第22話 つづみ達が救世主?
「救世主?」
オーディンのパイロットが撃ち方を続けながら聞いた。
「ああ。そうかお前はここ数日呼ばれてなかったから知らないのか。
最近な、どこからともなくロボットが4機現れるんだよ。正体不明だが……めちゃくちゃ強え!
そいつらが俺達が劣勢でも、敵を難なく倒してくれるんだよな……
それまでみんな耐えろ!
太陽弧終幕!!」
アポロンが説明しながら技を出す。
弓状に展開した光翼から無数の光矢を発射し、命中させたドローンを爆散させ次々に堕として行く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
マッハ1で飛ぶ開拓者の中では、つづみ達パイロットがそれぞれの機体のコックピットで身構えていた。
キィィィン……と高速特有の音を鳴らし、計器が震える。
「後3分半で戦場に到着する。
神機達の援護をしつつ敵を殲滅、前回までタイミングが掴めずに出来なかったが、今回は4機の内のどれかのコックピットを回収しよう。
回収班は水と風に頼む」
「「了解!!」」
弾の指示につづみと里菜が返事をする。
「パイロットの帰還を確認してから機体捕縛だ。
分解、原料化回収は頭部と脚部から始まり、コックピット部分は安全の為に最後に回される。
そこを狙って投擲型の保護システムで捕縛してくれ。
水、出来るか?」
「やってみる!」
[投網だね! つづみ、腕を上手く回すんだよ]
つづみの返事に水が答え、握っている手首から先のパッドの指示灯が明滅した。
「うん。頑張ろうね、水」
弾が更に指示を出す。
「風は恐らく量子分解される過去の人物達が、どこに招集されて帰還して行くのか、出来れば痕跡を辿って欲しい」
「難しそうだね」
[里菜は目が良いからきっと追えるよ]
風が励ます。
「どんな感じか分からないから、今回は光学スキャンも使ってね、風」
[そっか。了解]
もう神機が目の前だ。
弾が最後に確認するように言った。
「まずは全機でスウォームを叩く!
その後、遼とオレはメインで移動要塞型超大型兵器をやる!」
「おう!やってやるぜ!」
遼太郎が答えた。
4機は散開し、それぞれ神機の援護に回った。
通信は使えなくても、水がスクルドの側に、風がニケ、火がアポロン、雷がオーディンのサポートに回る。
「激流砲撃!」
つづみが叫ぶ。
水の右前腕部がキャノンに組み代わり、スウォームに向けて圧縮水弾を連続で発射し、水圧爆発を起こす。
残り100機程のスウォームのあちこちで誘爆が起こり、火の粉を上げながら原生林に落ちて行く。
「旋風穿槍!」
里菜も続いて叫んだ。
風の掲げた両腕から風の槍が巻き起こる。
それは小型竜巻を発生させ、スウォームを巻き込み次々と自爆を招いた。
2機の活躍により、瞬く間にヴォイド・スウォームが爆散した。
「全機で出る程じゃなかったな。グッジョブ桜場! 金子!
行くぞ、弾!!」
遼太郎が叫び、すかさず火と雷が移動要塞型超大型兵器に向かって行った。
アポロンとオーディンが負けじと着いて行く。
「天琴響奏!!」
アポロンのパイロットが叫び、音波と光波が同期した。
敵の制御系が狂いだし、大きく数度傾いた。
「なかなかやるな。煉獄突駆!!」
遼太郎が感心して言い、技名を叫ぶと、火の機体がみるみる高温になった。
そのままよろめいた敵機に突撃する。
もちろんコックピットは防御システムで守られて温度は変わらない。
機体は火の玉となり、移動要塞型超大型兵器の巨体に次々に炎の穴が開いて行った。
ゴオオオォと音を立て、炎が巨大な火柱に変わる。
内部が次々に延焼していった。
「神槍裁天!!」
オーディンのコールで高温化した敵機に次々と神槍グングニルを模したエネルギー槍が無数に突き刺さって行く。
「連鎖雷砲!!」
雷を駆る弾が叫んだ。
両肩から出現した雷撃砲が火と雷撃を撃つ。
移動要塞型超大型兵器全体が突き刺さった槍を避雷針にしてバチバチと雷に覆われ出した。
「終わりだ!」
彼の言葉で雷の足元から雷が六角形に走り出し、雷雲となって空を覆って行った。
それは自由を失った敵機を更に包み込んで行く。
「天雷審判!!」
[オオオオオオ!!]
弾の声と雷の叫びで全ての雷雲から落雷が走った。
ドガアアアアアン!!
天を裂くような轟音が響き、数万度の電流が一気に移動要塞型超大型兵器を包み込んで大破させた。
「「「やった!!」」」
皆が叫ぶ。
火だるまになった敵機は空中で爆散し、原生林へと吸い込まれて行った。
弾が作戦を確認するように口を開く。
「水と風はそのまま地面に着地する神機に着いて、コックピット回収とパイロットの行き先を探ってくれ。
オレと火は原生林の類焼を防ぎに行く!」
彼はそう言うと、移動要塞型超大型兵器が堕ちた辺りに向かって火と飛んで行った。
「類焼って? どうやって火災を防ぐの?」
つづみが慌てて通信する。
「もしも燃え広がるようなら雷と火で『防火線』を焼き払う。
あえて細い帯状の地面を先に燃やし尽くして、燃料のない壁を作るんだ。
山火事の実際の消火戦術そのままのやり方だ。
火なら線状、雷なら一瞬で広範囲に燃やせるからな。
ついでに残骸の調査もする!」
そう返すと、あっという間に飛び去ってしまった。
後には、地上に降り立った神機4機と水と風が残った。
「……あなた達は一体……」
開拓者とは通信が繋がらない神機の中で、スクルドのパイロットが呟いた。
「ここの所いつも俺達を助けてくれる。
仲間なんだよな? お前達は……あ……」
アポロンのパイロットが言った時だった。
神機の原子分解が始まったのだ。
同時に各パイロットの視界が白くなリ始めた。
「つづみ! 分解が始まるよ!」
里菜が叫ぶ。
「うん!」
つづみは水の手先に投網型の保護システムを出現させ、スクルドに向かって素早く投げ付けた。
「何っ?! 私達を捕らえ……」
スクルドのパイロットが僅かに残った視界の中でこちらに振られた投網を見て言ったが、その意識はもう白く塗りつぶされて行く。
消えかけるスクルドのコックピットは無事に捕えられた。
[捕まえた!!]
水が喜びの叫びを上げる。
不思議な事に、それまで進んでいた原子分解が止まった。
そして、各機のコックピットから、虹色を放つ光の玉が空中に躍り出て来るのが見て取れた。
「里菜、あれを見て! あの光はきっと量子分解されたパイロット達だよ。
追える?」
「任せて!」
里菜の声と共に、風が飛び立ち、光の筋を追って行った。




