四話、開戦前日
〔サキュメアーレ王城〕
サキュメア王国と言う名前はなくなりアルゲイドとなったが土地名はサキュバス達が思い入れがあるため残して欲しいと言って来たためそのままだ。
アーリアはそのサキュメアーレで開戦前の最後にゆっくりと出来る時間を過ごしていた。
もし戦争で殺されたらこう言う時間は二度とやってこないだろう。
「暇な時間って良いよねぇ…」
今のアーリアの姿は追放される前の日常的な姿と同じだ。
三年前までは暇な時はこうしてゴロゴロしているのが好きだったのがアーリアと言う少女である。
「そうね、いつでもそうしていられるように早くなれば良いんだけど…」
グランデウスを支配するアッシュを倒してもダークローズがいる。
その時点でアーリアの戦いは勝てた場合続くため今しているようなゴロゴロする時間は中々作れないであろう。
「すぐには来ないだろうから、今やってるのー」
そう言うとろけ切ったアーリアの様子は非常に可愛らしい。
尻尾もベッドの裏でだらんとしているのも注目ポイントだ。
「アーリア?いますの?」
そうしているとネーリアが部屋に入って来た。
「いるよぉ」
「あらまぁ、昔のあなたみたいですわね」
ネーリアはダラけたアーリアを見て暖かい視線を送る。
「常にこうしてたわけじゃないよ!?」
レッスンや公務の際はきっちりしっかりしていたためアーリアは慌てて否定する。
「あらー?そうでしたっけ?」
ネーリアはクスクスと笑いつつ妹を揶揄う。
「むー…」
揶揄われたアーリアは頬を膨らませた。
そうしているとサーリアも妹の元にやって来た。
「ネーリアもいたのだな、ならば同じ事を聞きに来たのだろう」
サーリアはそう言ってから妹を抱きしめた。
「怖くないか?」
明日行われるのはもしかすると死ぬかもしれない戦いだ。
そんな戦いに赴く事に対して怖くないかサーリアは聞く。
ネーリアはアーリアの手を握った。
「一人なら怖かったと思う、でも私は魔王なの、私に協力してくれる人が沢山いる時点で大丈夫、私、戦えるよ!」
アーリアは力強く戦えると言って見せた。
「そうか…本当に強くなったな」
サーリアは戦えると言って見せたアーリアを見て本当に成長したなと思う。
三年前のただのプリンセスであったアーリアであれば同じ状態になれば泣いていただろう。
「ふふっ、生きるために必要な事だからね」
強くなる事はこれからもアーリアが生きて行く上では必要な事だ。
もし敵の親玉である邪神が出て来るようなことがあれば現状の力ではどうやっても歯が立たないだろう。
「そうですわね…必要だからあなたは戦うのですわね…」
本当はアーリアに戦って欲しくないネーリア。
可愛い妹を心から愛しているからこそ思ってしまう事だ。
「うん、明日もその先も私は私の戦いをして行くよ」
生きて行くためにだ。
姉達との会話を終えたアーリアは剣を引き抜き眺めていた。
「凄い、相当昔に作られた剣でご先祖様と使っていた母なのに傷一つない…」
アーリアは剣を眺めつつ何で出来てるんだろうと思う。
『その剣はダークオリハルコンで作らせた物だ、希少な金属でな剣を一振り作るだけでも難儀だと言うのにあの時の我はなんの気の迷いかもう一本作ってた、本当に苦労した』
大変だった変わりに異常なレベルで高耐久な剣が出来たのだから正解である。
『してアーリアよ、決して油断せぬようにな、戦争では一瞬の油断が命取りだ』
「分かってる、死にたくないからね」
『うむ』
ゼーリアとの会話を終えたアーリアはこの後も同じようにゆっくりして過ごした。




