二話、お茶
〔サキュメアーレ王城〕
アルゴにお茶に誘われていたアーリアは服を選んでいた。
「どう似合う?」
選んだ服を着たアーリアはくるんと回る。
来ている服は白と黒のワンピースだ。
「ええ、よく似合ってるわ、アルゴ王子とのお茶楽しんでらっしゃい」
ナタリアはかつて自分がアッシュと恋仲になる前の事を思い出しつつ言う。
「うん」
アーリアは緊張した面持ちで頷いた。
家族以外の男の人とこのように出かけるのは初めての経験なのである。
「そう言えばお父様、グランデウスの復興はどうなってるの?」
行く前にアーリアは故郷であるグランデウスの状況を聞く。
周辺国にはアッシュの暴走であった事を公表しアレンが王として戻る事を報告している。
「大分進んだが、魔人化した住民も治せたよ」
地下にあった巨大魔瘴石を破壊し聖教会のシスターに協力して貰って浄化する事で魔人化していた者達は人間に戻っている。
ちなみに魔人化した状態から元に戻すタイムリミットは半年でそれ以上は魔瘴石が体に溶け込んで消えてしまい元には戻せなくなる。
魔人達は最近元に戻せてしまう事を嫌ってか魔人化させた者に時間進行魔法をかけてその半年の条件を満たすようになったようだ。
ナタリアはそう言った事を始める前にアーリア達が取り戻したため本当に危ないところであったのだ。
「そっか、分かった」
「魔人化については注意するんだぞ、アーリア、お前とその仲間はメルティ殿の加護があるから魔瘴石を入れられても消滅するようになっているがな」
聖女の加護は魔人化から守ってくれるそのため対策としてアーリア達には聖女の加護を施してある。
「うん、それじゃ行って来るね」
アーリアは手を振るとアルゴが待っている正門前に向かって行った。
「…男に誘われてデートに行く歳かぁ」
「うふふ、早いものね」
親二人は思う子の成長とは早いものだなと。
アーリアが正門にやって来ると車が停まっておりその前にアルゴが立っていた。
「…」
アルゴはオシャレをしたアーリアの可愛さに見惚れる。
「今日はお茶の誘いを受けてくれてありがとうアーリア姫」
「うふふ、こちらこそお誘いありがとう、行きましょう?」
アーリアはそう言って微笑むと彼に向けて手を差し出した。
アルゴはその手を取ると車に案内する。
「城下町に新しいカフェが出来たそうだからそこに行こう」
「うん」
アルゴの執事が運転する車は新しく出来たカフェに向かって行った。
〔サキュメアーレ城下町〕
カフェに着くとアルゴはしっかりとアーリアが車から降りる際も椅子に座る時もエスコートした。
「今日の服とても似合っているよ」
そして服を褒めるのも忘れない。
「えへへ、ありがとう」
アーリアは嬉しそうに微笑みつつ髪を触った。
「それじゃまずは互いについて話して行こう、俺は歳は十五歳で趣味は剣の鍛錬だ」
「ふふっ、私も十五歳で好きなのは本を読む事かな」
アーリアは楽しげに自己紹介をする。
二人は最近の事や楽しかった事などを話した。
「話を聞いてるとあなたの国にも行ってみたくなったな」
「是非来てくれ」
そう話していると執事が近付いて来てアルゴに耳打ちした。
「なんだと!?」
アルゴは驚いた声を出した。
「どうしたの?」
アーリアは何事か聞いた。
「噂のオメガフェンリルが現れたようだ…我が国の町が襲われた…」
「そう、なら行きましょうか」
「行くって襲われた町にかい?」
「うん、私の仕事は他の国でもそこに住む人を守る事だから」
それがこの世界の魔王としての責務なのだ。
自分の国でも他の国でも関係なく人々を守るそれがこの世界の魔王だ。
「分かった、頼む、…せっかくのお茶会をこんな形で終わらせてしまって申し訳ない」
「あはは、楽しかったから良いよ、また誘ってね?」
アーリアは頬を赤く染めつつまた誘って欲しいと言う。
「分かった、また誘うよ、後これ最後に君に渡そうと思っていたプレゼントだ」
アルゴは一度城に戻りアーリアの仲間と合流する前にプレゼントを渡す。
「開けて良い?」
「もちろん」
中に入っていたのはアーリアの瞳の色に合わせた宝石が付いたネックレスだ。
「可愛い、ふふっ、あなたが着けて?」
アーリアはネックレスを見て嬉しそうにすると掻き上げるだけでも良い匂いがする髪を上げてネックレスを着けて欲しいと言った。
「分かった」
髪を掻き上げるとアーリアのうなじなどが見えてアルゴはドキドキする。
少し緊張しつつも少女の首にネックレスを着けてあげた。
「ふふっ、どうかな?」
ネックレスを着けて貰ったアーリアはくるんと回りネックレスを着けた姿を彼に見せた。
「とても似合っていて可愛いよ」
「えへへ、ありがとう」
アーリアは彼の言葉に嬉しそうに微笑むとまた彼に手を差し出す。
「さぁ、お城に戻ろう?」
「あぁ、!」
アーリアは彼が自分の手を取ると腕に抱き着く。
これは惹かれている男性に対してサキュバスの本能的に取った行動である。
嫌だと思った相手には本能的にでもやらないためかなり脈がある証拠である。
「どうしたの?行きましょ?」
硬直するアルゴの顔を見上げて首を傾げつつ行こう?とアーリアは言う。
「あ、あぁ」
アルゴは抱き着いて来たアーリアの体の柔らかさにドキドキしつつ車に乗り込むのであった。
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