潮時
その日、僕は友人のIとパチンコをしていた。
Iは僕らにとっては大金を稼ぎ出し、僕はその日の食費を溶かすことになった。
Iは奢ってやるといい、二人で焼き肉を食べた。
僕らは誓って友人以上の関係になったことはない。
だがIが果たして僕に友人以上の感情を持っていたかどうかは定かではないし、Iが
死んでしまった今となってはもはや確認のしようがない。
Iが自殺した原因は分かっていない。
遺書には「そろそろ潮時だと思いました」の一言が書かれていただけだったという。
僕のところにも警察が来たが通り一遍のお決まりの質問をして帰って行った。
僕は彼が死んだことに責任がないわけではないのかもしれないと思っていた。
だが僕のことを責める者は誰もいなかった。
葬式の後、僕から友人たちは離れていった。
特にそのことには何も思うところはなかったが、黄昏時に一人で酒を飲んでいると、世界の終末のような感覚に陥ることがあった。
一週間後、Iの姉が訪ねてきた。
生前Iがお世話になった僕にお礼が言いたいと言うことだった。
僕は「お世話になったのは僕ですよ」と言って、お礼を述べて別れた。
一週間後、Iの姉も死んでしまった。
Iの後を追ってと言うことだったが、何故か僕はIと彼女が姉弟以上の関係だったのではないかと疑っていた。
その後僕はIの家族と会うことはなかった。
未だに彼らの死についての原因は不明である。
ただ、ぼんやりと僕もいずれは「潮時」が来るのだろうという予想を彼らは残していっただけだった。




