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JK、未来で巨大ロボに乗る  作者: 久遠悠羽


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第16話 研究者達の正体

 つづみの話によると、ロボット『開拓者プロトポーロス』は地球ではなく『惑星エスラータ』という星で作られたらしい。


 その星は地球よりも文明が進んでいたが、環境が過酷な上、流星群の通り道に当たる軌道を描いており、度々危険な隕石の衝突があった。

 ある時、とうとう星に住む生命が危機的な状況に陥る程の大きさの隕石が、向かって来ている事が観測された。


[大きな隕石が来るってみんな騒いで、次々に物凄く大きな宇宙船に乗ったんだ。

 その時はまだボクは頭だけだったけど、一緒に積んでくれたんだよ]


 『バーニィ』がやや切なげに言っていた。


 彼らは、避難宇宙船に乗り込み、各船は移住出来る先を求めて宛ての無い旅路へと飛び出したのだ。

 その時、開発途中だったロボット『開拓者プロトポーロス』達は、身体の各部と共に積まれ、同行した。


 高度なナノシステムで作られた脳と神経系統を搭載した彼らに意識が芽生える事など、研究者達は思いも寄らなかったのかも知れない。


[ここにどうやって来たのかはボクには分からないんだよ。

 さっき目覚めた所だから。

 でも、ボクの使命が新しい星を『開拓する』事だって言うのは覚えてる。


 君は『桜場つづみ』、つづみって呼んでいいんだね]


[あの時ボクを積んでくれた人達が、今日目を覚ましたら足元にエンジニアとしていっぱいいたから、ちょっと安心しちゃった]


 『バーニィ』はやや意識が幼いのだろうか。

 何の疑いもなく彼女の事を信頼して話をしてくれたようだ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「へえ……」

 

 ひとしきりつづみの話を聞いた里菜は、脱衣所で髪を拭きながら言った。


 驚きはしたが、月と連絡を取りたがらないこと、AIを倒したいのか人間達を本当に地上に呼び戻したいのかはっきりしない曖昧な態度、里菜達をロボットに乗せて自分達は戦わない点などを見ていたら、彼らこそが地球外生命体としてこの地に降り立った者達、と言うのも嘘では無い気がしていた。


「どうしよう、里菜。この事は実村君と井関君に伝えた方が良いよね?

 でも部屋にもどこにも盗聴器みたいなものが付いてるんだよ……

 ここの人達に聞こえたらまずいよね」


「そうだねえ……大体、あたし達が本当の事に気が付いたら何をしてくるか分かんないもんね」


「うん。……でも……」

「何?」


 迷ったように下を向くつづみに彼女が聞いた。


「彼らは宇宙を漂流した上でここに辿り着いた訳でしょ?

 大昔の人間が作ったこの基地を使える様にして農業や漁業もして……何よりエネルギーも開発してシステムも揃えてあんなロボットを動かせる様にしたんだよね。

 ……苦労して来たと思う」


「つづみは優しいなあ。人が良すぎる感じ。

 バレたらやっぱり人間の事食料にするつもりでした、とかあるかもよ?」


「えっ、それは困るよ」


「とにかく……筆記はどうかな。

 この基地自体が地球のものなら、どこか探したら紙とペンぐらいあるかも知れないじゃん。部屋とか探そうよ」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 部屋に戻ったつづみは片っ端から調べてみた。

 机の中はもちろん、ベッドのマットレスや大した量はないが小さな箪笥の後ろまで……


 しかし連絡事項までフロートタイプのデータ画面でやり取りをしている事もあり、紙などどこにも無かった。


「やっぱりないか……」

 がっかりしてベッドに座り込む。

 スマホのメモ機能も考えたが、電源を落としていたもののもうかなりの日にちが経っていたので放電して使えなくなっている。


 すると、意外な事を思い出した。

「あるじゃん!確か私の制服のポケットに」


 叫ぶように言って立ち上がると、大切に壁に掛けてある制服の上着をゴソゴソと触った。


 内ポケットに、小さなメモ帳とペンが1本、入っていた。


 そのメモ帳に、今日の『バーニィ』とのやりとりを詳細に書く。


 そこには4人で何処かで落ち合って話せないかという提案も書いておいた。


 書き上げたつづみはページをちぎり、さりげなくもう一度里菜の部屋を訪れた。


「メモ帳持ってたんだ。やるじゃん。あたしは何も持ってないし見付かんなくて、詰んでた」

 里菜が小声で言って喜んだ。


 内容をこっそり確認し合うと、2人で更に弾の部屋に行き、ノックをして出て来た彼と雑談をした。


 その話の合間に、そっとメモを渡したのだ。


 弾は読みながら驚いた顔をした。

 最後まで読むとペンを貸せという仕草をし、つづみのメモに書き足す。


『遼の部屋に行ってから、4人で談話室に行こう。

 メモ帳のページはまだ残ってるか?』


 つづみが黙って頷く。

 3人は顔を見合わせると素知らぬ様子で遼太郎の部屋に行き、4人は揃って談話室へと向かった。


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