七話、アッシュとの戦いの始まり
〔グランデウス王都玉座〕
アーリアは一歩一歩踏み締めて玉座にやって来た。
かつては父が座っているところにやって来ては膝の上に座っていたこの場所に戻って来たのである。
「またお会いしましたね?お兄様」
アーリアは冷たく兄に話しかける。
既にいくつもの国を滅ぼしている魔帝に。
「愚かな妹よ、わざわざ殺されに来たのか?」
「死ぬのはあなたです」
「フン、口だけは達者になったようだな、よかろう、お前を殺しお前の軍も根絶やしにしてくれるわ!」
立ち上がったアッシュは左手を上げるとビームを放って来た。
アーリアは双剣で弾くと一気に迫り玉座に飛び乗ると兄の顔の横に剣を突き刺す。
「くっ…」
アッシュは当てれた筈のにわざと外したのだと理解する。
そして今の攻撃だけでも目の前の少女の実力の高さを理解した。
「危なかったですね?」
アーリアは薄く微笑みながら剣を玉座から引き抜くと構え直す。
「早く本気を出した方が良いですよ?じゃないとあっという間に死んでしまいます」
「言われなくても!」
玉座から立ち上がったアッシュは魔力を解放した。
その力はかなりのものである。
しかしアーリアから見て魔人であった時のナタリア程の力は感じない。
アレンが勝利し人間に戻したがナタリアは本当に魔瘴気に適性がある存在であったのだ。
「はぁぁ!!」
斬りかかって来るアッシュ。
アーリアはその動きを見てから避けると背後に周り蹴り飛ばす。
「ちぃ!」
アッシュはすぐさま後ろに向けて剣を振るったがアーリアはそれも避けてグッと距離を詰めるとしたから剣を振り上げて胴体を斬り付けた。
「ちぃぃ!!」
舌打ちをしながら闇の爆発魔法を放つ。
アーリアは爆発を突っ切ってアッシュの目の前に現れると左腕を斬り飛ばした。
「がぁぁ!!」
「…」
左腕を斬り飛ばされて叫ぶアッシュ。
アーリアはそんな兄を冷たく見据えながら剣を振るい両脚を使えなくした。
「くっそ…」
こんなあっさり負けるのか…そう思いながらアッシュは地面に倒れた。
アーリアは倒れた兄の髪を掴むと引き上げる。
「命乞いはしないでくださいね?あなたは私を蹴り飛ばして荒野に捨てて殺そうとしたんですから、そんな事をしなければ今あなたは私に殺されずに済んだんです、あなたが無能だと言っていた私に殺される気持ちはどうですか?お兄様」
「た、助けてくれ…」
「…助けるわけがないでしょう?もう良いです、死んでください」
アーリアは淡々と兄を殺すため剣を突き刺した。
「かはっ…」
髪を離し剣を引き抜くとアッシュは地面に倒れた。
「終わったね、リア」
「うん」
アーリアはルミナと頷き合い恨みを晴らせたと思うがその瞬間に地面から触手が飛び出して来た。
「なっ!?」
アーリアはルミナとフィリーと共に触手を避ける。
そうしている間に触手は次々とアッシュの身体に突き刺さり力を送り込んで行く。
『生まれ変われ我が傀儡よ、その娘を殺すのだ』
「ああ…はい…」
アッシュが頷くのと同時に体が変異して行く。
その身体はソレを模したモノに変わって行き外観は美しい女の子から姿となると髪色は銀色になり身体付きはナタリアやサーリアに負けず劣らずのものとなった。
「あはっあはは!!これがあのお方に頂いた力!なんで素晴らしいのかしら!」
ソレによって作り替えられたアッシュは高笑いをする。
「はぁ…さぁてアーリア、しっかりとあなたを殺してあげるわ?」
そう言ったアッシュが消えると次の瞬間にはアーリアの目の前に現れて剣を振り下ろして来た。
アーリアは反応して剣を受け止めたが脚が沈み込む。
『こやつは…かつてこの世界を滅ぼそうとした邪神の姿と同じだ…アーリア、こやつ相手に余力は残しておけぬオーバードライブを使え』
「…分かった!」
アーリアも感じていたソレによって作り替えられたアッシュの力をオーバードライブを使わないと勝ち目がない相手なのである。
「オーバードライブ!始動!」
オーバードライブを発動させたアーリアの身体から魔力が迸る。
「あはっ奥の手ってやつね?良いわ?その力も打ち破って殺してあげる!!」
アッシュは邪悪な笑みを見せるとアーリアとの第二ラウンドを開始する。




