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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第7話 囚われの高校生

 つづみ達アマテラス、タケミカヅチ、イザナミの3機は、まだ巨大な蛾に似た敵機と戦っていた。


 敵機はしぶとく、装甲も硬い。

 各神機プロスターティスの必殺技も弾いてしまう。


「チッ!全然歯が立たねえ!」

 遼太郎が焦る。活動限界の時間まで、あと数分だ。


「でもさ、このまま粘ってたら帰れるんじゃないの?」

 イザナミ機の里菜が攻撃を躱しながら言う。


 確かにそうだ。時間が来たらいつもの様に帰してもらえる……3人共そう思っていた。


「……ガイア機爆散につき、作戦失敗。帰還不能」

 管制部から通信が入る。


「何っ?」

「……今、なんて?」

「なんて言ったの?」

 3人が驚いて問い返す。


神機プロスターティスは4機1チームとして帰還ポイントがプログラミングされています。爆散機体が出た場合、生命の危機があるパイロットのみ優先して帰還され、残りは帰還不能となります」


 冷徹な管制部が言う。

「……なん……だって?!」

 遼太郎の驚愕した声が響く。


 ——4機中1機でも撃墜されたら帰れない?!そんなの聞いてない……っ!


 3人に戦慄が走る。

 

 ——じゃあ、私がこの前機体を撃墜された時のアヌビス、ガネーシャ、ポセイドンの中の人達も帰れなくなったの?

 つづみの頬を嫌な汗が落ちる。


 ——私はちゃんと帰れたのに……

 いや、あれは味方機の攻撃に巻き込まれた形だった。敵にやられたのではない……

 まだ帰れなかったって決まってる訳じゃない……確定じゃないはず。


 そう思いつつも、責任を感じずにはいられなかった。


 その時、また雷鳴のような衝撃音が空間を震わせてきた。

 漆黒の機影が彼らの機体に急接近して来る。


「あ!あの時の!」

 つづみはひと目見て、自分を助けてくれた巨大ロボットだと気が付いた。

 

 両肩のスラスターが白熱し、黒光りする装甲の縁を赤い光が走っている。

 彼がまた来てくれたのだ。

 きっと、今度も私達を助けてくれる……


 しかし、その機体はそのまま蛾の様な敵機にフワリと乗った。


「え?何を……」

 3人が驚いて見ていると、機体は敵機の向きを変えさせ、神機プロスターティス射出口のある辺りに砲口を向けさせた。


「嘘!!」

 つづみが驚いた声を上げた瞬間、敵機からエネルギー砲が放たれ、山の中腹にある射出口が崩壊した。


「第1射出口破壊。火災検知。内部第3〜第5ブロック、消火ユニット起動」


 管制部が内部指示を出している声が聞こえて来る。


「なんか、やっぱり冷静だな……それにしてもあの機体……」

 つづみが呟き、3人共呆然とする。


 ——味方じゃなかったの……?

 

 彼女が不安を抱いた刹那、その機体は肩に担いでいたバズーカ砲タイプの武器から、彼らに大きな砲撃を食らわせてきた。


「うわあぁ!!」

 ズドウズドウと激しい音が響き、瞬く間に3機の下半身が弾け飛ばされる。


『警告!警告!機体の損壊が47%を超えました!パイロットは緊急脱出モードに入ります!』

 激しい警告音と切迫した状況説明が響く。


 HUDヘッドアップディスプレイが各コクピットに浮かび上がり、即座に緊急脱出ハッチからパイロットが外に放り出された。


「ハッ?!」

 つづみも物凄い勢いで押し出される。

 しかし以前とは違い、パッとパラシュートが開き、動きが緩くなった。


 見ると3人共同じ様な位置でパラシュートを開いている。

 みんな無事だ、そう思った時……


 闇の様に黒いその機体が、3人をパラシュートごと次々に拾って行った。


「あっ!」

「キャッ!」

「ええー?」

 遼太郎、つづみ、里菜の3人が纏めて巨大ロボットの手の中に収まる。


 ロボットは彼等を持ったまま、注意深く飛んで行く。

 手の中でお互いのパラシュートの綱が絡まった3人がもみくちゃになって収まっている。


「ちょっと!井関君その手!どこ触ってんの?あと、髪引っ掛かってる!痛い!」

 里菜が風圧で顔を歪めながら叫ぶ。

 

 遼太郎の手が腰に当たっていた……


「俺だって今自分がどんな格好になってるのか分かんねえんだよ!どっちかの肘が腹パンしてるし!」

 遼太郎が手の感触をあまり深く考えないようにしながら叫ぶ。


 3人は脚が上か頭が上かもよく分からない状態になっている。

 

 とにかく、抱えて貰っているけれども巨体ロボットの指の間から吹き付けて来る風が凄いのだ。


 目も開けてはいられない。


 どうやら2人の下敷きになっているらしい、つづみも叫ぶ。

「遼君サイテー!そこ、むむむ胸っ!もう!押すなあ!」


 思いがけない恥ずかしさに余裕がなくなったのか、小さかった頃の呼び名が口を付く。


 ビクリとしてなんとか手を避けた彼が言う。

「なんか柔らかいと思ったら……ああ!2人共ごめん!何も考えるな俺ーっ!!」


「許さないからね!」

「マジ有り得ないんだけど!!」


 3人の高校生と、その阿鼻叫喚も乗せながら、巨大ロボットは地平線を目掛けて平然と飛び去って行った。


「……神機プロスターティスタケミカヅチ、イザナミ、アマテラス各機のパイロットロスト。登録から抹消します」


 管制側からの通信は3人には届かない。

 追跡もなく、彼らは見放された。


 3機の識別信号は、戦機一覧から自動的に消去され、パイロットスーツが制服に戻って行った。


 左手の四角い回路状の識別コードも徐々に薄くなり、ついには消えてしまった……


 



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