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使役魔獣 2

飛行を続けて20分後。

真下の森を抜けると、そこは大平原であった。

原っぱが広がるのどかな光景だ。

ここを農場にするのも悪くはない。

もしくは都市を建設するのもいいかもしれない。


某街づくりシミュレーションゲームでは平原を開拓して街を作るが、現代においてそうそう開拓できる場所は少ない。

地面の凸凹も殆どなく、理想的な土地だろう。

ハンスは空撮をしながら思った。


「本当に未開拓の土地なんだなぁ…こんなに開けている場所なら都市も作れそうだ」


「見た限り開拓するにはうってつけの場所ですね」


「だいたいこの辺りは基地からどのくらい離れているんだ?だいたい60キロぐらいか?」


「そうですね…おおよそですが、そのくらいです…」


「基地からここまで道を引くとなると…建設会社は大儲けだな。こんなに広いなら何処かの国が保有している土地かもしれないがな…」


「ええ…ん?機長、10時の方向にあぜ道があります!」


ロバートがあぜ道を発見する。

一本に長く続いているあぜ道。

あぜ道に沿ってOV-10を飛ばしていく。

すると、前方に走っている馬を発見した。


「おっ、あれは馬じゃないのか?」


「えっ、本当ですか?」


「ああ、数十頭はいるかなぁ…んん?」


ハンスが目を細めてみてみると、事態はどうやら深刻なものであったようだ。

最初は馬の群れかと思ったが、どうやら一般人が蛮族に追われているようであった。

馬にまたがって先頭を走る馬を追っているのは、この前白衣を着て非戦闘員を皆殺しにしていた「大陸同胞会」という危険な狂信者たちだ。


その連中が両脇を騎士に守られている女性を追っている。

いや、攻撃している。

長槍を投てきし、二人の騎士の身体に突き刺さってそのまま落馬していく。


「おいおい、あれ大陸同胞会の連中じゃないか!しかも襲ってやがる!」


「なぁっ!?こんな所にも奴らはいるんですか?」


「詳しくは知らないが、どうやら俺たちがいる大陸でもかなり勢力を誇っている組織みたいだしな。射程距離に入ったら長槍を放って馬から落馬させようとしているんだ!」


先頭を走る馬に乗っているのは女性のようだが、やはり多勢に無勢。

戦力差は空から観測しているハンス達からみても悪い。

30頭近くの馬が徐々に先頭を走る馬に追いつこうとしている。

このままでは女性の命が危ない。

ハンスはロバートに攻撃準備指示を出す。


「なぁロバート。M23ガンポットの設定を任せてもいいか?」


「ええ、直ぐに!ということは機長はやる気ですね?」


「勿論だ。誰がどう見ても一般人がテロリストに追いかけられているじゃないか。ちゃんと映像を残しておけよ!そうでないと俺たちの正当性が通らん!」


「大丈夫ですよ、先程から空撮カメラは常時録画状態です。M23ガンポットの自動対象追尾型カメラで敵味方識別情報を入力し終えたらいつでもいいですよ」


「おし、入力早めに頼むぜ」


幸いにも大陸同胞会は女性を追いかけているのに夢中のようだ。

上空にいるOV-10に気が付いていない。

仕掛けるなら今がチャンスだ。

ハンスはロバートの敵味方識別情報の入力を終えるのを待ち、入力が終えるとすぐに低空飛行を開始した。


「よーし!テロリスト狩りだ!」


降下したOV-10は大きく旋回して正面から近づく。

正面角度から飛び出してきたOV-10を見て、馬に乗っている大陸同胞会の戦闘員は指を差しながら魔法による攻撃を行おうとする。

その攻撃の前に、OV-10の両翼に取り付けられたM23ガンポットから火が噴いた。


―バババババババババババッ!!!


攻撃を行おうとした戦闘員たちにガンポットから発射された20mm経口弾が戦闘員の身体にめり込んでいく。

馬ごと突き抜けるその威力。

隣にいた仲間の馬が一瞬で消し飛ばされる光景。

恐るべき光景だ。


「うわああああああ!!!ジョンがやられた!」


「落ち着けゲーン!指揮を引き継ぐんだ!」


「あいつ…旋回してこっちに向かってくるぞ!」


「畜生!王国が雇った傭兵の噂は本当だったんだ!」


混乱する白衣たち。

指揮をとっていた人間が消し飛んで肉片となってしまった為に、これ以上の追撃は困難と判断したのか、我先に撤退していく。


「大陸同胞会…一般人から離れていく…一先ず脅威は排除できたな」


「追撃しますか?」


「いや、まずはあの手を振っている女性に話を聞きにいくほうがいいだろう」


「えっ、どうしてですか?」


「女性の服装をよく見てみろ。赤い服に金の飾りをしているじゃないか…ファンタジーのゲームだと大抵地位が上の人にしか身に着けていないだろう。恐らく上流階級者の人かもしれん」


「ここで着陸と離陸はできそうですが…本当にやる気ですか機長?」


「おうよ、一応異世界の言葉も学んできたんだ。本部に問い合わせて予め許可を取っておく」


ハンスは本部に連絡し、大陸同胞会の戦闘員が女性を襲っているのを目撃し、これを撃破したことを伝えてから女性とコンタクトを取るために一度地上に降りてもいいか尋ねる。

本部は少し沈黙した後にこれを許可。

女性の手前でハンスとロバートを乗せたOV-10を着陸させたのであった。


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