五話、ダークエルフの里
〔ダークエルフの里〕
森の中を進み続けアーリア達はようやく里に到着した。
途中からは異常なレベルでアルウラネと出会い放たれる毒霧に苦しみながらも勝利してここまでやって来たのである。
「やっと着いたねぇ…」
アーリアは強い魔物達と戦い抜きここまで来れた事にホッとしている。
大切な仲間を誰も失わずに済んだのだ。
「ようこそ姫様」
そうしていると一人の少女がやって来たルシラだ。
「あなたは?」
「この里の長、オードリーの弟子でございます、到着したらあなたを案内するようにと言われておりました」
「なるほどね、なは早速案内してもらえるかしら?」
「はい、もちろんです」
ルシラはアーリア達に背を向けると歩き始める。
背を向け顔が見えなくなるのと同時に邪悪な笑みを見せた。
今のルシラは通常のダークエルフとしての格好になっているがその中身はダークローズのために戦う魔人である。
そのため彼女は今後の計画を想像して邪悪な顔を見せたのである。
「…」
アーリアは魔王の勘でルシラから何か感じ取っているようだ。
(ご先祖様…?この子…)
『流石だな、分かるか…しかし、確証がない状態で動くわけにはいかぬ、今は様子見だ』
(だね)
アーリアの敏感な感覚は目の前の少女がナタリアと同じ存在にされていると示して来ている。
しかしいきなり正体について尋ねて暴れられたら街の住民に被害が出る。
そうならないようにアーリアは時が来るまでは見に回る。
「着きました、こちらが里長の屋敷です」
ルシラは振り返り笑顔でここが里長の家であると言った。
そして四人に入るように促して来る。
「案内ありがとう」
アーリアは彼女に感謝しつつ四人で屋敷の中に入って行く。
「うふふ…ナタリア?作戦を始めましょう…」
アーリアが中に入るのと同時にルシラは念話でナタリアに話しかけた。
『ふふっ、ええ、アレの準備は出来ているわ』
「あはっ、とても楽しみですね」
二人の堕ちた女はこれから起こる事を想像して邪悪な笑みを見せる。
アーリア達は里長の屋敷の中を進み彼女の部屋に入った。
「良くぞ来てくれたな、姫様よ」
里長オードリーは四人を歓迎する。
森を越えて来た強き者なら魔王として認めるに相応しいからだ。
「あの森はやっぱり試練なの?」
「うむ、森を越えられぬような弱き者を魔王として認めるわけにはいかないからな」
オードリーが認めてくれたのだと思うアーリアは嬉しそうな顔を見せた。
「して、姫様よ、やけにアルウラネが多いとは思わなかったか?」
アーリアは思う。
本題に入ったな?と思って。
「ワシはお主を確かに認めたが、今の里の状態ではな?お主の軍門には入れぬのだ、この里の近くに現れたクイーンアルウラネが次々とアルウラネを産み、アルウラネ達が森を荒らしている状態ではな」
「やはりな、この多さクイーンアルウラネがいるのでは?と思っていた」
フィリーはエルフとして森の知識があるためアルウラネの多さからクイーンアルウラネがいる可能性を考えていたのである。
「ワシらダークエルフもお主達に協力したいと思っている、しかし今の状態では兵力を割くわけにはいかぬのだ、だからこそ姫様よ、共にクイーンアルウラネを倒して欲しいのだ」
「もちろん良いよ、一緒に倒そう」
魔帝国に勝つためにもダークエルフの力を借りたいのだ。
だからこそクイーンアルウラネの討伐に協力すると即答する。
「よし頼ん…」
オードリーが言葉を言い終わる前にルシラが部屋に入って来た。
オードリーはその音を聞いて弟子の顔を見る。
「弟子よ、何用だ?」
「あはっ、用ですか?ありますよ?この里を滅ぼしダークエルフを根絶やしにすると言うダークローズの者の一人としての大切な用事がね?」
「!」
アーリアはやはりかと思い剣に手をかけた。
しかしその前に地面が揺れた。
「ルシラ…貴様…まさか!」
オードリーはルシラが何をしたのか理解し大きな声を出す。
その瞬間地面から緑色の触手が突き出して来た。
「はいそのまさかです、師匠、クイーンアルウラネを我々の力で操り、ダークエルフを根絶やしにするための駒としました、現在外ではクイーンアルウラネによる攻撃が始まっています」
ルシラは喋りながら自分の体を撫で魔人の姿に変異して行く。
衣装もナタリアが着ている物と同じボンデージドレスに変わった。
「うふふ、見てくださいこの力…力が溢れていた本当に素晴らしいんですよ?」
ルシラは邪悪な顔を見せると地面を蹴り師に向けて斬りかかった。
アーリアがその攻撃を防ぐ。
「あなたも…お母様と同じなんだね…」
「うふふ、ええ…あなたのお母様にこの姿にしていただきました…」
「…」
アーリアは思う。
あの時感じた気配はやはり母の物だったかと思って。
「さて師匠、私はもうあなたの弟子ではなく敵、今からこの里には滅んでもらいますよ、あはっあはは!!!!!!」
邪悪に染まり切った少女は高笑いをした。
「そんな事絶対にさせない!」
ルシラと押し合っていたアーリアは押し切りながら言う。
「ふふっ、そして姫様?あなたをここで倒し共に来てもらいますよ?」
「何度も言ってるけど行かないよ!」
「ふふっ無理矢理にでも連れて行くだけです、ねぇ?ナタリア?」
「うふっ…ええ!」
転移して現れたナタリアが斬りかかって来た。
ルミナがその攻撃を防ぎアーリア達とダークローズの忠実な構成員との戦闘が始まった。




