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Combat 5

「こちら第6歩兵小隊第3分隊、先の報告にあった通り狂信者達の排除を実行中、一部は基地から南東の方向に逃走した模様」


『…こちらHQ(本部)…了解した。周囲の安全を確保した後に息のある者は捕縛して連れてきてもらいたい。逃げた輩は空から監視している。敵の拠点(アジト)が判明するまでにそう長くは掛からないだろう』


「了解しました。周囲の敵を掃討後、直ちに基地に帰還します」


『…ナイトホーク1聞こえるか?こちらHQ、逃げ出している狂信者の連中は見えているか?』


「…ナイトホーク1、感度良好。バッチリ見えているぜ。」


『そのまま監視を続けろ、拠点を発見しだい攻撃ヘリ部隊による掃討を実施する。しっかり上空から監視を頼む』


「アイアイサー」


第6歩兵小隊第3分隊によるエリアの安全が確保された後。

上空には一機の航空機が月夜に映りながら森の中を監視していた。

赤外線装置と、熱線暗視装置サーモグラフィーを取り付けて偵察機として森の上空を高度2000メートル上空から監視している。


その機体の名称はOV-10ブロンコ。

ベトナム戦争から実戦投入され、一時は退役された小型の軽攻撃機である。

中東の過激派組織の台頭により、近代化改修が行われたモデルが実戦に再投入されて活躍している。

南米などでは麻薬組織撲滅のために使われたり、北米でも退役した機体を消防が買い取り、山火事の際に消火剤を投下する機体として採用していたりする。


特に、特筆すべきなのは整備された場所でなくても運用できる事だろう。

未舗装の場所でも直線距離が十分にあれば離着陸が可能な機体だ。

ターボプロップエンジンを二基搭載し、観測機や軽攻撃機としても能力は十分に高い。


何よりも、F-35戦闘機のようなステルス戦闘機よりもコストがほとんど掛からないので財政的にも優しい機体なのだ。

そして異世界に派遣されたOV-10は海兵隊が使用していた夜間観測機モデルのD型を再就役し、かつ最新鋭の機材に入れ替えたD型+より更に改修したモデルを使っている。


OV-10DXという仮の型式番号を与えられたのは、海兵隊の航空偵察部隊「ナイトホーク」隊の一番機である「ナイトホーク1」であった。

ナイトホーク1に搭乗しているのは航空機パイロットとしての軍歴が長いハンス・E・ブラウンシュヴァイク少尉と後部座席でモニターを監視している航法士のロバート・シュミット一等准尉だ。


ハンスが操縦し、ロバートが後部座席でモニターを見つめている。

先程基地を離陸して狂信者たちの監視をしているが、この辺りには好戦的な人間がいるという情報しかロバートは聞かされていない。

ロバートは詳しい情報を知っているハンスに質問した。


「それにしても少尉、彼らはなぜ狂信者って呼ばれているんですか?」


「…さぁな、ただ基地の無線で聞いた限りじゃ、奴らは見境なく異教徒と異種族を攻撃してきているそうだ…ヤバイ連中だから基地が襲撃される前に叩こうって寸法だろう」


基地で無線を聞いていたハンスが耳にした情報をロバートに伝える。

白衣を着て、異教徒狩りを習わしとしている蛮族集団。

彼らが数百人単位で活動をしているらしく、周辺の村々は襲撃されているとのことだ。


「まるで中世の魔女狩りみたいなことをしている連中なんですねぇ…」


「ああ、異世界だからファンタジーみたいなことをしている連中がいるとは思っていたが…ファンタジーの世界でも迫害が起きちまうってのは悲しいことさ」


「ええ…ん?少尉、熱源に強い反応があります…」


熱源に強く反応したのは森の中であった。

一見すればなんの変哲もないただの森だが、熱線暗視装置を使ってみると木の下に幾つもの反応があり、赤外線暗視装置では人の姿がハッキリと映し出されていた。

その場所に、先程逃げた狂信者たちが入っていくのが見て取れる。


「この真下が奴らの拠点か?」


「恐らくそうかと思います…っ!!これは…!!」


「どうした?」


「…や、やつら…虐殺(ジェノサイド)をしています!ここはもしかしたら…奴らに襲撃された異種族の拠点ではないでしょうか…次々と人を殺していますよ!!」


赤外線暗視装置から見えたのは、狂信者たちによる虐殺現場の映像であった。

一列に人を並ばせて一人ずつ打ち首にしたり、穴の中に突き落としてから槍で突き刺したり、そうした虐殺を楽しむ動作をしている。


さらに、先程まで逃げていた狂信者たちが合流すると、より苛烈に虐殺が進んでいく。

地獄絵図とはまさにこのことだろう。

ロバートはその光景を見て、思わず吐き気を催す。


「…ロバート、大丈夫か?」


「ええ、すみません…その、赤外線暗視装置で…映っていましたので…」


「無理もない、誰だってそんな現場を見ちまったらショックを受けるものさ…一人で抱え込むな、奴らには米国の鉄槌を下してやろう。これ以上犠牲を増やさないようにするんだ…」


ハンスはHQに無線で連絡を入れる。

これ以上、彼らの虐殺を辞めさせるために攻撃ヘリ部隊を一刻も早く寄こすように進言する。

HQもそれに応えるように、AH-1ZスーパーコブラとAH-64Dアパッチで編成された第133戦闘ヘリコプター部隊が現場に急行している。

いよいよもって、狂信者たちへ裁きが下るだろう。

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