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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第21話 神機(プロスターティス)の戦い

 会議の次の日、つづみ達4人は談話室で自分達だけで話し合いをした。


「どうだろう。俺達は何をしてどう持って行けば帰れると思う?」

 遼太郎が問う。


「エスラータ人と地球人を会わせて、はい、仲良くしてね、あたし達は帰るから、って出来るかな」

 里菜が応えた。


「それがベストなんだけど……」

「それならAIの方は?あたし達を帰らせてくれるのはAIなんだよね?」


「うーん……」

「AI側と人間側と、なんとかコンタクトが取れないかな」

 彼女の問いに唸る遼太郎に、弾が提案をした。


「取れたらどうするの?」

 つづみが問う。


「AIには襲って来てる奴らは人間だから、不毛な戦いは止めろって伝える。

 人間側にはAIはもう襲わない事を取り決めたから、地上に降りて来るように伝える」


「じゃあ、まずなんとかどっちともコンタクトが取れる事が1番よね。

 それで、その方法が見つかるまでは、これ以上の被害が出る前に過去から来てる人間は逐一帰すように援護する、っていう事よね?」


「……そうだ。とにかくそれしかなさそうだ」


 彼らは話し合いの結果をイヴァンに伝え、その内容はエスラータ人の間で共有された。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「……あなた方に見せたい部屋があります。来てください」

 翌日、イヴァンに言われた4人は、ある広い部屋へと案内された。


 そこは見た事もない計器類やエスラータの文字が壁面モニターに並んだ広い司令室だった。

 自分達が地球人ではないことが分かってしまった為、彼らは今まで秘密にしていた場所を見せてくれたのだ。


 この施設の空調管理、電力、動力システムや漁業、農業の進捗状況、住民のバイオリズムグラフの表示まである。

 それらを数人のエンジニア達が管理、操作していたのだ。


 壁面モニターの一角には、例のAIの拠点を記した地図も表示されていた。


「AIの拠点には、何台かのフロートシーカーがステルスモードで常に飛ばしてあります。

 それによってあちらの動きはトレース出来ています。

 月からの攻撃があった場合、スクランブルモードで開拓者プロトポーロスを出撃させ、最高速度マッハ1で約8分で到着させる事が出来ます」


「マッハ1?それでは中の人間が気を失って……オレ達素人ですよ?」

 弾が驚いて言う。


開拓者プロトポーロスは地球とは別文明製のロボットだから大丈夫ですよ。

 コックピットが特別緩衝吸収材で覆われており、G吸収・拡散半無重力システムが作動します。中の人間は少しのGに耐えるだけでいいのです」

 イヴァンが答える。


「今まで、AI達は地球の技術だから、交信できる接点がなかったのよ」

 ケーナが言った。

 そして手元のキーボードを操り、電磁波で出来た投網の様な物を表示させた。


「これ、コックピットだけ引っ掛けて回収するやつ。電磁ネットみたいなものよ。

 神機プロスターティスの中の人間が過去に戻り、機体が原子分解される前にコックピット部分を捉えて持って帰って欲しいの。

 開拓者プロトポーロスの各機体に内蔵してあるわ。


 それを分析して、AI達と会話が出来るようにしようと思うの。

 何度か機会を作って捕縛してね」


「……善処します」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 数日後の事。

 AI達の拠点では、月からの兵器の攻撃に神機プロスターティススクルド、オーディン、アポロン、ニケが応戦していた。


 空の一部が闇に包まれている。

 ドローン型の兵器【ヴォイド・スウォーム】が、まるで知性を持った煙のように上空を覆っていたのだ。

 個々は小型だが、その数が常識を踏み潰していた。

 

 その奥に浮かぶ質量の塊は移動要塞型超大型兵器レヴィアタン・フォートレスだ。


「数で殺しに来てる上に親玉クラスも一緒かよ」 

 神機プロスターティスオーディンのパイロットが呟き、スーツの手袋越しに操作パッドを握り直す。

 

 ギュッ……と緊張を更に高める音がした。

 同時に叫ぶ。


「各機、配置に付け! スクルド、行けるか?」

「はい!!」

 スクルドと呼ばれた白銀の神機プロスターティスが前方に出た。


「全機、リンク開始。予測モデル展開」

 未来予測クロノ・ディステニーが発動した。

 スクルドのコックピット内に数千パターンの未来分岐が高速で走る。

 味方全機のセンサー情報を統合し、敵の挙動を確率的に先読みするのだ。


「来るよ! 3秒後、右上層からレーザー飽和攻撃!」

「了解!!」


 オーディンが肩部から多連装近接防御砲を出現させた。

 それが超高速で火を噴き、迫るスウォームを弾幕で粉砕した。


 だが、落とした数以上に後続が押し寄せる。


「熱源を集中させる!」

 アポロンが機体背部の高出力レーザー砲を展開させた。


陽光炸裂ヘリオス・バースト掃射!」

 精密に照準を合わせて放たれたレーザーがスウォーム群の密度の高い部分を焼き切った。


「道を開けろー! 勝覇突撃ヴィクトリー・ラッシュ!」

 群れの薄い箇所をニケのパイロットが叫びながら超加速で突き崩して行く。

 その軌道は正に勝利の女神と呼んでいい程の速さだった。


 それでも、移動要塞型超大型兵器レヴィアタン・フォートレスには届かなかった。


「!! 全方位砲撃。来るよ!」

 不意にスクルドのパイロットが叫んだ。


 皆の目がスウォームの中心にいる要塞に向けられた。

 いくつかある砲門が一斉に開いている。


未来収束制御スケルド・オプティマイズ!」

 スクルドが敵弾の全軌道を予測する。

 味方の回避ルートをリアルタイム生成し、当たらない位置に誘導するシステムだ。


「全機!この軌道通りに動いて!」


 刹那の後、地獄のような砲撃が降り注いだ。

 が、神機プロスターティス4機はからくも全てを避けた。


「ふう……」

 ニケのパイロットが安堵の息を漏らす。

 そして困惑気味に呟いた。

「これ、残り12分で片は付かないよね?」


 その時、西の方角から自分達とは様子が違うロボットが接近している事を知らせるアラームが鳴った。

 

 つづみ達の開拓者プロトポーロス、『バーニィ』『ハヴァ』『アーグ』『ガルガラハ』の4機の姿がモニター上に光の点で表示される。


「来た!また来やがった!

 俺達の……『救世主』だ!!」


 アポロンのパイロットが歓喜の声を挙げた。



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