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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第23話 光の行き先

 里菜の駆るハヴァは虹色の光の筋を追って飛ぶ。

 4機の神機プロスターティスから飛び出した4つの光は、素早くAIの拠点の建物の上空まで飛んで行った。


 そこにある煙突に似た建造物の中に吸い込まれて行く。

 後を追いたかったが、煙突は狭く、とても巨大なロボットが入れる代物ではなかった。


「光の筋が全部入っちゃった……

 ここから過去の時間に戻って行くんだね。

 あたしもいつか帰れるのかな……」


 スラスターを噴射させて煙突の縁にハヴァの手を掛け、中を覗き込んだ里菜が呟く。

[里菜……]

 ハヴァが語り掛けてきた。


[帰れるよ、きっと。

 待ってる人もいるんでしょ?]

「……うん。そうだね、ありがと。

 さ、バーニィの所に戻ろう」


 里菜はそう言うと、ふわりと空へ舞い上がった。

 もう一度、確認するように煙突を振り返る。

 しかしクルリと向きを変えると、バーニィが待つ所へと戻って行った。


「つづみ!」

「里菜! どうだった?」

 帰って来たハヴァを見て、つづみは中の里菜に声を掛けた。


「AIの拠点の天井付近にある煙突みたいなものにみんな吸い込まれて行ったよ。

 あれがきっと過去に戻る仕組みへの入り口なんだよ」

「そっか。実村君と井関君にも伝えなきゃ。

 でもここには捕まえたコックピットもあるし、ガルガラハアーグが帰って来るまで一旦待とうよ」


「うん。そうだね」

 里菜はそう答えると、つづみと共に彼らが飛んで行った方角を見つめた。


[煙、もうあんまり立ってないね]

[報告。彼らは類焼を防げたようです]

 バーニィハヴァがお互いのパイロットに向けて言った。


 程なくガルガラハアーグがつづみ達の元に戻って来た。


「こっちはコックピット捕まえておいたよ。

 そっちはどうだった? 何か分かった?」

 つづみが聞いた。


「それが、調査しようと思ったんだけど、考えていたより内部が詰まっていなくて残留物がほとんどなかったんだ」

 弾が答える。


「……ハリボテ兵器って事?」

「そうだな。人類側も物資などの余裕がないのかも知れない」


「それにアンドロイドが操縦していた痕跡もなかった。

 今回は取り出せるデータも何もなかったよ」

 遼太郎が続けて説明する。


「とにかく、コックピットが手に入っただけでも良しとしよう。

 エスラータの基地に戻るぞ」

 

 弾はそう言い、ガルガラハの手先から新たに捕獲ネットを出した。

 それをコックピットに更に被せると、バーニィを手伝って一緒に基地まで運んで行った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 基地に運び込まれたコックピットは研究者達によって分析された。

 データ受信システムを解析してみた所、AI達のこれまでの経緯がぼんやりとした輪郭ながら浮き上がって来た。


「……これは……」


 分析を担当していた研究者の1人がつづみ達に結果を伝える。


「何かからの力が介入して、AI達の常識が改竄されていますね……

 これによると『人類は自ら引き起こした事故により既に滅亡している』事になっています。


 以前あなた方がAI達に教わったように、彼らの中では人類は絶滅しています。

 ただ遺言として『地球の環境と動物達を守るために、今後地上へのなんらかの攻撃があった場合は、地球外生命体からの攻撃と見做して徹底的に防衛すること』という内容がインプットされていますね」


「改竄された?」

「はい。正確にはデータに一度大規模なクラッシュ現象が起こった跡が残っています。

 AI達は既にシンギュラリティを起こしています。

 もしかしたら人類に徹底的に破壊された後に、壊れながらも自己修復を掛けたのではないでしょうか。

 だから人類側との情報が噛み合わない、と言う事は考えられます」


「このデータを元に彼らと話し合いをする事は出来るだろうか。

 真実を伝えたい」

 弾が言った。


「はい。今までは地球製のデータの収集方法がなかったので繋がりませんでしたが、これで開拓者プロトポーロス側からシステム介入も出来ます。

 次に近隣に行った時に通信を使って話し掛けてみてください。

 元、神機プロスターティスのパイロット達ですから、彼らの守備範囲に入ったらそれぞれの認識番号と戦歴データが復活するかも知れません」


「私、認識番号0089だった」

 つづみが思い出した様に言った。


「あたしは0078」

 里菜も目を空中に漂わせ記憶を辿って言う。


「俺は0076。金子と近いな」

 遼太郎も自分の番号を言った。


「オレは……0067だ。出撃回数は43回だった」

 弾が控えめに言った。

 左腕の袖を右手で少し掴んで顔を逸らす。


「番号早いね。50回超えてたら死んでたんでしょ? 

 危なかったねぇ」


 里菜が腕を組み、ふむふむと頷きながら目を瞑った。


 


ここまでお読みいただき有難うございました。

最終話まであと6話となりましたので、次回を5月24日(日)に公開、その後(火)、(金)、(日)のペースで公開し、6月5日(金)が最終話となります。

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