一話、吸血鬼の国
〔ブラッドスフィア王城〕
ルミナにとっては我が家である吸血鬼の国の王城にアーリア達は転移してやって来た。
「わぁ…」
すると全吸血鬼がアーリアに対して片膝を着いていた。
『ククク、驚いたな、吸血鬼の我ら魔王一族に対する忠誠心は相変わらず高いな』
ゼーリアは昔から何も変わっていない様子を見てアーリアの脳内で苦笑いを見せた。
「お初にお目にかかります、アーリア様、私の名はサイク、そこにいるルミナの父で吸血鬼の王を務めさせて頂いております、我等吸血鬼一同あなた様を歓迎いたしましょう!」
「あーう、うん…」
ここまで忠義を示されると正直引いてしまうアーリアは微妙な反応を見せる。
「それで?アーリア様、今回はどう言ったご用件でしょう?」
サイクはアーリアに用件を聞いて来た。
「魔王として挨拶をしに来たの、あなた達は私の軍の一員としてこれから頑張ってくれるわけだしね」
「おおお!!アーリア様が我々にわざわざ挨拶をしに来てくださったぞ!なんと言う光栄なことか!」
サイクは挨拶しに来たと言うアーリアの言葉に感激し中には泣き始める吸血鬼もいた。
「…………」
『引くなアーリア、こやつらはこんな感じだ』
「えー…」
久し振りに魔王が現れたため余計に忠誠心に溢れているのだなのでこうなる。
「それじゃ、えと…よろしくねー?」
アーリアはこのまま帰ろうとする。
「はい!それでは歓迎の宴を開きますのでこちらへ!」
「あーうん…」
が歓迎の宴に招待された。
アーリアは料理を作ったりしてるんだろうし…と思い行く事にした。
「ごめんね?リア…」
「あはは良いよ、こんなに私を歓迎してくれてる時点で良い人たちだよ」
正直帰りたい気持ちは強いが良い者達なのは分かるためアーリアはルミナに対してこう言った。
するとルミナは微笑んでくれた。
「それでは我等吸血鬼によるおもてなしをお楽しみくだされ!」
こうしてアーリアの歓迎の儀が開始された。
二時間後歓迎の儀が終わったためアーリアは与えられた部屋に入っていた。
「あー…気持ち良い…」
部屋の中ではメイド吸血鬼によるマッサージをして貰っていた。
「うふふ、しっかりと疲れを癒してくださいまし…」
「はぁい…」
マッサージが気持ちよくてとろんとした顔をしているアーリア。
正直言ってその顔は色っぽくルミナ達はいけないものを見ている気持ちになった。
「終わりです、それではお風呂へ」
「はーい」
続いて部屋の中にある浴室に連れて行かれるアーリア。
そこでも全身を徹底的に洗浄され元々美少女であるアーリアは風呂から出て来ると煌めく美少女に変容していた。
ツヤツヤピカピカしている。
「髪の質感すご!」
フィリーはアーリアの髪がさらっさらになっている事に触って驚く。
「私もうねむーい…」
そう言ったアーリアはフィリーの胸に顔を埋めて寝始めた。
眠気をもう我慢出来なかったのである。
「おやおや、我等の魔王様が癒されすぎて寝てしまったぞ」
「そうね、ベッドに運んであげましょう」
「そうだな」
フィリーはアーリアをベッドに運び寝かせてあげる。
するとアーリアはスヤスヤと健やかな寝息を立てて眠り始める。
「私達も寝ましょう、ベッドを使ってね?私は自分の部屋に行くわ」
「はい、また明日です、ルミナ」
「ええまた明日」
ルミナは仲間に手を振ると部屋から出て行った。
「!」
ルミナが出て行こうとした直後アーリアが飛び起きた。
「どうしたの?リア?」
「何か…来た!」
そう言ったアーリアが窓辺に向かうと同時に吸血鬼の国の王都に火が上がった。
「なっ…」
ルミナは一体何が…と思う。
「見に行くよ!みんな着替えて!」
「ええ!」
街で何か起こっているのは確実。
アーリア達は原因を突き止めるため服を着替えると城下町に向かって行った。
〔ブラッドスフィア王都〕
城下町に降りて来たアーリア達は火が起こった場所にやって来た。
そこには一人の女が立っておりその周りには吸血鬼の死体がある。
「おやおや?随分と遅い登場ですね?」
女は血に抜けた斧を振るって血を払うとアーリア達を見据える。
「あなたは何?」
「ダークローズの幹部ミアタです、吸血鬼の数を減らすように言われましてね、殺しに来たと言うわけですよ」
女はそう言うと魔法を放とうとしたがその前にルミナがぶん殴りやめさせた。
「よくも同胞を!許さない!」
仲間を殺された事に怒るルミナは連続して剣を振るう。
しかしミアタはルミナの攻撃を全て防いでいる。
ルミナはアーリアと試合をしながら鍛えて来たため十五歳という若さであるがかなり強い。
そんなルミナの攻撃を防いでいる時点でこのミアタと言う女は相当に強いのだ。
「ルミちゃん!怒るのは分かる!でも先走らないで!」
ルミナに死んでほしくないためアーリアは先走るなと言う。
「分かってる!」
ルミナは親友の声を聞いていくらか冷静になる。
そうしていると天から赤黒い砲撃が落ちて来た。
「!?」
ミアタはその砲撃に成す術なく巻き込まれた。
「お父様!」
攻撃をしたのはサイクだ。
彼は吸血鬼の王として明らかに起こった様子で容赦なくミアタを攻撃して行く。
「なっ…吸血鬼の王がこんなに強いなんて聞いてないですよ!」
サイクの容赦ない攻撃にミアタは全く対応出来ていない。
王を名乗るだけはありサイクは現状のアーリアよりもかなり上の力を持つ。
だからこそ強くダークローズの幹部でも手も足も出ていない。
「愚かな娘よ、このまま死ね」
サイクはミアタの顔を掴むと心臓を刺し貫こうとするが。
その瞬間にエイラが現れサイクを蹴り飛ばしてミアタを守った。
「全く…油断しすぎよ」
エイラはそう言いながらミアタを転移させて逃した。
「また愚か者が来たか」
サイクはそう冷たく言うと次はエイラを殺そうとするが背後にナタリアが現れる。
「くっ!お母様!」
それを見たアーリアがナタリアを蹴り飛ばして攻撃を止めた。
「もう…邪魔をしないでくれる?」
ナタリアはアーリアを見てため息を吐く。
今回はアーリアと戦うつもりはなかったのだ。
「邪魔するに決まってるでしょ!私が見ている前でお母様に誰かを殺させたりなんてしない!」
「ふふっ、ならあなたが見ている前で殺してやるわ?」
ナタリアはアーリアを無視してサイクに向かって行くが。
フィリーの矢がその動きを阻みエイラはその間にサイクに地に着けられ顔を踏みつけられた。
「小童がこのまま死ぬが良い」
サイクはエイラに対しても容赦なく殺そうとする。
「エイラ様!」
ナタリアが転移してエイラの元に飛び体に触れると逃げて行った。
「逃したか…」
サイクは舌打ちをしてからアーリアの方に振り返る。
「不甲斐ないところを見せてしまいましたな…あの程度の者達の襲撃でこんなにも同胞を殺されてしまうとは…」
サイクは仲間を失った事に対し悔しそうな顔を見せる。
「仕方ないよ、いきなりだったんだもん、とりあえず言えることはダークローズを許しちゃいけないってことだね」
「そうですな、それでは城に戻りお休みください、私は彼等を弔わなければ」
「…分かった」
アーリアはサイクの言葉に頷くと城に戻ろうとする。
「リア、私も残るわ、また明日ね?」
「うん」
アーリアはルミナの手を握って頷いてからフィリーとメルティと共に城に戻った。
〔ブラッドスフィア王城〕
アーリアは窓からルミナがいる場所を見て胸に手を当てている。
「アーリア様?」
メルティがそんなアーリアに声をかける。
「あの亡くなった人達も私が守るべき人達なんだよ」
「はい…」
「でも私は守れていない、だから…守れるように私はもっともっと強くならないといけない」
アーリアは罪もない人達が殺されないようにもっと強くなって守れるようにならなくてはと思う。
「そうだな、強くなってたくさんの人達を守れるようになろう」
「うん」
アーリアは仲間二人の言葉に頷くとベッドに入り眠り始めた。




