第3話 再会と呆れ
俺が指定された班は3班。
自席からまっすぐ行くだけでたどり着くところが3班が集まる場所になっていた。
修也と同じ班になれないことが決まった今、正直言ってこの課外活動がダルすぎてたまらない。
「はぁ……」
近いはずなのに遠く感じる。
思わずため息をついた時、俺はちょうど3班が集まる場所へとたどり着いた。
人数は5人。
クラスの人数は39人。
班の数は6班までのため、人数は最低でも6人いないとおかしい。
おそらく休んでいる人がいるのだろう。
現時点で分かってる班の内訳は、男子は俺ともう一人、女子が3人。
新学年が始まって1ヶ月以上は経っているはずだが、誰が誰だか全くわからない。
「一通り移動できたら班の仕事分担をしてくれ。まぁ、班長と副班長がそれぞれ一人、チェックポイントでの集合写真を撮る兼先生との緊急時の連絡を取るチェック係を2人決めてくれ」
移動が終わったことを確認した鬼山先生が、黒板に貼っていた紙を取りながらそう言った。
班ごとに仕事があるのはわかる。
もちろん、俺はどれもやりたくない。
特に、最後に言われていた役割。
別々に分けてもいいだろ、とツッコミたくなるほどの仕事だ。2人で仕事をすると考えると多少は楽なのかもしれないが、あまり接点のない人と一緒に何かをするのはあまりやりたくない。
「とりあえず、鬼山先生もああ言ってるし、班の役割決めをしようか」
ニキビひとつ無い綺麗な肌を持つ、オシャレにセットされたセンター分けのイケメン男子が、爽やかな笑顔でそう言った。
「ねぇ、私副班長やっていい?」
おっ?
役割が1つ減るだけでもだいぶありがたい。
俺が当たる確率が減るから。
多分、さっきのセンター分けイケメンが班長をやると言い出すだろう。どう見ても、クラスのカースト上位に居そうだし。そうなると、残された仕事はチェック係という面倒そうな仕事だけだ。
と、頭の中で勝手に色々と考えていると、もう一人の女子が手を挙げた。
「私も副班長やりたいっ! 私、一年の頃も副班長やってたし」
……まぁ、被ることもあるだろう。
もしかしたら、副班長になれなかった人が自動的にチェック係とやらになるかもしれない。
「私も副班希望〜」
……もしかしてコイツら、班長になるであろうセンター分けイケメンを狙っているのでは……?
横目でセンター分けイケメンを見ると、表面上では困ったような、だがどこかその裏で困惑とは程遠いものが見えるような気がした。
この時点で、俺は嫌な予感しかしなかった。
★★★
ぼっちはぼっちだから強いのだと思う。
ぼっちであるが故に、何者にも縛られず、自分の思うように動けるからだ。
だが、集団に強制的に入れられるとどうなるのか?
もちろん、結果は複数あるだろう。
だけど、大体は——————
「はぁぁぁぁ……」
俺自身も驚くほどのでかいため息を出しながら、自室のベッドに身体を投げ出した。
フカフカとした感触が俺を優しく受け入れた。
なぜこんなにも、俺は深いため息をついたのか。
反省文の件もあるのだが、一番は今日の班決めの結果だ。
班長はあのセンター分けイケメンになった。これは妥当だと思う。
問題は副班長。
俺の予想では、3人の内の誰かが副班長になり、なれなかった2人がチェック係とやらをやるのだと思っていた。
が、センター分けイケメンの横顔を見て、嫌な予感がした。そしてそれは見事に命中。
なんと、センター分けイケメンが3人とも副班長にしようと言い出したのだ。
3人の女子は少し不満気味に見えたがそれを承諾。
するとどうなるのか——————答えは明白だ。
俺は、チェック係にほぼ強制的に就任することになったのだ。
ぼっちは、集団に入ると弱くなってしまうのだと、俺は今日、改めて認識した。
★★★
翌日。
俺はいつもと変わらず、朝のホームルームの時間を机に突っ伏しながら待っていた。
ただ、昨日と確実に変わったことが一つだけある。
寝不足気味なことだ。
昨日の夜、いつの間にか出来ていた班のグループにセンター分けイケメンから招待が来ていた。それだけなら別にいい。問題は女子3人とセンター分けイケメンの会話だ。
なんで班のグループチャットでやり取りする?
しかも、真夜中と呼べる時間帯でも通知が鳴り止まない。
通知を切れば静かに眠れるだろう。
そう思ってスマホをいじったが、マナーモードにしてもバイブレーションが気になるし、バイブレーションも消そうと試みたが、やり方が全く分からない。
結局切り終えた頃には午前3時になりかけていた。
ブルーライトをいっぱい浴びてしまったが故に、その後は全く眠れず、今に至るのだ。
「……眠っ」
油断すれば、いつ夢の世界に引き込まれてもおかしくない。
「うわ、酷い顔だなぁ……オールでもしたか?」
失礼な事を言いながら、トコトコと修也が俺の目の前にやってきた。ちょっとだけニヤついたその顔に普段はちょっぴりピキっといくだろうが、今はそれどころじゃない。
マジで眠い。
「おーい、意識あるかぁ?」
「……あるに決まってんだろ」
「あ、そう? 救急車呼ばなくて良さそうだな」
「俺を勝手に病人にすんな」
まぁ、寝不足でぶっ倒れたら病人判定されるかもしれないが。
「ま、なんか大変そうだけど頑張れ。俺、トイレ行ってくっから」
「……それ言う必要あんのか?」
トイレへと向かう修也の背中を見送りながら、特に意味は無いが俺は思ったことをひっそりと口にした。
教室を出そうなところまで移動した修也から目を逸らし、再び机に突っ伏す。
本来なら、俺はそうしていたはずだ。
「あの人……」
修也と入れ違いで入室した女子生徒。
あの女子生徒には見覚えがあった。
艶のある、肩にかかる黒髪、色白の肌、そして何を考えているかが分からない無表情。
俺が覚えている限りで、そんな特徴を持つ人は一人しかいない。
スマホ使用の時に捕まっていた———柳澤さんだ。
同じクラスだったんだな。
そう思いながら、そんなことも知らなかったなんて、どれだけ他人に興味が無いんだろう、と俺は自分で自分に呆れながら、ホームルームが始まるまでという短い時間を、眠りに費やすことにした。
この時、俺は気付いていなかった。
彼女の視線が、ほんの少しだけ俺に向けられていたことを。
未熟者の作品ですが、ここまで読んでいただきありがとうございます!
まだストックありますが、これから少し忙しくなってしまうため、ここで一旦更新止めます!
再投稿は3日後にします。
その後、私の事情を見て更新をゆっくりにしたり、また止めたり......といった感じで、ストックが無くなるといったことが無いように調整することになりますが、ご理解頂けますと幸いです。
改めて、お読み頂きありがとうございます。これからも読んでいただけるとモチベーションに繋がるので、よろしくお願いします!
頑張ります!




