前に張り出している。
チェック柄のプリーツスカートは短めで、長い脚のラインをはっきり見せていた。
高身長の金髪。すっと通った目元は、どこかクールで整っている。
全体のバランスが良すぎて、男子高校生達の集う部屋の中では浮いて見えるレベルの美少女だった。
「……おい」
牛久が、パンを持った手を止めたまま固まる。
「圭。何だそれは」
柊が、言葉を慎重に選びながら尋ねた。
「ん? 見て分かんねぇ? 女子制服。せっかく女体化してんだから、一回くらいちゃんと着とけってうるせー連中がいてさ」
圭は肩をすくめてみせる。
金色の髪がさらりと揺れ、その拍子にベスト越しの胸も、ブルンと揺れる。
次の瞬間、どっと歓声が上がる。
「うおおおぉぉぉ!!」
「いや、デカ……」
「脚長っ!」
「似合いすぎだろ、マジでクール美人じゃん!」
「第三階層の女神、降臨したなこれ!」
雑多な叫び声が、四方から飛ぶ。
さっきまで疲労で重かった空気が、一気に祭りのテンションになった。
「お前ら、うるせぇっつの」
圭は照れ隠し半分に眉をひそめるが、その顔立ちの良さがかえって際立つ。
「でも、まあ……今日くらいはアリか。頑張ったご褒美ってことで」
そう言って、空いていた席にどかっと腰を下ろした。
プリーツスカートの裾が、長い脚に沿ってかすかに揺れる。
「よし。主役も来たし、トースト行くか」
湊が笑いながらトースターに手を伸ばす。
「圭、チーズ乗せる?」
「当たり枠もらっていいなら、遠慮なくもらうわ」
圭のその一言に、また小さな歓声が上がった。




