七話、最強の魔人の力
ここからはルミナも主人公となります。
〔サキュメアーレ王城〕
アナスタシアと彼女に寄り添うアーリアとルミナ達が対峙している。
「それでお前がここに来た目的はなんだ?」
アレンはアナスタシアにここに来た理由を問う。
「チッ…」
アーリアはアナスタシアを呼び捨てにした事に舌打ちをするが少女の女主人は怒るなと手で制した。
アーリアは主人のその手を見て身を引くそのくらい今のアーリアはアナスタシアに忠実なのだ。
そしてそれはそう言うふうに洗脳を施したからである。
「うふふ、私のこの子の実力をあなた達に見せてあげようと思ってね?」
「…もしアーリアに勝てたらどうなる?」
「返してあげても良いわよ?まぁあり得ないだろうけど」
「その勝負受けるわ」
ルミナが勝負を受けると言った。
「良いわよ、それなら一対一の剣術だけの勝負にしましょう、良いわね?アーリア?」
「もちろんです、アナスタシア様」
忠実にアナスタシアに従うアーリア。
その姿はルミナ達にとっては胸が締め付けられる姿だ。
何故なら魔人となり敵の親玉である邪神に付き従っているのだから。
「それじゃ早速始めましょう」
「ふふっ、良いよ、たっぷりと楽しませてよね?ルミナ」
アーリアが腕を振るうとデウスゲイドが飛んで来た。
二振りの剣にとってその身を魔人に堕としていたとしてもアーリアが主人なのだ。
「それじゃ行くわ!」
ルミナがアーリアに斬りかかる。
アーリアは薄く微笑みながらルミナの剣を左手の剣で受け止めた。
「くっ…」
以前のアーリアならば片腕で自分の剣を受け止める事は流石に出来ていなかった。
しかし今のアーリアにはそれが出来てしまう。
この時点で相当に身体を改造された証拠でありルミナはアナスタシアへの怒りを深める。
「ねぇ?ルミナ、あなたは良いよね?恵まれた環境で生きて来てさ?」
アーリアはルミナの攻撃を簡単に防ぎながら話しかける。
「何がよ?」
「周りから無能だとか言われたり蔑まれたりした事一度もないんでしょ?私と違ってさぁ?」
「何を言ってるの?」
「フン、知らないでしょうね?あなたと会う前の話だもの」
アーリアはルミナにそう言うと彼女に向けて強めの一撃を振るった。
「くぅ!」
怯むルミナアーリアはそこに追撃し二人は剣を合わせた。
「私は小さい頃そう言う風に言われて来たの、魔法が使えないんだもん当たり前だよね?あはっ!私みたいな無能はアナスタシア様みたいな素晴らしいお方に力を貰わないと強くなれないんだよ!」
「お前が蔑まされていた?何のことだ…?」
ゼーリアは仮想世界ではそんな風にアーリアが育つ環境にならないようになっていたはずと思う。
「本当の事だよ、私はそう言う風に生きて来たの、だからこそずっと周りを羨んでたの、だから私はそんな私が嫌いだったの!」
力を入れてアーリアはルミナを押し切った。
「仮想世界のバグか…?」
ゼーリアは仮想世界で何が起こっていたのか調べなくてはならないと思うがアナスタシアがそのデータを全て消しているため真実を知る術はない。
つまりアーリアは仮想世界で蔑まされて育ったと言う認識から変わる事は二度とないと言う事だ。
「それでも…あなたは優しい子でしょ?」
ルミナは本当のアーリアは優しいはずだと言う。
「今の私が本当の私、その時点で優しいわけなんてない、私は私をよく分かってるの、あはっ!自分が幸せならそれで良い、それが私、だから私を幸せにしてくれるって約束してくれたアナスタシア様に従う事に決めたの」
話して行くうちにアーリアの光のない瞳が更に闇に染まって行くのがルミナには分かった。
アーリアの心を闇に染めた理由は洗脳だけではなく仮想世界での経験なのだとルミナはこれで認識した。
「そう、あなたが闇に染まった理由はよく分かったわ、だからこそ私がその闇からあなたを救ってみせる!」
「そんな必要ない」
アーリアは冷たく言うとルミナの腹に蹴りを叩き込み続けて回し蹴りを放つと最後に首を掴んでルミナを地面に叩き付けた。
「それにあなたはここで死ぬんだから私を救うチャンスなんて二度とないんだよ?」
光のない瞳にルミナに対する殺意を激らせたアーリアはルミナに向けて剣を振り下ろそうとする。
「アーリア?ダメだと言ったでしょ?」
アナスタシアは少し厳し目の口調でアーリアにやめるように言った。
「…申し訳ございません、アナスタシア様…」
アーリアは素直に彼女の言うことを聞くとルミナの上から退いた。
「さてアーリアの勝ちね?これであなたの元にこの子が戻る事はなくなったわ」
アナスタシアはそう言うとアーリアを抱き寄せ自分の物であると示した。
「それじゃ私達はこれで今日は引いてあげる、また楽しませてね?」
「あはっ、あなた達みたいなゴミで遊んであげてるんだから感謝してよね?」
アーリアはルミナ達を冷たく見据えてからアナスタシアと共に消えた。
「とにかくだ、方針は決まったな、あの闇から解放さん事には洗脳が解けることもないだろう」
「そうね…」
必ずアーリアを救うルミナは強く心に誓った。




