四章、オメガフェンリルを倒せ!プロローグ
〔サキュメアーレ王城〕
最初こそ戸惑う所はあったものの現実世界に慣れたアーリアは今日もレッスンを受けていた。
こちらの世界ではゼーリアが外にいる影響かアーリアが魔王なのであるが執務は彼女が担当してくれておりアーリアはまだまだ終わっていないレッスンを十八歳までは専念して受ける事になっている。
十八歳でレッスンが終わればアーリアが本格的に執務なども担当する事になるのだ。
「お嬢様、そう言えば最近オメガフェンリルと言う魔物が各地を荒らしているとか」
「強いの?」
「はい、討伐に向かった一個中隊が全滅したとか」
「ひゃー、それは強い魔物だ」
アーリアは放置しておくには危険すぎる魔物だなと思う。
「丁度そのオメガフェンリルについてお主に話に来たぞアーリアよ」
「わぁ偶然」
アーリアは本当にタイミングが良いなと思う。
「色んな国に現れては被害を与えているからな、各国かなり困っている魔物なのだ、だからこそ我等に倒して欲しいと頼まれた、アーリアよ、お主達には場所が分かり次第倒してもらうからそのつもりでな」
「了解、そう言えばご先祖様、レッスンで教わった魔物の種類に対する知識で、フェンリル種にオメガなんていなかったと思うんだけど…」
「うむ…見たことがない種類かつ強いからオメガと名付けたようだ」
「なるほどー」
アーリアはなんだが話が見えて来たぞ?と思う。
「もしかして作ったのダークローズなんじゃ…」
「かもしれんなぁ…」
「迷惑な組織だなぁ…」
本当にオメガフェンリルをダークローズが作っていたのだとしたら魔人を作る以外にも世界に迷惑をかけている事になる。
やはりダークローズも然るべき対処をしなくてはならない。
「と言うわけで、オメガフェンリルの出現情報が来たらお主に出てもらうからそのつもりでな!」
「はぁい」
アーリアが手を振るとゼーリアも手を振り返し部屋から出て行った。
アーリアもレッスンに戻る。
〔ダークローズのアジト〕
アーリアがレッスンを再開した頃ダークローズのアジトではエイラの代わりに魔人や人造魔獣の開発を指揮する女魔族がいた。
「…お姉ちゃんを殺したアーリア、絶対に殺してやるんだから…」
アーリアに対する怒りを蓄えた少女ネイラはそう言うとこの研究所で作られる新たな戦力である魔獣を見据える。
「オメガフェンリルは上手く行った、かなりの数の雑魚共を倒してる、魔人もお姉ちゃんが作ってた段階から更に強化した、ふふふ、これを続けて私達ダークローズが絶対にこの世界を手に入れてやる」
そう言っているとダークローズの首領が部屋にやって来た。
「上手く行っているようだな」
「うん、それでさ?組織の方針としてはアーリアを手に入れるか殺すかで迷ってたけど、もう殺すで確定したんだよね?」
「あぁ、チリすら残さず消滅させる事に決まったよ、脳を破壊しても戻って来るなら次は肉体そのものを消し去ってやれば良い」
ダークローズとしてアーリアは完全に消滅させる対象となったのである。
「あはっ、最高…」
組織の方針が決まったのならばネイラとしても研究が捗る所だと思う。
「それでは引き続き魔人と魔獣の研究を頼んだぞ、ネイラ」
「はぁい」
ネイラは首領に手を振るととあるカプセルに近付く。
その中にはルシラが入っていた。
体の各部にはコードが接続させておりナタリア以上の完成度の魔人を目指して強化されて行っている。
「あなたももっと強くなったらアーリアを殺すために使ってあげるからね」
自身の邪悪な研究がアーリアを殺す瞬間を想像したネイラは邪悪な笑い声を響かせた。
〔サキュメアーレ王城〕
アーリアは一人で部屋にいる。
「こんばんは、アーリア様」
そこにメルティがやって来た。
「あっメルちゃん、どうかした?」
「ふふっ少しあなたとお話がしたくて」
メルティは友としてアーリアと話しをしに来たようである。
「そっか、ならあなたにも聞いてみたい事があったの、メルちゃんは自分のことが好き?」
「好きではないです、でも嫌いでもありませんね」
「つまり普通って事だね」
「でしょうね」
メルティはここでアーリアに近付き手を取った。
「アーリア様、今のあなたが自分を好きに慣れなくて嫌ってすらいるのは知っています、だからこそです、私もあなたがあなたを好きになれるように手を貸しますから、一緒に頑張りましょうね?」
「うん、一緒に」
アーリアはメルティの言葉が嬉しくて微笑む。
「後ルミナから聞いていますが、無理しすぎるのはダメですからね?」
「それは、んー、みんなを守りたいって思うとどうしても頑張りすぎちゃうんだよねぇ…」
「その気持ちは分かりますが、私達がいるんですから頼ってください」
「うん、そうする」
アーリアはメルティの言葉に頷く。
メルティはその言葉を聞いて微笑むと部屋から出て行った。
「みんなこんなに私の事を気遣ってくれてるのになぁ、私って面倒だなぁ…」
アーリアはやはり自分を好きに慣れずそう言う所は後ろ向きな今の自分に対してため息を吐くのであった。




