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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第11話 食事と風呂が気になる!

 一方その頃、遼太郎もまた弾の部屋を訪れていた。


 ベッドに腰掛ける彼の前に椅子を引き摺って来て後ろ向きに跨いで座り、背もたれに両腕を巻き付け話をする。


「改めてさ、久しぶり。

 こんな所だけど、生きていてくれて良かったよ、弾」


「ありがとう、遼」


「お前さ、ここでずっと『1人だけ過去から来た人間』って立ち位置で来たのか?」

「そう言うことになるかな」


「辛かっただろう……勿論親とも連絡付かないし」


 そう言ってポケットからスマホを取り出した。

 言わずもがな、圏外だ。


「『圏外』だってさ、ふざけんなよ。

 3000年も時間が違うんだ、永遠に繋がりゃしねぇよ。


 桜場も言っていたけど、お前の母さんがチラシ配って探してる。

 遠からずうちの親も真似しだすんだろうな……」


「そうだな……でも」


 弾が彼の顔を見た。


「正直、攫った事になるけど神機プロスターティスのパイロットが遼達だと分かった時……嬉しくて泣きそうになった」


「マジ?」

「……マジ」


 遼太郎は椅子から立ち上がり、弾の頭に手を伸ばしてグシャグシャっと乱雑に撫でた。

「1人でよく頑張ったな」

「うん」


「ここに来れてるんだ、きっと帰れるよ。1人じゃ分からなくても4人だと帰り方分かるかもだろ?」

「うん……」


 彼はそう言うと、手を離し、ベッドの弾の隣にドカッと座った。

 両腕をやや後ろに付いて、天井を見上げる形で言葉を繋ぐ。


「俺達もお前を見つけてすごくホッとしたんだよ、『先輩』。

 明日からも頼む。少なくとも2週間もここで生きて来たんだ、あいつらは敵じゃないんだろ?」


「さっきも思ったけど、そっちの世界ではオレが居なくなって2ヶ月も経っているのか?」


「え?……そうだけど」


「この時代と時間差があるのかな。

 まあ好きな年代から呼べるんだ、ズレがあってもおかしくはないか……」


 そう言うと弾は視線を逸らし表情を曇らせ呟いた。


「そりゃあ……親もチラシ配りぐらいするよな。無駄なのが心苦しい」


「俺達もこのままだといずれそうなる……なんとか帰らなきゃな」


「うん。ここの人達も良くしてくれているし、『帰れるといいな』って声も掛けてくれる。

 敵ではない、と思う……」


「そうか、良かった」

 遼太郎はそう返したが、続けて言った。


「でもな。なんだかやり方がコソコソしてるんだよなぁ」

 そしてそのまま後ろにパタンと寝転んだ。


「……月面都市に逃げ込んで機械だけでAIを襲って来る人間。

 人間と知らずに『地球外生命体』からの攻撃だと信じ込んで、身体能力の高い過去の若者を召喚して戦わせるAIとアンドロイド達……

 何故だ?過去に自分達で地球上から人間を追い出した記憶は消されでもしているのか?


 それに、こっそり残っている研究者達はどうにかしてAIを倒したい筈なのに、自分達では動かず、また過去から来た若者を戦力にしようとしている。

 いくら反応速度が遅いからって、誰もロボットに乗ってみようともしない。

 あんなに性能がいい物が作れるのに……」


「自分達からは1人も犠牲者を出したくないんじゃないか?」

 弾が遼太郎の呟きに割って入る。


 彼がバッと顔を見る。


「そう!それだ!

 ここの研究者とやらは自分達の手は一切汚さないつもりだよな?

 その代わりに俺達にやらせる……帰れるかもとか言ってさ。

 これって、あいつらは」


 その時、何かに気付いた弾が自分の口元にスッと人差し指を伸ばした。

 静かにしろ、と言う合図だ。


 自然な仕草で隠す様にして壁の一角を指す。そしてそこに背を向け小声で言った。


「……オレも今日からこの部屋に変わったけど、あの隅で何か光った。

 会話を聞かれているかも知れない。また別の場所で話そう」



「こ、ここの研究者達は思慮深いな〜なんて……」

 彼の言葉を理解したのか、遼太郎が適当に言って誤魔化した。


 その後、『分かった』と言う理解を込めてか、弾の肩にトンと手を置く。



「その話はまあ、またの機会にして……」


 曖昧な言葉に弾が不思議そうな顔をする。


 幼馴染のそいつはやや切なげに聞いて来た。


「今まで食事に固形物出た事ある?

 金子里菜かねこりなも言ってたけどさ、俺達、肉にあり付けられるのかな。

 後、シャワーとか風呂とか……どんな感じ?」


 先程までの話も真剣だったが、遼太郎にとって、こちらの話も男子高校生としては切実な問題だった。


 弾が笑って言った。


「ここの研究者達は固形物は食べないけど、あの食べ物は元々は自然食材から作られた物なんだ。

 肉より魚が主食らしくて、沖合で漁網クレーンで魚を獲っている。

 加工前の物をそのままオレ用に調理して出してくれてるよ。


 彼らは世界を追われた難民の様なものだって言ってたけど、放棄されていたこの施設を見つけて棲み着いたそうだ。

 それで分かったらしいんだけど、ここにあった古代の調理器具がまだ使えるらしい。

 今日は流石に間に合わなかったから彼らと同じペースト状の食事だったけど、多分普通に作ってくれるよ」


「肉は?俺達育ち盛りの高校生なんだよ。

 肉は出ないのか?」

 遼太郎が食い入る様に見つめて聞いて来た。


「ああ、肉ね……残念ながら牛や豚はダメだ。牧場や養豚場なんてもう滅びているからな。

 その代わり鹿や猪や、熊なんかのジビエだけど、狩猟メカが獲って来てくれている。

 調理担当も研究者だから寄生虫にも詳しくて、安心して食べれるよ。

 野菜や果物は農場を作って育てている。オートメーション化がかなり進んでいるんだ」


「良かった。食えるんだ」


「風呂は男女別の大浴場ならある。

 他に個室のエアシャワーとウォーターレスクリーニングブースもあるよ。そっちも当然男女別だ」


「へえ……やっぱり進んでるなあ、未来って。今初めて実感した」


 遼太郎は目を丸くして感嘆の声を上げた。


 弾はこの唐突な話題が少々面白かったのか、暫く口元を抑えて横を向いていた。




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