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130、ポウロくんの髪色を変える

「ポウロの髪の色を、変えられるの?」


 ランドルフくんとの会話に、母が割って入った。耳も、もう普通に聞こえているみたい。


「お母様、私を守る物質スライムの能力だよ。私と同じくらいの背の子がキララで、小さくて魔導ローブを着ている子がネイルだよ。ネイルは、髪にマニキュアすることができるの」


「マニキュア?」


「そうだよ。私の両手の指の爪に塗ってるのは、普通のマニキュアだけど、髪にも4色だけなんだけど、色を塗れるの。ひと月くらいで剥がれてくるし、髪が生えた部分は本来の髪色だけどね」


 私が両手の爪を見せると、母は、ギョッと驚いた顔をしている。派手な色だもんね。トップコートのおかげで、これでも、派手さは抑えられてるんだけど。



「王妃様、ジュリエッタは赤い髪に変えると、王妃様によく似ているんです」


「えっ? 髪色を変えていたの?」


「はい。オルグ達は、ジュリエッタに不敬なことばかり言っていたけど、ジュリエッタが赤い髪に変わると、何も言えなくなったんですよ」


 ランドルフくんは、城への襲撃は話さないのね。



「ポウロくん、髪色を変えてみる?」


「ん? うん」


「ネイル、二人にベースコートをお願い」


 私がそう言うと、ネイルは淡い光を放った。ポウロくんの髪に変化はないけど、寝たきりでガサガサだった母の髪にはツヤが出ている。


「まぁ! 王妃様の髪が、ツヤツヤです!」


 侍女達が騒ぎ始めると、母は、自分の髪に触れている。


「驚いたわ。指が通らないほどガサガサだったのに」


「髪の表面をヘアマニキュアしたからだよ。ひと月くらいで取れてしまうけど。でも、髪の表面のコーティングだから、髪質が良くなったわけじゃない。髪質の改善には、ちゃんとした食事だよ」


 髪にツヤが出ると、母の気分は上がったみたい。膝で泣いていた赤い髪の女の子は、やっと落ち着いて、スッと立ち上がった。彼女の中にいる兄の気が済んだのかな。



「ネイル、ポウロくんの髪色を赤くしてみて」


 私がそう言うと、ネイルはポウロくんの頭に、光を放った。髪は、真紅の赤色に変わってる。眉も淡い赤色ね。


「まぁっ! ポウロ」


 母は、ポウロくんの髪に手を伸ばした。そして、彼の髪を触り、色落ちしないかを確かめているみたい。


「あー! ポウロがいっしょじゃなくなったぁ〜」


 白い髪の小さな女の子は、ぷくっと膨れっ面をしてる。その膨れっ面を見た母は、口を開く。


「ジュリエッタ、お嬢さんの髪も赤くしてあげられないかしら」


「それはできないんです。普通のスライムなら変えられるけど、この子は、クイーンホワイトさんの分身だから、ネイルの術は効かなかったの。でもスライムには、ヘアマニキュアは使えないかな」


「なぜ、使えないの?」


「スライムに使うと、表面をペンキ……塗料でべっとりと覆ったみたいになるし、ダメージを受けるの。マニキュアの色はスライムから集めたからか、人化したスライムの髪色を変えようとすると攻撃魔法になるみたい」


「ええっ? スライムから?」


「うん、ネイルは、様々なスライムのチカラを借りる能力があるの。私の指の爪の色が、その色だよ。それぞれの魔法を、私も発動できる。ネイルみたいに連射はできないけどね」


「ジュリエッタは、魔法が使えるの?」


 母は驚いた顔をしていた。侍女達は、恐れていると感じる。



 すると、お兄さんが口を開く。


「王妃リーネル様、ジュリエッタ様にはダークスライムを討つチカラがあります。彼女の物質スライムは、物質スライムの中で最強です。それを知った大臣達は、ジュリエッタ様を女王にしようと言い出しました。ですが、ジュリエッタ様には、そのつもりがありません」


「えっ? ジュリエッタは……」


 母は、私が戻ってきたと思っているのね。お兄さんは、それに気づいたから、こんな話をしたのかも。



「お母様、私は、大陸に移住するつもりはないの。私は、スライム神の島に帰るよ」


「なぜ、あぁ、やはり私が貴女を海に流したから……」


「それは仕方ないことだったでしょ。私は、大陸での記憶は何もないの。それに、キララは『出店』の物質スライムだから、商人なんだよ。私は今まで通り、島で暮らすよ」


「そ、そう。じゃあ、もうジュリエッタとは簡単には会えなくなるわね」


 母の表情が、暗く沈んでいく。


「そんなことないよ? キララは、島と大陸を1日で行き来するもの。たぶん片道は、食事の時間くらいしかかからないよ」


「まぁっ! そんなことが?」


 母は、お兄さんの方に視線を向けた。赤の王国の英雄カールさんに、真偽を確かめたいのね。



「ジュリエッタ様は、大陸に初めて来た日、俺の目の前で、赤の王国と緑の帝国の軍隊の衝突を止め、ダークスライムを浄化されました。その日の晩ごはんは、島で召し上がったようです」


 お兄さんは、話をだいぶ省略してる。


「カールが軍隊を率いていたのね。戦乱を止めるチカラがあるなんて……」


「王妃様、大陸にいる人間のほとんどが想像できないほど、スライム神の島にいるスライムは強いのです。そのチカラの一部を借りることができるジュリエッタ様を、ダークスライムでさえ恐れている。そんな彼女が、大陸の一つの国に住むことが難しいことを、ご理解ください」


 お兄さんは、私のために、母を説得しようとしてくれているのね。


「でも、せっかく戻って来てくれたのに……」


 母は、かなり鬱状態がひどいみたい。当たり前だよね。父が殺された今、もう頼れるのは、身の回りの世話をする侍女しかいないんだもの。



「お母様、体力をつけて、ポウロくんと一緒に、スライム神の島に遊びに来てください。大型船を使って来てくれたら、小島からの舟が着くのは、私が住んでいる海辺の集落なの」


「えっ? 私が……」


「ええ、それから、ポウロくんの髪色は、どうする? 赤い色のままでいいなら、色落ちを遅くするヘアマニキュアを重ねるよ」


「赤い髪なら、この塔から出せるかもしれないけど、すぐに白い髪だと知られるわよね」


 母は、ポウロくんの顔をじっと見ている。


「王妃様、俺は、青の王国の再建を手伝うつもりです。スライム神をまつる神殿の再建から始めるようです。そこまで行く体力がつけば、ジュリエッタ様に会えますよ。その神殿で、彼女は、髪色に悩む人にヘアマニキュアをしますから」


 お兄さんがそう言うと、母は目を輝かせた。


「じゃあ、ポウロを連れて行けば、また、赤く変えてもらえるのね」


 母は、私を城に呼びつけようとは考えないのね。


皆様、いつもありがとうございます。

残り2話となりました。

いつもは月曜日は更新をお休みしていましたが、明日は流れをさえぎらないためにも、更新します。

明日で、本編完結。明後日は、後日談を投稿予定です。

残り2話、よろしくお願いします。

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