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料理魔法のバフ飯屋台~食べた仲間が強くなるごはん、作ります~  作者: たこやき風味


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第81話 マイナスイオンがすごいよ

 朝食を終えたあと、私とサビーは薬草を探すために、森に入った。


 今日は、まんぷく号はなし。

 私は採取用のかばんを斜めがけにしてきた。


 ラセンはもちろん、ルルさんの家で留守番だ。


「ぷいーぷぃ、ぷい」


 ウリ坊が鼻歌まじり(?)に、私の前をぴょこぴょこと歩いていく。

 この森に来てから、足取りがやけに軽い。


 その後ろを、ルルさんの家の黒猫がついていく。

 ルルさん曰く、この森はこの子の散歩コースなんだとか。


 森の空気はひんやりとしていて、どこからかせせらぎも聞こえてくる。


「この森、マイナスイオンがすごいよ」


 私は大きく深呼吸した。

 全身がすうっと浄化されていくような、とても爽やかな気分になる。


「まいなすいおん……? なんだそれ?」


「私の地元だと、自然がいっぱいのところに来たら、とりあえずこの言葉を言うの」


「そうなのか。お前の地元、変な言葉ばっかりだな」


 サビーは首をかしげながら、私のまねをして深呼吸した。



「ぷいぷい!」


 私たちが変なやり取りをしているあいだに、ウリ坊が何かを見つけたらしい。

 くんくんと鼻を鳴らすその先には、きれいなピンク色の花が咲いていた。


「これ! 昨日教わった妃円の花だ!」


 円形に並んだ葉の中心に、ピンクの花が一輪。

 見ると、あたりには妃円の花がぽつぽつと咲いている。


「あなたは本当に鼻が利くねぇ」


 私の言葉がわかっているのか、ウリ坊は鼻先を上げて「ぷいっ」と鳴いた。



「そろそろ戻ろうぜ」


 私が手を泥だらけにしながら薬草を摘む横で、サビーは岩に腰かけて、おにぎりをもぐもぐと食べている。


「もぉ! おにぎり食べてないで、サビーも手伝ってよ!」


「俺、よくわかんねぇし」


 まあ、それはそうだけどさー。

 薬草探しに飽きたウリ坊は、黒猫と追いかけっこをしている。

 みんな興味なさすぎでしょ!



「帰るよー」


 相変わらずおにぎりを食べているサビーと、くるくる回り続けている二匹に声をかける。


 私が斜面から湧き出る水で手の泥を洗っていると、ふいに遠くで音が響いた。


「ん? 何の音?」


「爆発音みたいだな」


 二人で耳を澄ます。すると、また同じような音が聞こえた。

 サビーの表情が、みるみる険しくなっていく。


「これ、ルルさんの家のほうじゃないか?」


「ほんと!?」


 森の中で反響しているせいで、私にはどの方向から聞こえているのかよくわからない。

 けど、サビーが言うなら間違いない。


「それなら、早く戻ろう!」


「そうだな」


 急いで薬草をかばんにしまうと、来た道を引き返した。



 ルルさんの家が近づくにつれ、爆発音はどんどん大きくなっていった。

 やっぱり、ルルさんの家のほうだ!


 もう少しで家が見える、というところで、サビーが私に声をかける。


「いきなり正面から行くのはやばそうだ。森の中を抜けようぜ」


「そうかも……。そうしよう」


 道を外れて、木々の間へ足を踏み入れる。


 茂みの中を、できるだけ音を立てないように慎重に進む。

 やがて、木々の隙間からルルさんの家が見えた――そのとき。


「茉歩瑠、しゃがめ!」


 サビーが私の上着の裾を引っ張った。

 つられるように、その場にしゃがみ込む。


「……家の前に誰かいる」


 サビーがささやく。


 私は草の隙間から、そっと家のほうをのぞいた。


 ルルさんの家の前で、背の高い金髪の男が、両手を腰に当てて立っていた。

 その隣には、真っ黒なローブ姿の人物がいる。

 フードを頭からすっぽりかぶっていて、顔はよく見えない。


 やがて、ローブ姿の人物が両手を高く掲げた。

 向かい合わせた手の間に、炎の弾が浮かび上がる。

 なんとそれを、家に向けて放った!


 弧を描いて飛んだ火球は、家に届く直前で見えない何かにぶつかり、激しく爆ぜた。

 打ち上げ花火みたいな重い爆発音が、森に響き渡る。


「い、いったい……何が起こってるの!?」


 どうにか絞り出した声は、自分でもわかるくらい震えていた。


「……俺にもわからねぇよ。あの金髪……いや、まさかな」


 サビーは前を見据えたまま、短剣の柄に手をかける。


「あの金髪……?」


 私がもう一度家のほうを見ると、男の顔がちらりと見えた。

 あれって、まさか……。


「おーい! ばあさーん! 抵抗したって無駄だつってんだろー」


 男が大声を張り上げた。

 その瞬間、私の中で男の正体が完全に確定する。


 こいつ、ガークだ!

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