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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第10話 無性に会いたい

 養生室での観察を終えた後、つづみ達には部屋が1人一部屋与えられ、普段着、訓練着、アンダーウェアの上から空気圧縮で身体に密着する様式のパイロットスーツが与えられた。


「……このパイロットスーツは何ですか?」

 遼太郎が研究者達に聞く。


「実はAIを倒す為に、あなた方4人にはいずれ戦って頂きたいと考えております。

 それぞれ『ガルガラハ』『ハヴァ』『バーニィ』『アーグ』の力を冠したロボットを製作しています。

 こちらの生活に慣れて来たら、訓練を始めますよ」


「ええ?神機プロスターティスとやり合うんですか?

 嫌ですよ、中身は俺達の時代の人間でしょう?」


「……それでは私どもがあなた方をお救いした意味がありません」


「自分達で戦えばいいじゃない。なんで古代の呼び寄せられ被害者の私達がやんなきゃなんないのよ」

 里菜がやや腹立たしげに言った。


 研究者達は下を向く。


「反応速度が……我々ではあなた方に到底追い付かないのですよ。

 この身体を見てください。

 我々は3000年でこんなにも貧弱になってしまった。


 こちら側のコンピューターの演算もあちらにはすぐ予測が付いてしまう。

 ……私達がパイロットでは勝てないんです」


「……」


「それに、積極的にAI側に接近すれば、あなた方の過去へ帰る方法が見つかるかも知れないじゃないですか。

 今現在、過去と未来を行き来させる術を持っているのはAIだけなのです。


 私共ではどう考えてもその方法は分からない。

 あなた方で探り、出来れば無事に帰って欲しい……危険ではありますが、我々はそう考えているのです」


「それではあなた方はどうなるのですか」

 遼太郎がまた発言する。


「俺達が無事に帰れるならいい様に言ってくれてますが、今の話だと……」


「あなた方がAI側を倒して神機プロスターティスも出撃出来なくしたら、過去の人間も呼ばれなくなって彼らは敗北します。

 そうしたら人類は地上に降りて来れる筈です……」


「そ、そうか……でも過去の人間側にこれ以上の犠牲者が出るかも知れないのは辛いな」

 

 研究者と遼太郎のやり取りを見ていた弾が言った。


「ここまで良くしてくださっているので、ロボットの訓練はします。

 でも、AIやアンドロイドが戦わせている神機プロスターティスの中身はオレ達と同じ過去の人間です。


 月から何度も来る兵器と毎回戦っていたら帰れなくなる人間がまず増えます。

 オレがやった様な方法で、これ以上この基地に呼ぶ訳にも行かないでしょう。

 放っておいたら今は彼らはまだ、人間側の兵器の撃墜が済んだらほぼ帰って行きます。


 襲撃がない日にAI側が地球外生命体だと思い込んでいる人間を、襲おうとしている訳でもない。あくまでも防衛戦です。

 彼らと戦うかどうかまでは、まだ考えたいです。時間をください」


 彼のこの言葉に、研究者達も渋々ながら頷いた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 その夜、つづみは与えられた部屋で一息着いていた。


 ——今日はいろんなことがあった。 


 遼太郎と里菜に神機プロスターティスのパイロットである事を明かされて、またこの時代に飛ばされて戦わされていたら、弾に襲われて攫われて……


 結局、この研究所と研究者達は何故頑なにここに残っているんだろう。

 見た所、月面と連絡を取り合っている様子もないようだ。

 

 だとすると単独で残ったグループ?500人も?

 昔AIとの全面戦争があったみたいな口調だったけれど、あのひょろっとした身体と頭脳でどうやってこっそり生き抜いてここに潜伏出来ているんだろう。


 それに、弾が乗っていた機体。

 あれはどの神機プロスターティスよりも性能が良いと思う。

 あんなに力強くて馬力のあるタイプは見た事もない。


 あれが後3機作ってあって、ちょうどパイロットを探していたのなら都合が良すぎる。

 ああ……今まで帰れなかった人達を助けて順応出来るか見てたよね。

 みんなダメで、弾君だけが助かっていた所に私達が来たって事か——


「私達はAIにも人間側にも利用されている……」


 彼女がそう呟いた時、部屋の扉がコンコンとノックされた。


「どうぞ」

 

 その返事に、そっと開けて入って来たのは里菜だった。

「里菜……」

「つづみぃ……」


 彼女がそう言って、ベッドの上に座っていたつづみに抱き付いて来た。


「ど、どうしたの」

「……怖いよぅ」

「……そっか……そうだよね。怖いね」

「あたし達これからどうなるんだろう」


 里菜が彼女の首元にしがみ付く。


「……分かんないよ……でも、1人じゃないから。

 4人で元の時代に帰れるように頑張ろうよ」

「……帰れると思う?」

「それは……」


 つづみから離れた少女はしょんぼりとして横に腰掛けた。


 そして不意に関係のない話をして来た。


「あのさ、今度の土曜日、あたしの弟の誕生日なんだよね」

「そうなんだ、おめでとう」

「それで……共働きでいつも夜遅くなる親が、なんとか早めに帰るから焼肉屋で食べようって……」


「いいじゃない、里菜お肉食べたがってたもんね。好きでしょう?」


「うん……でもあたしは、外食なんかより、たまには家でピザでも取ってケーキでも買ってゆっくりお話ししながら食べたいって言ったの。

 ……弟もそれがいいって。


 でも、両親は忙しいから『それならお皿洗いする人が大変じゃない、デザートも頼んだらいいから、さっさと外で食べてしまうわよ』って言って聞かないの。

 お皿洗いだってケーキだって、私が洗うし買って来るよ……

 だけど聞いてくれないの」


「それはちょっと……寂しいね」


「うん。両親は仕事が大変で、お金お金ってばっかり言っていて、弟の気持ちなんか聞いてくれない勝手な人達なんだよ。だけどね……」


 そこで里菜はグッと詰まった。


「今は、そんなダメ親に見えるような人達に……無性に会いたいんだよ……」

「……うん」


 つづみの瞳に、不意に涙が浮かんだ。





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