九話、フィリーの力
〔サキュメアーレ王城〕
王都の鍛錬場にアーリアは仲間達と共にいた。
自分とルミナは近接戦担当メルティは前衛二人をシールドで守ったり後方からの射撃をしての支援担当だ。
ならばフィリーは何をする?それを知るためにアーリアは彼女の戦い方を知ろうとしていた。
「私は中距離か遠距離戦担当だ、中距離からはこの弓で戦う」
フィリーが使うのは魔道弓魔力で作った矢を放つ弓を使う。
通常の弓と違って矢を持ち運ばなくて良いのがメリットだ。
そして魔力がある限りは矢を放てるのもメリットである。
「遠距離は風の魔法を使う、メルティが防御寄り支援型だとすると私は攻撃寄りの支援型だな」
フィリーが言う防御寄りの支援型の仕事は前衛をシールドで守ったり回復魔法を施して傷を治したりしつつ敵の隙が見えたら攻撃もするのが仕事だ。
攻撃型の支援型は前衛の様子を見つつ中距離から遠距離の距離を変更して都度適切な攻撃をして前衛の支援をするのが役目である。
「なるほど、私達に欠けていた部分があなたのおかげで補えるわね」
アーリア達のパーティに欠けていた部分が正にフィリーが担当する攻撃寄りの支援型だ。
そこを補えるのは本当に助かる。
「うむ、頼りにしてくれ、出来る限りのことをさせて貰おう」
フィリーはやる気満々と言った様子でガッツポーズをした。
「次に聞きたいのはフィリー、あなたのレベルは?」
アーリアとルミナとメルティはそれぞれ49レベル47レベル45レベルだ。
最近ナタリアと何度も戦いアーリアが一番相手をした結果得た経験値でレベルアップしている。
ナタリアはかなり強いため得る経験値も膨大だったのだ。
「私は52だ」
「ほえー!一番高い!」
アーリア達はフィリーのレベルを聞きそれぞれのステータスを見せた。
「おお…しかし姫様ならすぐに追い抜いてしまいそうだな」
アーリアは強敵と当たる確率が高いため経験値を得る量が一番多いそのためレベルアップのスピードが早いのである。
「あはは、さっ今からみんなで依頼受けに行こう、連携を上手く出来るようになって行かなきゃね」
「うむ!」
アーリア達はサキュメアーレにある冒険者ギルドに向かうため城を出た。
〔サキュメアーレ〕
街に出ると沢山のサキュバスが歩いているのが見える。
アーリアは最初からそもそもサキュバスであるため彼女達の破廉恥な格好を見てもサキュバスとしての価値観になっている事もありのほほんとしていたが。
ルミナは慣れるまで頬を赤く染めていた今では見ても無反応である。
「なぁ?あんな格好恥ずかしくないのか…?」
「私も見慣れません…」
しかしフィリーとメルティは反応してしまう。
そのくらい破廉恥な格好をした者もいるのだ。
もちろん全員が全員そんな格好をしているわけではない。
現にサキュバスであるアーリアは黒いドレスを着ているからだ。
「ははは、そのうち慣れるわよ」
「そ、そうなのか…!」
「慣れますかね…?」
フィリーは素っ裸で歩いているサキュバスを見てポン!と真っ赤になったメルティも同じくだ。
アーリアはそのサキュバスを見てにこやかに挨拶しておりやはりその価値観はしっかりとサキュバスのものである。
「一年くらいはかかると思うけどね…」
ルミナは一年経ったくらいで気にしても仕方ないと思えるようになった。
「そう思えるように慣れるようにするか…」
「ここがアーリア様の国になる時点でずっと私達の拠点になるわけですしね…」
メルティとフィリーはルミナがそうしたように気にしないように慣れるようにしようと思った。
「みんな!美味しそうなパフェのお店が来てるよ!」
そんなことを話して歩いているとパフェの露店があった。
アーリアは尻尾をピン!と立てて駆け寄る。
「尻尾の動き可愛いですよねぇ…」
メルティは相当にアーリアの尻尾を気に入っているようだ。
確かに動きがかなり可愛いため気に入るのは理解出来る。
「あの動きだけで強力なチャームポイントなのよね」
可愛い反面戦闘中でもぴょこぴょこしているため緊張感に欠けると言う面もある。
「みんなー?パフェ食べよーよ!?」
どれにしようかなー?と尻尾をるんるんさせて悩んでいたアーリアは皆が離れた所で止まっているのに気付き振り返り手を振る尻尾も一緒に左右に振られている。
「はいはい、今行くわ、リア」
ルミナははぁいとアーリアに向けて手を振る。
「甘いものは好きだぞ!」
「楽しみですね!」
皆十五歳の少女である甘いものは大好きであり嬉しそうな様子でアーリアと一緒にどのパフェを食べるのか選び始める。
「私はチョコ!」
幼い頃から大好きなのだ。
「私はイチゴかしら」
いちごが血の色に似ているからで選ぶのが吸血鬼らしい
「私もチョコだな」
こちらも幼い頃から好きだから選んでいる。
「私はバナナで」
美味しそうだからで選んだ。
四人それぞれ決まったため注文し完成すると椅子に座って仲良く交換したりしながら食べ始めるのであった。
食べ終わったアーリア達はしっかりと器を店に返し改めてギルドに向かって行く。
〔サキュメアーレ冒険者ギルド〕
ギルドの内部もサキュバス達が沢山いる。
流石に冒険者サキュバスは普通な格好をしている。
何故なら裸も同然な服で皮膚を守れないからである。
「今回は何倒す?」
アーリアは尻尾をフリフリしつつ何の魔物を倒すか仲間に聞いた。
「おっ、黒騎士の討伐依頼があるわよ、これにしない?」
黒騎士とは無念の死を迎えた戦士が変異する存在でかなりの強さを持つ。
そのため連携を深めるためには丁度良い相手である。
「うむ、それにしよう、メルティも良いか?」
「構いません」
フィリーとメルティも黒騎士の討伐依頼で構わないようだ。
「よし決まりだね、私が受けて来るよ」
アーリアは決まり!と尻尾を立てると受け付けに向かって行った。
ちなみに受付嬢の服装はボンデージで実にサキュバスらしい格好である。
「依頼受けたよー、さっ!サースメリア平原に行こう!」
アーリア達は黒騎士がいる古城に向けてサースメリア平原に向かって行った。
〔サースメリア平原〕
サースメリアを歩いているとメルティが話しかけて来た。
「そう言えばアーリア様は他のサキュバスがどんな格好をしていても気にしないようですが、自分がああ言う服を着るのは恥ずかしがりますよね?」
メルティは疑問に思ったことをアーリアに聞いた。
「あぁ、他の子がどんな服を着てても確かに何も思わないね、だってそう言う服を着るのはあの子達が美味しいご飯を食べるための努力だもん」
だからこそ素っ裸で歩いていようがアーリアはその者がサキュバスとしての食事をするための努力だとしか思わない。
「それで私がああ言う服を着るのを恥ずかしいと思うのは人間として生きていた期間があるかないかの差かなぁ…」
サキュバスとしての価値観になってはいるが人間として生きた期間もアーリアには確かにある。
その影響もあり今は魔装なども恥ずかしいと思うのだ。
もっともっとサキュバスとして生きた期間が長くなれば変わっていくかもしれないとアーリアは思っている。
「なるほどな、元々サキュバスとして産まれた者と後でサキュバスになった姫様の差と言うわけだな」
「そゆこと、あっ見て、黒騎士がいたよ」
歩いていると古城に辿り着き黒騎士が立っているのが見えた。
彼がいるのに気付かずにここに入った初心者冒険者が大怪我をしたりしているため確実に倒しておかないとまた被害が出る。
「まずは私が先制攻撃する、二人はその後突っ込んでくれ」
「了解」
アーリアとルミナが頷きそれを見たフィリーは魔法矢を放つ。
「速い!」
魔法矢と一緒に駆け出す二人。
黒騎士は二人の動きに気付いたがそれと同時に腕を撃ち抜かれる。
「!!」
黒騎士は反応出来ない程のスピードの矢に戦慄しつつアーリアに向けて剣を振るったがメルティのシールドがそれを阻みアーリアはルミナと一緒に黒騎士を斬り伏せる。
「うん!やっぱりフィリーのおかげで攻撃の起点が出来て黒騎士でもこんなに簡単に倒せちゃった!」
アーリアはフィリーが入った事で自分達はかなり強くなったと喜ぶ。
初手でいきなり遠距離攻撃を入れれるのが強いのである。
「そうね、これであなたのお母さんとも優位に立ち回れるようになれば良いんだけど…」
アーリア達の目標の一つにナタリアの救出がある。
そのためルミナはフィリーが入った事で優位に立てないか?と言った。
「んー…お母様強いからなぁ…」
前回は魔装を得た事で押し切れたがこの数日の間にナタリアは確実にパワーアップしているはずで次戦う時に押し切れるかどうか分からない。
だからこそアーリアは優位に立てるかどうかは怪しいと言う反応を見せる。
「そんなに強いのだな…心して当たらなくては」
「うん、絶対に油断しちゃいけない相手だよ」
アーリア達はナタリア相手に油断しないと誓い合うと街に戻って行った。




