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124、吹雪と氷弾の機関銃

 ボォォッ!


 壇上の赤い人化したスライムは、また不思議な炎を飛ばしてきた。キングシルバーの盾が移動して防いでくれるけど、やはりまた、蒸発するように盾が消えちゃった。


 大陸の人化するレッドスライムは、そんなに強くないはずだけど、赤い髪の女の子が弱体化させた改造スライムを取り込んだことで、彼らはレッドスライムなのに、改造スライムの力を得たみたい。


 きっと、改造スライムを取り込んだことで、パワーアップした実感があるから、その勢いで、人間の城を奪いに来たのね。



「無駄だぞ。我々の炎は、そんな防御盾など溶かす威力があるからな。そっちのブラックスライムでは守りきれない」


 黒い髪の人化したスライムは、そう言われてカチンときちゃったみたい。だけど、キララに何か言われたみたいで、キララの方をチラッと見るとニヤッと笑った。


 お兄さんは、ランドルフくんの後ろに立ったままだけど、真っ青な顔をしてキララと手を繋ぐランドルフくんの肩に、そっと手を置いてる。



「キララ、賢い子が暴走しないように手を繋いでて」


「ん? うん、わかった」


 キララが、赤い髪の女の子の手を掴むと、彼女の頬は赤く染まった。やっぱりキララのことが好きだよね。



「赤の国王、我々に城を渡すと宣言しろ。でなければ、この城は炎に包まれることになるぞ。言っておくが、その赤い髪のスライムには、我々を抑える力などない。我々は、改造スライムを喰ったからな。しかも城は、レッドスライムが取り囲んでいる。逃げ出すことはできないぞ」


 お兄さんに支えられてるけど、ランドルフくんは、今にも失神しそうになってる。国王の側近のオジサン達も、ダンマリだな。



「どうした? 赤の国王」


 そう言うと、また、不思議な炎を飛ばしてきた。


「キングシルバーの盾!」


 私が両手を前に出してそう叫ぶと、新たに透明な盾がズラリと出てきた。不思議な炎が当たったけど、撃ち返すみたいに弾き返してる。


(わっ! 壇上が燃えてる)


「ブルースライムの水魔法!」


 私の指から、青い光が壇上に飛んでいく。そして、バシャンと巨大バケツで水をかけたみたいに、壇上に水をぶちまけた。



「な? 何? ブラックスライムは、ブルースライムなのか」


 壇上の赤い髪のスライム達は、驚いているけど、ダメージは無さそう。レッドスライムは水魔法に弱いんじゃないの?


「ジュリさん、奴らの身体には熱の膜があるから、水魔法では効きません」


 ネイルは、すぐに分析したのね。


「水でダメなら氷かな。雪でもいいかも。だけど、キングの色じゃないと、組み替えできないんだよね」


「キングライムの拡張が使えます。同じ属性の範囲内ですから……ジュリさん、できました。オレも参戦します! 奴らは城の人間を人質にする気です」


 ネイルが、私の手を下から持つと、銀ラメが剥がれた場所に、濃い青色のマニキュアが塗られていた。


 白い壁が倒れて炎が見える隣の部屋には、次々と、赤い髪の人化したスライムが転移してきてる。



「うん、ネイル行くよ〜。ブルースライムの水魔法改・吹雪!」


 濃い青色の光が、天井いっぱいに広がった。ハラハラと白いものが落ち始める。だけど寒くはない。赤い髪の人化したスライムだけを狙おうと意識したからかな。


 ドドドドッ!


 ネイルは、機関銃のような物を出して打ち始めた。赤い髪の人化したスライムだけに正確に当たってる。ネイルが撃っているのは、氷弾みたい。当たったところから氷が広がっていく。



「ぐわぁぁぁ、な、何だ? 寒い、苦しい……」


 炎の中にいる赤い髪の人化したスライムも、氷弾が当たると、寒いと言って倒れてる。


 雪は次第に激しくなっていった。思いっきり吹雪になってるけど、私は全く寒くない。


(あっ、スライム神のベースコートのおかげ?)


 私は、他の人間が寒くないか、慌てて見回した。キララと手を繋いでいるランドルフくんや賢い子には、雪は当たらないけど、ぶよぶよなオジサンや兵には雪が降り積もってる。でも、不思議そうな顔をしてるから、大丈夫みたい。




 私は、壇上にいる赤い髪の人化したスライム達に近寄っていく。


「お、おまえは、まさか白い髪のバケモノか」


「バケモノって何? 失礼ね。私はジュリだよ。スライム神の島から来てる。大陸は人間の領土だよ。アナタ達、頭おかしいんじゃないの?」


 私は、彼らに両手を向けた。


「ヒッ! な、何をする気だ? こんなに寒くては、我々は何も抵抗できない。抵抗できないモノに対して、何をする気だ!?」


(何、それ)


「アナタ達は、無抵抗な人間をたくさん殺してきたじゃない。アナタは、スライム神の島まで来た個体じゃない?」


「クッ、な、なぜ、それを……あっ、おまえは青い髪の子供と一緒にいたガキか。こんなチカラがあると知っていれば、あの時に……うぐっ」


 ネイルが、喋っているスライムに、また氷弾を撃ち込んだ。


「改心する気はなさそうね。選ばせてあげるよ。何がいいかな? キングパープルの猛毒? あー、一瞬で死んじゃうか。ゆっくりサヨナラする方がいい? 改造スライムに効く毒を作ろうかな。ダークスライムも倒せた毒ならすぐに使えるよ。改造スライムにも効くだろうね」


「や、やめてくれ! ほ、本当にやめてくれ!」


「は? どの口が言ってるの? ここで見逃したら、報復に来るんでしょ。何かを人質にして脅すとか、いろいろなことを考えそうだね」


「そ、そんなことはしない。報復したら、絶対にその報復に来るだろ? 我々は、バケモノに関わる気はないんだ。ダークスライム達でさえ、白い髪の子供を避けている。赤い髪にも変われるなんて、我々には仲間を守る手段がない!」


「赤い髪だけじゃないよ。いろいろな色に変えられる」


 私がそう言うと、ネイルは私の髪色を変えた。黄、青、緑、そして、白い髪に戻した。


「ば、バケモノだ」


(失礼ね!)


 だけど、どうしようか。殺してしまうのは簡単かもしれないけど、それでは解決しない気がする。



『ジュリエッタ、愚かな反乱分子達を、私に預けてくれないか。それと、今、この付近に降っている白い粉を止めて欲しい。私に従うスライム達も、寒さで動けなくなっている』


「えっ? この付近に降ってるって、私はこの城が燃えないようにしただけだよ?」


『外も、城の付近一帯に、白い粉が降り注いでいるぞ』


 ネイルの方を見てみると、コクリと頷いた。雪の降らない国が、まさかの吹雪?


「わかった。吹雪は終了にするよ」


 そう言うと、部屋の中の吹雪がピタリと止んだ。



皆様、いつもありがとうございます。

月曜日は、お休み。

次回は、1月13日(火)に更新予定です。

よろしくお願いします。

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