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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第9話 実村 弾との会話

 錠剤を飲み込んだつづみ達には、空腹だろうと言う事で食事が与えられた。

 それはステンレスの食器に入った、どこかで見た様な栄養性重視の幾つかのペースト状の食品だった。


「うわ『ディストピア飯』だ……毎日これなんだろうか」

 遼太郎が諦めた声を上げた。


「そうだと困るねぇ……お肉が食べたいな」

 里菜も賛成する。


「私は野菜が欲しいかな。でもそれなら大体補えてそう」

 つづみも発言する。


「こう、栄養素よりも歯応えっていうか、噛んで食べて生きてる実感が欲しいんだよ」

 彼女の台詞に遼太郎が呟いた。


 3人の様子を実村弾は黙って見ている。


 食事が終わると、経過観察との事で3人共養生室に入らされた。

 3台のベッドの上にそれぞれ制服のまま座り込む。


 疲れたら横になったらいいと言われていたが、彼らはとてもそんな気分になれなかった。


 ここでも付き添っている弾に、遼太郎が話し掛けた。


「随分親切にしてくれるけど、これって何か裏があるの?」


「……多分、さっきの錠剤の効果を見ているんだと思う。

 無事に肺の機能がここの大気に順応して酸素を取り込める様になるかどうか」


 そう言って天井に張り付いているカメラを指す。


「お前も大丈夫だったんだろ?」

「うん……だから今こうして生きているんだけれど、ダメだった人も何人か見て来た」


「えっ?!」

「嘘?!」

 つづみと里菜が同時に言った。


 彼が思い詰めた様に唇を噛んで言葉を搾り出す。

「……実はオレ以外ダメだった……」


「……ダメだった人って、どれぐらいの人?」

 遼太郎が聞く。


「多分……30歳になる前ぐらいの人。俺みたいに10代だったら順応性が高いらしいんだけど、研究者側も突貫システムで作ったみたいだから、3000年程度昔のどの年代の人なら向いてるか分からなかったみたいだ」


「10代は大丈夫?じゃあ、私達も大丈夫だよね」

 つづみが聞いた。


「大丈夫……だと思う。

 そうじゃなきゃ、オレが辛い」

 弾がそう言って少し顔を歪ませた。


「弾はあっちの世界では行方不明になって2ヶ月程だけれど、ここでもそれぐらいの時間になるのか?」

 遼太郎が聞く。


「いや、ここではまだ2週間程……だと思う。

 オレは神機プロスターティス須佐男スサノオに乗って戦っていた。

 けれども撃墜されて地上に落ちたんだ。脱出ハッチとパラシュートのお陰で怪我はなかったんだけれど、帰らせて貰えなくなった」


「……お前もか。AIは非道だな」


「仕方なく暫く野生動物に気を付けながら森を彷徨っていて……偶然密かに調査に来ていたここの研究者達に会って、助けてもらったんだ」


「運が良かったな」


「……そうだな。結果的に肺も順応出来たし。

 それで、彼らはAIを倒したいから、先に完成していたロボット『開拓者プロトポーロス』の『ガルガラハ』って言う機体にオレを乗せ、訓練を積んで……オレも一度、偵察に行っているんだよ、あの戦場に」


「もしかして、私を助けてくれた日?」

 つづみが聞いた。


「多分その時だと思う。

 行ってみたら、本当に凄いタイミングで目の前で神機プロスターティスツクヨミがやられて女の子が放り出されたから、無我夢中で助けた」


「ありがとう。私って分かった?」


「……いや、何せ自分が攻撃されたらどうしようとその時は思ったから、地上に置き去りにして去ってしまった。4機の内の最初に破壊された機体なら元の時代に戻れるだろうと思って……」


「他の3機のパイロットは?」


「オレは……その時逃げ帰ってしまったから分からないんだ。

 でも、多分『味方機の攻撃巻き込まれ』なら兵器システムが身内の物だから、ノーカンで無事にみんな帰れたみたいだ。

 あの後、研究者側がこっそり行ったんだけど、特に誰も地上で発見出来なかったらしい」


「そっか。良かった……皆んな帰れているのね」

 彼女はほうと胸を撫で下ろす。


 弾が続ける。

「でも、神機プロスターティスの出撃状況も研究者達がデータで取っているんだけれど、出撃を50回超えた機体がないんだ」


「……それってどう言う事?」

 今度は里菜が聞いた。


「分からない。仮にこの過去からの転送が本人のバイタルとなんらかの理屈で行われているなら、きっちり50回で終わっていると言うのが役目御免で無事に元の生活に戻っているのか、限界を超えて死に至っているのか……」


「「「死?」」」

 

 3人の声が揃った。


「……多分後者だろうって、研究者達は言っている。

 1回の出撃が15分程度と考えると、50回で約13時間前後になる。

 この世界の大気で生きていられる限界の時間でもあるし」


 弾が重い口調で言った。


「そんな……損傷が蓄積していくなんて……第一、回数なんて数えてないよ」

「俺は18回ぐらいだ」

「あたしも……17回ぐらいかな。井関くんもまだまだ大丈夫そう」


「それにしても」

 つづみが絶望的な口調で言う。


「1機でも撃墜されたら残りの3機は帰還不能で結局原生林で死亡、戦いの回数が多くなっても死亡なんて、どの道知らなかったら私達は使い捨てにされていたって事じゃないの?」


 彼女の言葉に弾は頷き、遼太郎と里菜は蒼くなった。


 彼が続けて言う。


「そうなんだ。だからまた偵察に行った時、既に1機がやられて日本神話の機体が3機も残っているのを見つけたから『日本人がいる!』と思って……

 どうしたら助けられるだろう、それに、この間に新しく神機プロスターティスが出て来るのも防がなきゃって同時に閃いてしまって……」


「そうだ、あの時はやってくれたよね。

 もう、死んじゃうと思ってびっくりしたんだからね?」

 里菜が口を挟む。


「……ごめん、そうだよな。オレも正直テンパってた。

 後から考えたら、若くなかったら肺胞の組み替えも上手くいかないかも知れないのに、気付いたら人間側の兵器に射出口を破壊させ、君達の事は攻撃して脱出させて、そのまま捕まえていたんだ……」


 弾のおずおずとした話し方から、後悔と優しさが垣間見えた。



 彼らの立場は一介の高校生達が背負うにはあまりにも重くて、命は軽く扱われている。

 4人は押し黙ってしまった。


 自分達はこれからどうなるのだろう。

 元の時代に帰れるのだろうか……


 つづみは泣きたくなった。

 けれども泣いてもどうしようもない。きっと他の3人も不安は同じだ。

 むしろ、同じ高校の同級生が4人も揃っているのは不幸中の幸いではないか。


 ここの人達も今の所だが、優しくしてくれている。

 彼らの言う事を聞き、従っていたらもしかしたら帰る術が見つかるかも知れない。


 沈黙の中で、彼女の思考はそこまで考えて行った。


 その内、錠剤を飲み込んでから5時間が経ち、彼女達3人も程なくこの時代の大気に順応出来るようになった。



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