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第153話 期限は24時間

アムゲが急いで私を呼び出した。


「米軍が収容所内部の状況を把握したいと考えています。期限は24時間です。」


危険なことはするなと言われたのは、つい先日のことだった。それなのに、また収容所へ行って情報を探せと言っている。


「状況が状況ですから、仕方ありません。」


アムゲは外国製の煙草を二箱渡してきた。


「必要なら使ってください。私に返す必要はありません。」


「わかりました。」


私は収容所の近くへ移動した。


チュィセッキを使うつもりはなかった。


ほかの人を探さなければならなかった。


だが、米軍の将官が捕らえられたという知らせのせいなのか、収容所の捕虜たちはみな表情を硬くしていた。


そのとき、鉄条網の向こうに見覚えのある顔が見えた。


以前、死んだ捕虜代表の周りで何度か見かけた男だった。


私は先に近づかなかった。彼が近くまで来るのを待った。


「あれ?」


男が私に気づいた。


「あんた、またここに来たのか?」


「久しぶりですね。」


私は偶然彼に会ったように振る舞った。


最近どうしているのかと適当に話してから、慎重に切り出した。


「米軍の将官が捕まったそうですね? その人は生きているんですか? 大丈夫なんですか?」


男が私を見た。


さっきまで浮かんでいた笑みが消えた。


「そんなこと聞くな。」


「なぜですか?」


彼が声を低くした。


「そんなことを軽々しく口にしたら、俺まで殺される。」


私はそれ以上聞かなかった。


「わかりました。」


そのまま離れようとした。


男が私を呼び止めた。


「待て。」


私は振り返った。


彼が周囲をうかがってから尋ねた。


「煙草、持ってないか? 一本だけくれ。最近、煙草がかなり足りないんだ。」


私は軍用の煙草を一本渡した。


彼はそれを大事そうに受け取り、吸い始めた。


「ありがとう。あんたがいなくなってから、物資がまともに入ってこないんだ。」


煙草を一本吸いながら、彼は最近の収容所内部が本当にひどい状態だと愚痴をこぼした。


「ところでさ。煙草、ほかにも持ってないか? 俺が調べられる範囲なら、情報を集めてやることもできる。」


煙草を吸って、もっと欲しくなったようだった。


私はポケットに入っていた外国製の煙草一箱を、ちらりと見せた。


「お。それは?」


彼の目が光った。


私は慎重に言った。


「米軍の将官についての情報と、中の状況を少し教えてください。そうしたら、これを一箱差し上げます。」


「うーん。それは……。」


彼は少し考えているようだった。


「いくら外国製の煙草一箱でも、それじゃちょっと……。」


少し足りないというように呟いた。


「これは今一箱渡します。情報を集めてきてくれたら、もう一箱渡します。」


その言葉に、彼がうなずいた。


「約束は守るんだろうな? 今、外国製の煙草を一箱もらって、情報を集めてきたらもう一箱だ。俺が情報を手に入れられなくても、返せなんて言うなよ。」


私は少し考えた。


だが、男にとっても情報を集めて外国製の煙草をもう一箱もらうほうが得だろうと思い、その提案を受けることにした。


「はい。」


「絶対に俺から聞いたなんて言うなよ。」


「はい。」


彼が周囲を見回してから、時間を告げた。


「その時間にまた来い。」


「わかりました。」


「煙草。」


私は外国製の煙草を一箱渡した。


「俺もこれを使って情報を集めなきゃならないんだから、情報が信用できないからって、もう一箱渡さないなんてのはなしだぞ。俺もあんたを信じて危険を冒すんだからな。」


彼は何度も念を押した。


「わかりました。」


そうして彼と別れた。


その後、私は約束した時間にもう一度彼に会いに行った。


だが、姿が見えなかった。


やられたか?


外国製の煙草だけ受け取って逃げたのかと思い始めたころ、彼が現れた。


彼は私の前まで来ると、まず周囲を見回した。それから慎重に言った。


「生きてる。」


「将官のことですか?」


「ああ。」


「直接確認したんですか?」


「中までは入ってない。それでも、中から出てきた連中に確認した。」


男が声を低くした。


「すぐに殺すつもりはないみたいだ。」


「では、なぜ捕らえているんですか?」


「何かを引き出そうとしてるんだろう。」


「交渉するつもりなんですか?」


「そんなところだと思う。」


彼が言葉を止めた。


私は待った。


「人がたくさん集まってる。」


「どのくらいですか?」


「正確にはわからない。それでも、かなりの人数が集まってる。」


「武器のようなものも中にあるんですか?」


「ああ。」


彼は手製の武器の状況について話してくれた。


「米軍が入ってきたらどうするか、という話もありますか?」


男が少しためらった。


「そこまではわからない。でも、あいつらは米軍の将官を拉致した、いかれた連中だ。米軍が鎮圧に来ることも考えてるはずだ。」


私はすぐにうなずいた。


「わかりました。」


「これも持っていけ。」


彼が服の内側から、小さく折りたたまれた紙を一枚取り出した。


「これは何ですか?」


「俺が調べたことをまとめておいた。」


煙草の箱から破り取ったように見える小さな紙だった。


「絶対に俺からもらったとは言うなよ。」


「はい。」


「じゃあ、もう一箱の煙草をくれ。」


私は彼に外国製の煙草を一箱渡した。


「もう、こんなことで会うのはやめよう。」


「はい。」


彼と別れた。


私はアムゲと連絡を取った。


彼はひどくやつれて見えた。


米軍の将官が拉致された事件で、かなり神経をすり減らしているようだった。


私は聞いた情報を話したあと、受け取ったメモをアムゲに渡した。


彼はしばらく紙を見つめた。


「この人は信用できますか?」


「以前から顔を知っていた人です。」


私は少し考えてから付け加えた。


「全部が事実かどうかはわかりませんが、本人が中の事情を調べてきたこと自体は確かだと思います。」


彼がもう一度紙を読んだ。


「わかりました。」


「これからどうするんですか?」


「ここから先は、私に任せてください。」


「救出作戦を行うんですか?」


多くの人が死ぬかもしれなかった。


「いろいろな方法が検討されています。」


アムゲはそう言って、その場を離れた。


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